とある市民の自己防衛   作:サクラ君

21 / 85
第16話 下校時間の対策

「だから、悪かったって言ってるでしょう?」

 

「・・・へえー。」

 

「・・・私は、もう気にしてないよ?」

 

下校時間。そして、下校風景。大勢の生徒が帰りPTAのオジサンやオバサンが旗を持って笑顔で声をかけてくれる、いつもの風景を3人並んで歩いていた。まさか、俺が別の誰かと並んで帰るとは、夢にも思ってなかった。

しかも、女の子となんて、絶対になかった。これが、アニメの中だけで実現していると言う伝説のシチュエーションか。

まあ、嬉しくはないけどさ。

 

「がっ!」

 

拳が飛んできた。なんで!

 

「むかついたから。かっ!となってつい。」

 

「そんな、少年犯罪的動機で殴られたの!」

 

「・・・大丈夫?」

 

時田さんに貰ったティシュで、鼻を抑える。今度から”不慮の事故”を常時発動状態にしておこうか?

そんな、殺意を表していると、分かれ道がやって来た。

 

「じゃ、私こっちだから。また、明日ね!南?鈴音ちゃんは、縛ってでも連れてきなさいよ!」

 

「俺が?」

 

人に見られたら、大問題なんですけど?

 

「大丈夫よ~多分。罪はアンタがかぶってくれるから。」

 

「何も大丈夫な要素が無いんだけど?」

 

「じゃ!」

 

シュタッと手を上げると、日野さんは、マンションの方角へ走って行った。・・・さて。

 

 

 

「時田さん?」

 

「・・・うん」

 

俺は、時田さんから、一枚の紙を受け取った。それには、朝見た絵と同じモノが描かれていた。

 

「やっぱ、そうか。これ以外は?」

 

「・・・ごめんなさい。分からなかった。」

 

時田さんは申し訳なさそうに頭を下げるが、これだけあれば十分である。

 

「ありがとう。これで、確信が得られた。」

 

「・・・でも、どうして?」

 

「それは、秘密と言う事で。まあ、一つ確かなのは。」

 

「・・・日野さんが危ないって事?」

 

「ああ。しかも今夜だ。」

 

俺は、もう一度絵を見る。その中で、日野さんは赤い肉塊と化していた。こうなるのに俺の予測だと5分もかからないだろう。

あの力ならば、尚更だ。しかも、あの力は、俺にとっては天敵と言っても良いだろう。

 

「まだ、転生者共と戦った方がマシだっただろうな。」

 

敵が異能だったら、右手で打ち消せる。チートなら”反射”や”不慮の事故”で対応出来る。だが、俺の予想が正しかったら。

 

 

 

相手が”悪夢”なら?

 

 

 

「勝てるのかね?俺の力で?」

 

なんで、こんな厄介な事に首を突っ込んだのかね?俺も。

 

「・・・絶対に生きて帰って来てね。」

 

そう言ってくれる、時田さんの言葉が重かった。その後、時田さんを家まで送り1人アパートへと戻る。

 

 

 

時間は、多少ある。とりあえず、寝とこうか?夜は長くなりそうだから。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。