学校の中を強烈な電光が駆け巡り、闇に包まれた校内を照らし出している。
いま、この場に対峙する2人の人間。
1人は、小学校低学年程の子供にして殺人鬼。”余世夢”
別名。夢の殺人鬼。敵を自分の夢の中へと引きずり込み仕留める。完全犯罪者である。
1人は、小学校4年生の同じく子供にして超能力者(仮)。”日野ナギサ”
別名。委員長。厄介事を人に押し付ける厄介なお人である。
「なに?なんか、すごく失礼な事を言われた様な気がするんだけど?」
「アハハ~何余所見してんの?」
私が、油断している隙に余世は、次々と黒犬を召喚して私を襲わせる。流石にこの数は右手じゃ捌ききれず辺りに紫電を放って、牽制する。実に不思議な事に能力の使い方が頭の中に流れ込んで来るのだ。
おかげで、次にどうすればいいのかよくわかる。
「ちぃ、アンタ!そんな遠くからじゃなくて、近くに来なさいよ!」
「嫌だよ?その力アタシの能力をあんまり寄せ付け無いんだもん。近付くだけ危険よ」
余世は、そう言うと、次は炎を繰り出した。なんでもアリですか?
「でも、その程度なら!コイツで十分!”超電磁砲”!」
「甘い!”不闘”!」
すると、どういう事か、余世の炎の勢いと威力が段違いに上がり、”超電磁砲”を軽々と貫いた。
「嘘!クッ・・・!!」
右手を突き出して炎を防ぐが、それが、駄目だった。
「アハハ!隙アリ!”呪われた双剣”!」
突然現れた、双振りの双剣が私の鎖骨から胸にかけて皮一枚を切り裂いた。
「痛っ!切られた!痛い!」
「アハハ!」
「・・・でも・・・。」
私は、素早く相手の腕を掴む。ただじゃやられないわ。
「最大電流!!!!」
「えっ?・・・・・・アギャアアアアアアア!!!!」
直接電流を相手に流し込む。舐めんじゃないわよ!
流石に、電流を直接流した影響で、余世の体が、プスプスと煙を上げて、焦げ臭くなる。
「ア”ア”ア”ア”・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
正に電気椅子。しかも正面から見ている。もう限界かも。
「てい!」
腕を放し余世を放り投げる。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
ピクリとも動かない余世を見ていると、何もここまでする必要があったのか?と思わなくもない。
てか、やりすぎたか?
「・・・まあ、良いか。早く本当の世界に帰してよね」
その時、ポンという音が聞こえ下を向くとミニ南が出現した。
「ハァハァ・・・あのジジイ・・・だだもんじゃねえ・・・。日野さん無事・・・ヒデェ」
「何よ?文句あるの?私だって、見てよ!こんなにやられたのよ?」
私は、自分の傷を示す。コレ治るの?まぁ、いざとなったら、南にやってもらえば良いか。
「・・・ユルサナイ・・・」
「「!!」」
その時、完全に枯れ果てた、声が聞こえてきた。私もミニ南もそちらを見ると、そこにはプスプスと最早炭人間と化した余世がいた。
「キャアア!」
「ホラーだね。てか、アレやったのは日野さんなんだから。悲鳴はないと思うぞ?」
「いや!いや!嫌ァ!!!」
「ア”・ア”・ア”・・・―」
更に電撃をぶち込む。悪即滅。
「ひ、日野さん!それぐらいに・・・せめて原型を残さないと・・・」
「ハァハァハァ・・・」
煙が、辺りに漂い炭臭い臭いが鼻を付く。殺った?そして、煙の中に一つのシュルエットが浮かび上がる。
「・・・ハ?」
「・・・来たな。日野さん勝負はこれからだ」
それは、2メートルは超える大男だった。片手に肉厚の肉切り包丁を持ち、濁った眼でこちらを見ていた。
「アカカカ・・・コロシテヤル・・・コロシテ・・・ヤル・・・”マッド・ブッチャー”アノ、オンナヲコロセ・・・」
「フシュ、、、」
大男は、ゆっくりとでもとても早く私に近づいてくる。なによ・・・この人?
「ま・・・マジかよ・・・」
すると、ミニ南は、見当違いの方向を向いて呟いていた。
「・・・テメェ・・・寄りにも寄って、こっちにエライもん召喚しやがったな」
「・・・どうしたのよ?」
「悪い。ちょっと不味そうだ。そいつが現実世界でも召喚出来る事を完全に忘れてたわ」
ミニ南の声は、本当に不味い事を知らせていた。本当に何があったのよ。
「アハアh・・・ミnナ・・・しnジャエ・・・”ヨトゥン”ミンナゴロシテ・・・アハ」
狂気に満ちた、余世の声に背筋が凍り付そうになる。すると、ミニ南がとんでもない事を呟いた。
「日野さん。悪いけど、追っては一回殺しておくよ」
「は?」
南まで何を言ってんの?馬鹿になった?
「じゃないと、正直再生が出来ないくらいグチャグチャにされかねない」
ミニ南のちっこい体を握り潰さんばかりに握るが、反応一つしないと言う事は本当にヤバそうな奴がいるのだろう。
「・・・好きにしなさい。ただし・・・」
「分かってる。”無かった事”にするだけだから。とにかく」
「うん。分かってる。絶対に・・・」
「「勝ってよね」」
そう言うと、ミニ南はポンと消えた。
さて・・・・・・
「フシュ・・・。。、、」
「あんたの相手は私ね。叩き潰してあげる」
さあ、戦闘開始よ。