『大空スバルのひまわり観察絵日記。〜我が愛しのマダオ』 作:しまうまP
【○月×日 てんき:寝不足により目の前がかすんでる】
「う、うわぁぁぁぁぁん!!!!!(爆音)」
真夜中午前3時。大空家のリビングに、世界一やかましい、だけど世界一愛おしいゴング(夜泣き)が鳴り響いた。
予定日通りに無事に誕生した、スバルとマリンの赤ちゃん。
スバルに似て元気いっぱいで、マリンに似て声が信じられないくらいデカい、元気な女の子だ。
「マ、マリン!!! 起きて!!! 赤ちゃんが泣いてるッス!!! ミルクの、ミルクの時間だぁぁぁ!!!」
スバルは寝ぼけ眼をこすりながら、必死に哺乳瓶を掴んでキッチンへ走った。
ベッドの上では、かつてドームを沸かせたトップアイドル・宝鐘マリンが、髪を爆発させ、スバルの青い芋ジャージの襟元をヨダレまみれにしながら、ゾンビのようにぬっと起き上がった。
「あ、あうあう……。お姉さん、2時間前にオムツ替えたばかりなのに……。もう体力が17歳の限界を超えてマイナスよぉ……。スバルパパ、お湯の温度は40度よ……うぷっ」
そう、これが今の我が家の日常。
結婚、妊娠、そして出産を経て、スバルたちの生活は一変した。
「子育ては戦場」とは聞いていたけれど、ぶっちゃけこれ、総合格闘技のハードな合宿よりも100倍きつい!!!
何が一番ヤバいって、スバルがマネージャーを務める「総合格闘技部」が、マジで廃部の危機に瀕していることだ。
部活に行こうとすると、赤ちゃんが
「ぎゃー!」
と泣き、マリンが
「スバルちゃん行かないでぇ、一人でワンオペ育児したらお姉さん干からびて本物の幽霊船になっちゃうぅぅぅ!」
とスバルの足首にしがみついて離さない。
結果、スバルは部活を休みがちになり、部員たちからは
「マネージャー、最近幽霊部員っすね……」
と囁かれる始末。
(くそっ!!! このままだとスバルの青春の総格部が、我が家の育児バトルロイヤルによって押し潰されてしまう……!!!)
そんなスバルの危機を察したのか、居間のドアがガラッと開いて、お母さんがお盆を持って入ってきた。
「あらあら、新米パパママ、もう限界みたいねぇ。スバル、部活に行きたいなら、今日はお母さんがマリンちゃんと一緒に赤ちゃんを見てあげるわよ❤️」
「お母さん……っ!!! 神様ァァァ!!!」
スバルが感動の涙を流した、その瞬間だった。
「だーだー、ばぶー(※意訳:若いエキス吸いてぇなぁ〜)」
「って、おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!! 今この子、何て言ったァァァァァァァァァァ!?!?!?(驚愕)」
ベビーベッドの中から、信じられないくらいハスキーで、どこか聞き覚えのありすぎる喃語(なんご)が聞こえてきた。
よく見ると、生後数ヶ月のはずの我が子が、お布団を蹴飛ばし、小さな可愛いお尻をぷるんと突き出しながら、スバルに向かって完璧なウインクをキメているではないか!!!
「ひぇっ!? スバルちゃん、この子のそのお尻の黄金比率……! まさか、私の『我が愛しのオリハルコン・ヒップ』の血を100%受け継いでるわぁぁぁぁぁ!!!」
マリンが飛び起きて、涙目で大はしゃぎし始めた。
「おまえの遺伝子、強すぎるだろバカ野郎ーーーーーーーーー!!!!!(絶叫)」
スバルのツッコミが、夜明けの大空家に響き渡った。
生後数ヶ月でお尻を振ってオヤジみたいな声を出す赤ちゃん。
こんなヤバい怪獣、お母さんとマリンだけに任せて部活に行けるわけがないじゃんか!!!
「あははは! やっぱり私の子供ねぇ❤️ ほらスバルパパ、部活なんて行ってる場合じゃないわよぉ! 一緒にお尻のケアのお勉強をしましょうねぇ〜ん❤️」
「部活は行く!!! でもこの子の教育はスバルが絶対叩き直す!!! ほら、オムツ替えるぞマリン!!!」
スバルは、部活のジャージのポケットに入れたノートを開き、必死の筆圧で今日の日記を書き殴った。
◇◇◇
【育児バトルロイヤルの戦績:我が家の小さな海賊が、生後数ヶ月でお尻を振ってオヤジみたいな声を出し始めた。
総合格闘技部が廃部の危機というか、我が家の中に『新種のアニマル格闘技部』が爆誕した気分だ。
あいつの変態遺伝子が120%遺伝していて、スバルは自分の未来がリアルに不安になってきた。
とりあえず、今日から部活の練習メニューに『超高速オムツ替えダッシュ』と『夜泣きスクワット』を組み込むことが決定しました。お母さん。お願いだから誰か早く、この子に普通の可愛い赤ちゃんの喋り方を教えてください。パパのライフはもうゼロよ!!!】
◇◇◇
(続く)