「そろそろか。」
俺は、日野さんのマンションの前で、その時を待っていた。
時田さん予言が正しければ、これから三分以内に何かが起こるだろう。
「・・・。」
時計を見ながらマンションを見上げると、心無しか肌寒くなってきた。
「来た!」
俺は、全力で走りマンションへと突撃した。
「ハアハア・・・・・・もう嫌だ。帰りたいよ~。」
私は、教室の中の机の下に隠れてそう呟いた。そして
「ここは何処なのよ。」
この机の大きさは、どう考えても小学生のサイズじゃないのだ。つまり、ココは聖杯小学校じやない。
いや、それ以前に現実かどうかも怪しい。なんで、今日が満月なのよ!
「こんなことなら、鈴音ちゃんも南も家に泊まってもらってれば良かったわ。」
きっと、南だったら、いち早く気が付くに違いない。でも、所詮後の祭りなのだ。
ここには、自分の味方はいない。いるのは大きな黒犬と変な子供だけだ。
「いいや、きっと大丈夫よ。冷静になれ私!鈴音ちゃんの絵を思い出せ!」
あの絵には、満月の夜に八つ裂きにされる私が描いてあった。でも、その隣には大きな人影が、描いてあったのだ。
あの子供も犬もそれには該当しないはずである。つまり、この場はなんとかなるかもしれない!そうよ!なんとかなる!
「グルルルル・・・・・・。」
すると、私の教室に黒犬がゆっくりと入ってきた。私は息を潜める。鼻の良い犬にどれだけ使えるか解からないけれど・・・。
「・・・。」
「グルル・・・。」
「・・・。」
「グルルル・・・。」
頼むから、そのまま・・・・・・。
「・・・。」
「グルル・・・。」
私の祈りが通じたのか、黒犬の足音が遠ざかっていく。助かっ・・・
「見ーつけた~!」
助からなかった。行き成り子供がこっちをしやがんで見ていたのだ。何?コレなんてホラー?
「きゃああああ!!」
「アハハ~待ってよ!」
子どもを突き飛ばし、また走る。
「アハハハ~待て!!」
しかし子供は、まるで私の居場所が分かっている様に先回りしては、追いかけて来るのだ。
そう。まるで、私の考えが詠めるのか、それとも瞬間移動でもしている様に。
「なんなのよ!あの子!」
そう叫びながら、走っていると前方からあの黒犬がゆっくりと歩いてきた。私は、直ぐに方向転換するが。
「グルル・・・。」
「って!こっちも。なら。」
また、別の方向を見るが、
「グルルル・・・。」
「ガルル・・・。」
どうやら、全方位を囲まれていたらしい。詰んだ!
このか弱い美少女小学生に何とか出来る状況じゃない。
「アハハ~もう終わり?残念だな~もう終わっちゃうなんて。」
「嫌・・・何なの・・・アンタ・・・ココどこよ・・・。」
でも、子供は、そんなことを話す必要が無いとばかりに獰猛な笑みを浮かべた。
「グレーブヤード。かつて、雪の女王が行った、殺し合いの舞台。一年をとうして、まるで冬の様な気温。そして、この場所で最も恐ろしいのは、その世界の事柄は全て作り出した者が支配出来る事だ。」
その代わりに、今この場で最も聞きたい声が聞こえてきた。
「南!どこ?どこにいるの?」
辺りを見渡せど姿が見えない。
「こっちだ。こっち!」
と、声は、私の下から聞こえてきた。・・・下?
「おーい!」
見ると、手の平サイズの南が手を振っていた。え?何コレ?
「ちっ、ヤッパ、こっちじゃこのサイズが限界か。」
「アレー誰かと思えば本物じゃん!ここにどうやって来たの?」
子供が、黒犬近付きながら南に聞いてくる。それに対し南は、笑う。
「なーに・・・俺は、南一夜。只の超能力者だよ。」
そして、何故か子供も笑った。
「アハハ~そうなんだ。アタシは余世夢。只の殺人鬼伴超能力者だよ~。」
何?こいつも超能力者なの?しかも殺人鬼?
「落ち着け。こんな奴、現実じゃ敵じゃない。」
「現実?どういうこと?」
南が、何かを言おうとした時。余世が腕を振った。それと同時に4匹の黒犬が私に飛び掛って来た。
「わあああ!!」
「日野さん!左腕を突き出せ!」
「え?」
そう言われ、私は、腕を突き出した。すると・・・。
「「キャン!!」」
偶然当たった、2匹が砕けて消え去った。
「な!」
「え?」
私はともかく余世まで驚いていた。これは予想外だったらしい。
「”却本作り”夢の中だから充分じゃねえが。”幻想殺し”と”超電磁砲”が使用可能になってる。流石に”不慮の事故”と”大嘘憑き”は無理だったけどな。」
「夢って・・・ここって夢の中なの?」
私の言葉に南は、コクリとうなづいた。そして、私を見る。
「日野さん。悪いけど俺は今、日野さんを抱えて逃げてる最中だから、加勢が出来ない。だから、アイツを日野さんが倒すんだ。」
「は?どう言う事?」
「”脚本作り”は、ちょっと発動条件がショッキングでな・・・只今ショットガンやらを持ったメイドさんや黒服のお兄さんに追われてる正直キツイ。」
手の平サイズの南は、チョコチョコと走っているマネをして言った。ちょっと可愛いかも。
「のわ!掠った!!嘘・・・実弾!」
「当然でしょう?アンタ誰を誘拐してると思ってんの?因みに誰一人傷付けたらダメだからね?」
「難易度ハード?!」
まあ、こいつなら大丈夫でしょう。私は、そう考えると笑って余世の方を見た。余世は、先程までの笑顔ではなく、怖いくらい慎重な表情になっていた。
「ハア~まさか、アタシの能力に干渉出来る奴がいたとはね・・・。良いわ、かかってきなさい。全力で潰してあげるから。」
「それは、こっちのセリフよ。超電磁砲少女イマジンナギサが成敗よ!」
「「ダサ!」」
よし、この超能力者共後でコロソウ。
次はバトルです。誰がバトルするかは・・・次回のお楽しみということで!!