「未来が見える?」
「うん。だから日野さん達が来ることが分かってたの。」
出された紅茶を啜りながら時田さんはそんな事を言った。
「未来予知って事?」
日野さんは、怪しい物を見る様な目で時田さんの部屋を見渡しながら言う。自重しろよ。
俺は、ため息をつきながら、時田さんに聞く。
「どうして、未来人なんだ?」
「え?未来が見えるんだから未来人に決まってるよ?」
いや、どちらかと言うと超能力者のカテゴリーに入るんじゃ・・・。
「でも、コイツが、鈴音ちゃんを救う超能力者って、どう言う事?」
コイツ扱いかよ。と言うよりなんで、こんなに慣れ慣れしいんだ?
友達か?違うからね!
「そうそう。俺にそんな力なんて無いからね?」
「そんなこと無いよ?私の夢の中で助けてくれたもん。」
ああ。確かに変人の類だこの子。・・・人の事言えねえけど。
すると、日野さんは、時田さんの前に座って目線を合わせた。
その姿まるでカウンセラーだ。いや、実際そうするのだろう。
「ねえ、鈴音ちゃん。それは、どんな夢だったの?」
「うん。私ね、昔からよく正夢を見るんだ。楽しい夢もあれば、怖い夢もあったの。中には信じられない様な非常識な夢も見たけど全部本当になったの。」
「それって、もしかして家中に貼ってる絵の事?」
日野さんの言葉で先程の絵の事を思い出す。確かにアレは、子供の絵だった。きっと忘れない様に描いていたのだろう。
「うん。日野さんが信じてないのも分かってたよ。夢でみたから。」
時田さんは、机の中から一枚の絵を取り出して俺の前にやって来た。
「お願い。これを見て私を助けて。」
それは、黒い何かに人が食い殺されている絵だった。なんだ?コレ。
「私。今日の夜にこのままだと食べられちゃうの。」
一通り話を聞き終わり、俺と日野さんは帰路についていた。
「・・・どう思う?」
「分からん。」
時田さんの話は、確かに滅茶苦茶だ。しかしスジは通っている。
そもそもからして、憑依なんぞしている上に超能力者な俺にとって、未来予知の存在は信じざるおえない。
「時田さんの事どうするつもり?」
「日野さんは?」
「明日学校に話して見るわ。」
「じゃあ、俺も同意見で。」
時田さんの予知では、今日襲われるらしい。もし事実ならば、明日ではもう遅いだろう。
行って見るかな。恐らくこれは原作とは無関係だろう。なんせ”なのは”と言う言葉がこれまで一度も出てきていないのだから。
「じゃあ、またね。」
「ああ。」
もう二度と御免だ。さっさと真相を掴んで早く平和な日常に戻ろう。
深夜。
11時。俺は、時田さん宅玄関前付近に立っていた。因みに”大嘘憑き”により気配を無かった事にしているので、警察の方のお世話になることはない。
「確か。今日中に起きるんだったよな。」
そうつぶやき、時計を見るが、本日終了まであと49分しかない。
「まあ。嘘ならそれでも良いけどさ。」
そう言いながら、暇つぶしに持ってきた本を読んでいると、前方に人影を発見した。
どうやら、辺りを警戒しながら近づいていているらしく、えらくキョロキョロしている。怪しい。
「・・・。」
もし、アレが時田さんの予知の犯人の場合、”食べられる”とは・・・・・・。
・
・
・
止めよう。理性が持たない。俺は、そう考え、地鉄の剣を作る。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
そして、人影と向かい合う。それは子供だった。
女の子だった。
知り合いだった。
日野さんだった。
「・・・・・・・。」
相変わらずキョロキョロとしている日野さん。俺にぶつかると、「ヒィ!」と小さく悲鳴を上げた。
なんか、面白い。
「日野さん?」
「・・・・・・。」
俺を無視して日野さんは近くの壁に寄りかかった。そして再びキョロキョロし始めて時計を見る。
「あ、そうか。」
俺は、”大嘘憑き”を解除し語りかける。
「日野さん!」
「!!!!!!!!!!」
突然現れた俺に驚愕する日野さん。
「ああああああ、アンタいつの間に!」
「さっきからいたよ。ぶつかったじゃん。」
「え?えええ!!」
「日野さんこそ、ここに何用?」
今だ混乱中の日野さんが落ち着くまで5分弱かかったが、どうやら彼女は時田さんが心配でやって来た様だ。
警察に見つかるリスクを侵し友達のために行動する。流石は委員長キャラだ。
「・・・だが、委員長は別にいる。」
「は?」
「いや、気にしないでくれ。」
2人になったことにより多少暇を潰す事が出来た。そうして行く内に時間は過ぎ。
「もうすぐ12時か。結局何も起こらなかったわね。」
「そうですね。後、19秒。」
10
・
9
・
8
・
7
・
6
・
5
・
4
・
3・・・・・・ガリャン!!
「きゃああああ!!!!」
突然のガラスの粉砕音が響きわたりそれに続いて聞こえる時田さんの悲鳴。
何事だ?
「!!」
「!」
俺と日野さんは、すぐに家の中に入った。どうやら鍵はかかって無かった様だ。
「時田さん。来るのが分かってたのみたいね。」
「だろうな!」
階段を駆け上がり、部屋に入ると、そこには。
「・・・み・・・南くん・・・タスケ・・・。」
血まみれの時田さんがいた。そして。
「・・・・・・。」
普通なら悲鳴でも上げそうな日野さんは、固まっていた。当然だろう。なんせそこには。
「グルルルル・・・・・・。」
真っ黒な闇より深い毛並みの巨大な犬がいたからだ。