『大空スバルのひまわり観察絵日記。〜我が愛しのマダオ』 作:しまうまP
【○月×日 てんき:日本晴れ(大空家のパパは限界突破)】
「ワン・ツー!!! ほら、ガード下がってるッスよ!!! 足を止めるな!!!」
放課後の武道場。
スバルの鋭い怒号とミットを叩く快音が響き渡る。
スバルの本職である「総合格闘技部」のマネージャー業。
一時期は育児のドタバタで廃部の危機にまで追い込まれていたけれど、スバルは諦めなかった。
なぜなら、スバルはもうただの高校生じゃない。
あのマダオ(マリン)と、その遺伝子を120%受け継いだオヤジ赤ちゃんの二人を養う、一家の「パパ」なんだからね!!!
「マネージャー!!! 今日もキレキレっすね!!!」
「当然ッス!!! 毎日家で『超高速オムツ替え』と『大泣きスクワット』やってるからね!!! ぶっちゃけ部活の練習の方が楽に感じるレベルだよ!!!」
部員たちのミットを持ちながら、スバルの頭の中はすでに「今日の晩ご飯の献立」と「粉ミルクの在庫」でいっぱいだった。
部活を100%の力でやり遂げ、部員たちを笑顔で見送った瞬間、スバルのスマホがけたたましく鳴り響いた。
『ス、スバルパパァァァ!!! 早く帰ってきてぇぇぇ!!! 赤ちゃんがお尻を振りながらウンチを爆発させて、お姉さんのジャージ(スバルのやつ)が全滅したのぉぉぉぉぉ!!!(号泣)』
「やっぱり戦場じゃねぇかよぉぉぉぉぉ!!!!!(絶叫)」
スバルはソッコーで部活の荷物をまとめ、東京ビッグサイトの1キロ走以上の猛スピードで自転車を漕いで家に帰った。
ガチャリとドアを開けると、そこは地獄絵図……ではなく、エプロン姿のお母さんが仁王立ちしていた。
「おかえりスバル。マリンちゃんがパニックになって泣いてたから、お母さんがソロバンでマリンちゃんの頭を軽く叩いて、オムツ替えを叩き直しておいたわ❤️」
「お母さん……っ! さすが我が家の最高権力者……ッ!」
リビングに入ると、スバルのジャージを台無しにした張本人(我が子)が、ベビーベッドの中で「ばぶー(※意訳:お肉食べたいわぁ〜)」と、すっかりスッキリした顔で大物YouTubeクリエイターみたいなドヤ顔をキメていた。
その横では、頭にタンコブを作ったマリンが、涙目で洗濯物を畳んでいる。
「うぅ……スバルパパ、おかえりなさい……。お姉さん、やっぱり育児格闘部での立ち回りが甘かったわ……。スバルパパみたいに、二足の草鞋を完璧に履きこなせない……」
いつもなら「何が旦那様だよ!」ってツッコミを入れるところだけど。
髪を振り乱して、慣れない家事と育児を一生懸命がんばって、スバルの帰りを待っていたマリンの顔を見たら、なんだか急に愛おしさが込み上げてきた。
スバルは部活のバッグを置くと、マリンの頭をポンポンと優しく撫でた。
「よく頑張ったな、マリン。部活はスバルの意地だけど、この家を守るのもスバルの仕事だからさ。ほら、今日の夜はスバルが特製のスタミナ炒め作ってあげるから、三人でいっぱい食べよう!」
「ス、スバルちゃん……ッ!!! やっぱり世界一男前よぉぉぉぉぉ!!! 今夜は新婚初夜のやり直しを――」
「それは永遠に却下!!!」
スバルは苦笑いしながら、今日もクタクタの身体でノートを開き、必死の筆圧で日記を書き殴った。
◇◇◇
【パパのリアルなため息:総合格闘技部と育児格闘部、二足の草鞋を履いて今日も一日を駆け抜けた。
家でのオムツ替えトレーニングのおかげで、部活のミット持ちの体幹がめちゃくちゃ安定したのは怪我の功名だと思う。
あいつ、スバルが頭を撫でた瞬間に『やっぱり私の旦那様は最強ね❤️』とか言って、早くも二人目の子どものカタログ(?)を読み漁っていてマジで気が早すぎる(笑)。
とりあえず、我が家の小さな海賊は、スバルのジャージを合計3枚ダメにしたので、明日から一週間マリンのお小遣い(ワンカップ代)を減額することが決定しました。
明日も家族のために、パパは全力で部活も育児もプロレスしていくッスよ!!!】
◇◇◇
(続く)