とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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第13話 突撃となりのお夜食

訳が分からないわ。何よこれ?

 

「グルルルル・・・。」

 

私はただ、鈴音ちゃんが心配で見に来ただけなのに。なんで部屋に、こんなのが居るのよ。

”食べられる”言葉どうりじゃない!

 

「早く警察・・・保健所に!」

 

「そんな所で対処出来るのかコレ?」

 

じゃあ、どうしろってのよ!そう言おうとした時

 

「ガアアアア!!!」

 

「イヤアア!!!」

 

犬の大きな口が開かれ中から鋭い牙が覗いた。不味い食べられる!

 

「突撃!隣のお夜食!」

 

その時凄まじい轟音と共に眩しい閃光が迸った。

 

「ガガガアアアアァァァァ!!!!!」

 

焦げ臭い匂いを放ちながら犬は窓を突き破り落下していった。

何なの?何が起こったの?

 

「・・・五百円・・・くっ!生きてるか?」

 

「・・・うん。・・・やっぱり・・・助けてくれた。・・・夢・・・・・・。」

 

「鈴音ちゃん?き、救急車!」

 

「無駄だ。これだけの音が出たのに誰も来ないんだぞ?何か張ってやがるな。」

 

南は、そう言って、鈴音ちゃんに手をかざした。すると

 

「え?・・・えぇ!!!!!!傷が・・・服が・・・治ってる!」

 

いやそれだけじゃない。部屋までもが、まるで何事も無かったかのように元に戻っていた。

何なの?これは?夢?夢でも見てるの?

 

「さて、時田さん大丈夫か?」

 

「うん。ありがとう。やっぱり南くんは超能力者だったね。」

 

「出来れば、使いたくなっかったけどな。」

 

南は笑うと窓の外に目をやった。私もそっと、覗いて見ると先程の黒犬が未だにウロウロとこちらの様子を伺っていた。

何よあれは、それに何よさっきのは!

 

「・・・・・・。」

 

「ねえ。」

 

「何だよ?今考えてるんだけども。」

 

「アンタ何者なのよ。」

 

「只の超能力者だ。」

 

そう言うと、面倒臭そうに手の上に光・・・いや電気を発生させた。そうか、最初にあの犬を吹き飛ばしたのはこれだったのね。

 

納得・・・

 

「出来るか!」

 

「うを!なんだよ行き成り!」

 

「そんなチャチイ能力で納得出来る思っての?」

 

「チャチイって・・・結構凄い力なんだけど・・・。」

 

「正直に言いなさい?痛くしないから。」

 

「何されんの!俺?」

 

もう面倒ね。・・・やちゃおうかしら?

 

 

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 5分後経過

 

「つまり、全部無かった事出来る能力って事?」

 

「・・・・・・・・・あい。」

 

「他には?」

 

「ノーコメント。」

 

「・・・・・・まあいいわ。それより、アレまだ彷徨いてるわよ?何とか出来る?」

 

窓の外には相変わらず黒犬がウロウロしていた。これじゃ外に出られないわ。

 

「俺より弱ければな。時田さんを頼むぞ。いくら”大嘘憑き”で傷を無かった事にしても精神的にかなりキツイからな。」

 

「わかった。気を付けてね。」

 

南は、頷くと窓から・・・ではなく普通にドアから出て行った。

 

「微妙・・・。」

 

「頑張って・・・。南くん。」

 

 

 

 

「グルルルル・・・。」

 

「ちっ、俺の今月の小遣いの25%を喰らってまだ元気なのかよ。」

 

先程のとっさの攻撃により俺の財政は行き成りピンチに陥った。

でも元気です。

ピンピンしております。

泣きたい!

 

「ガア!」

 

「おわ!っと。」

 

とっさに紫電を辺りに走らせ犬を威嚇する。これで近付けまい。

 

「所詮は獣!さあ、逃げ回るが良い。」

 

「ガアアアア!」

 

しかし、犬は紫電など気にした風もなく襲いかかってきた。最近の獣は度胸があるようだ。

 

「何の!地鉄の盾!」

 

「ガアアアアァァ!!!」

 

ぶつかる、犬ととっても薄い盾。

 

「しまった!ここは、町中だった!!!」

 

川原や砂場などなら砂鉄も豊富なのだが、ここは整備された町中である。悲しい事に砂鉄は少ない。

なんと言う悲劇!町の発展がもたらした悲劇の結果だった。

 

「グラアアア!!!」

 

「にぎゃああ!!!」

 

肩の肉が抉れ、血が吹き出る。しかも無茶苦茶痛いと来た、気分は最悪だ。

 

「畜生!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」

 

肩を抑え何とか血を止めようとするが流石に止まる訳のもなく血が溢れる。俺は、あまりの痛みの地面をゴロゴロと転がって痛みをまぎわらすしかなっかた。その時。

 

「何やってんの!さっきの奴やればいいでしょうが!」

 

日野さんの声が真上から聞こえてきた。・・・さっきの奴?

 

「ああ!これか!」

 

俺は、”大嘘憑き”で傷を無かった事にした。ナイスだ!日野さん。俺より能力を分かっている。

 

「グルル・・・。」

 

「へへ・・・さっきは、よくもやりやがったな。かく――。」

 

「ガアアアア!!」

 

「はや!でも同じ手は食うかよ!”反射”!」

 

俺は、”反射”を使い犬を弾いた。犬は、コンクリートの壁に激突し赤黒い血を吐き出す。動物愛護団体が見たら訴えられかねない光景だった。けれども俺に手心を加える義理はねえ。

 

「こいつで、終いだ!」

 

俺は、犬に駆け寄り頭を抑える。そして繰り出すは、ある意味殺人技の一つ。

 

「日野さん!目を瞑ってろよ!”ベクトル”逆流!」

 

犬の体内を流れるあらゆる液体を逆流させる。どうなるか?

 

「ボバババアア!!!!!!!」

 

正解は、犬の頭が破裂するでした~。グロ!

自分でやってなんですが、無茶苦茶グロイ。しばらく肉はNGだろう。

 

「でもまあ・・・アレ?」

 

見ると犬の姿は薄くなっていた。なんだコレ?

 

「・・・。」

 

「犬はどうなったの!って、何よコレ!」

 

どうやら、これは、俺の目がおかしくなった訳じゃないらしい。そう考える、と同時に犬は、闇の中へと消えて行った。

気のせいか、薄らと辺りに冷気が漂っている様な気がした。

 

 

 

 

「・・・痛っ!何?」

 

とある所で人影がそんな事を言って自分の指を舐めていた。

 

「”ダークネス・ハウンド”がやられた?ウソ!」

 

人影はすとんきょうな声を上げ驚いていた。

 

「何で?なんで?(@_@。?まさか、転生者に気づかれた?」

 

声の主は、本当に訳の解からないと言った感じに頭を抱えた。

 

「・・・それは、無いか。だってアイツ等、原作キャラに付きっきりだしね。でもそうだとしたら・・・。」

 

人影は、一つの水晶玉を取り出した。そして・・・

 

「あーダミダ~結界が邪魔だった~こんな事なら貼るんじゃ無かったよ~。」

 

水晶玉の中は砂嵐の様に濁っていた。殆ど自業自得である。

 

「・・・・・・アリ?」

 

しかし、結界が解除すると2人の男女が映った。恐らくこの内の片方もしくは両方が”ダークネス・ハウンド”を片付けたんだろう。

 

「・・・ムウ・・・。」

 

人影は一つ唸ると、ポンと手を打った。

 

「ここは、セオリー通り女の子を当たってみるかね~。」

 

当たりなら上等。外れでも上等。どちらにしても・・・。

 

「アタシの殺人を邪魔する奴は生かしておけないしね♪そうでしょう?”マッド・ブッチャー”。」

 

人影の背後にまた別の人影が現れる。それは、答える様に手に持っていた肉厚の肉切り包丁を掲げ呻き声の様な咆哮をあげた。この場所には、まるで冬の様な冷気が漂っていた。




一応感想にも書かれていたので数日中に、能力をまとめた設定を入れます。

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