とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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あとがきの件について意見をもらって、いろいろ悩んだ結果、数日中にあとがきを消すことにしました。



第10話 引き篭りフレンド

このクラスになって、1週間が過ぎようとしていた。流石に4年生にもなると、いくつかのグループが出来ており、その人たち以外とは余り会話をしない様だ。3年から転校し出来るだけ目立たないようにしていた俺もそのグループに入っている訳がなく休み時間はもっぱら眠りに専念していた。

 

「zzzzz・・・。」

 

そしてこの時期になると、学校へ来ない奴も出てきていた。”時田鈴音”と言う子は、始業式の日以外来ていない。

何故かって?知らん。噂では、変人で酷いイジメを受けていたらしい。

 

「全く。どの世界も暗い所もあったもんだ。」

 

楽しそうな、学園ものアニメでも必ずイジメの問題がある。大概はヒロインの一人なのだが、そう言う奴に限って、なんでイジメられているのか分らない程のスペックを持っているものだ。まあ、現実には、そんな都合の良い奴なんていないけどな。

 

「・・・ねえ。」

 

「zzz・・・。」

 

「聞いてんの?」

 

とここで誰かが話しかけて来ている事に気付いた。

 

「なに?」

 

「先生から、時田さんにプリントを届ける様に言われてんの。アンタとね。」

 

「なんで?行くなら日野さんだけで良いじゃん。」

 

「私が、道を知ってる訳無いでしょうが!」

 

「いや、知らねえよ。」

 

「時田さんの家アンタの家の近くなのよ。道位知ってるでしょう?」

 

「・・・見せて。・・・・・・。」

 

「はい。」

 

俺は、日野さんが書いた住所を見てみる。確かに家の近くだ。徒歩5分もない。

 

「分かった。帰りに案内する。」

 

「そう。じゃあ、よろしくね。」

 

そう言うと日野さんは、自分の机に戻って行った。そういえば、あの人もよく独りでいるよな。

 

「まあ、良いか。」

 

俺は、そう言うと再び眠りに入った。

 

 

 

 

授業も怒られながら終わり、眠さをこらえながら、帰路につく。隣には日野さんがいるが。

 

「全く。なんで、いつも寝てんのよ。」

 

「別に。眠いから眠るんだよ。」

 

「そんなんだから、テストの点も悪いのよ。」

 

「知ったことか。難しい問題が悪い。」

 

この世界の小学生の問題は、力を抜いて受けている為毎度点数が悪いのだ。いや、そのうちマジでヤバくなるかも知れない。

 

「日野さんは、常に成績が上位で羨ましいね。確か去年は学年7位だったっけ?」

 

「なんで、知ってんのよ。」

 

自然と他の転生者の成績を見てましたから。因みに1位は、”アリサ・バニングス”だったけ?恐らく転生者共はマジで手を抜いてやがるな。自重しろよ。他の頑張っている子供の事も考えろ。

 

「な、何よ。なんで、そんな哀れそうな目で私を見てるのよ!」

 

「いや。ガンバッテ。」

 

きっといつか報われるさ。

 

「さて、着いたぞ。ここだ。」

 

古い木造の家が目の前にあった。表札には時田と合った。

 

「ここ、人が住んでたのか。てっきり空き家とばかり思ってたぞ。」

 

ここにやって来てはや一年になるが、まさか人が住んでたとは。この街は不思議がいっぱいダァ~。

 

「アンタね・・・まあ。いいか。」

 

日野さんはそう言うと、チャイムを鳴らした。なんとも虚しくなる音が響いた。

 

『・・・はい。』

 

とインターフォン越しに女の子の声が聞こえてきた。

 

「あ、時田さん。同じクラスの日野だけどさ。プリントを届けに来てやったわよ?」

 

『・・・ありがとう・・・。ポストに入れといて。』

 

「嫌よ。出てきなさい。アンタもう1週間も休んでるじゃない。どうしたのよ?」

 

『何でもないよ。・・・ただ、行きたくないだけ。』

 

「何でよ?アンタ自分がどういう学校に行っているのか分かってる訳?高いのよ?学費とか。」

 

それに入学試験も大変だよ?

 

『・・・。』

 

「あ、ちょっと!」

 

時田さんはそのまま喋らなくなった。

 

「もう!なんなのよ!」

 

「いや、多分日野さんが悪いと思うぞ。引き篭り相手にその口調は逆効果以外の何者でも無いから。」

 

「むううう。」

 

日野さんは、軽く唸ると、ズカズカと門を潜って玄関まで行った。後はプリントをポストに入れるだけだ。やっと帰れるな。

 

「ファー。」

 

軽く欠伸をして、日野さんの帰りを待つ。日野さんはポケットから何かを取り出しドアに何かをしていた。

 

「??」

 

何を・・・”ガチャリ”ハイ?何?さっきの音は。

 

「さて、入るわよ!」

 

「ええ!!ちょっと待て!なんだそれは!」

 

「ん?万能鍵?」

 

なんだ?そのチートアイテムは?

 

「私の発明品よ。趣味でね。」

 

趣味でそんなもん作るなよ。と言うより使うなよ!

 

「おい、不法侵入罪だぞ?」

 

「そう。ホラ。」

 

「あ、ちょ・・・。」

 

「これで、アンタも同罪ね。」

 

「何でだよ!」

 

「ホラ、行くわよ。心配しなくても、友達思いの子供の可愛い罪って所よ。」

 

俺は、別に友達じゃないのだが・・・。

 

「さて、行くわよ!引き篭りちゃんの話を聞きにね!」

 

日野さんの迫力に負け、俺はなし崩しについて行く事になった。

家に帰りたい。

 




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