「部活に行くわよ!」
「は?」
朝の悪夢を振り払う為に惰眠を貪っていた所、放課後突然Ms,日野が、そんな事を言った。
「何言っての?俺は、部活になんて入ってねえぞ?」
「アンタねえ、随分前に先生が言っていた事忘れたの?」
先生が・・・?
「夜の課外授業?」
「・・・4年生になったら、一時的に部活に入らなくちゃいけない。って言ってたでしょうが」
ああ、そう言えば、そんな事も言ってたっけ?すっかり忘れてたわ。
「取り合いず、皆アンタが休みの間に部活を決めちゃったわよ?」
「・・・・・・誰の所為だ。」
「夢ちゃんよ!」
「少しは誤魔化せよ!」
駄目だ、この人は本当に駄目だ。きっと敵も多いぞ。
「と、言う訳でアンタは、本日より我が文芸部に所属よ!」
「はいはい・・・って!なんでもう決まってるんだよ!」
「部員は、今の所6人なのよね。」
駄目だ、もう話が先に進んでる。この人には、最早何を言っても無駄だろう。自信がある。チョイマテ・・・
「・・・我が部?」
「ん?ああ、文芸部には、部員が一人もいなかったのよ。だから、私が乗っ取ったって訳」
学校側!何故早く潰さなかった!悪魔に乗っ取られてるぞ?日野さんに任せたらどうなるのか分かってるのか?
そう心で叫ぶが、言葉にする勇気は無かった。
「よーし、早速シュパーツ!」
ズルズルと引きずられながら、俺は考えた。早く辞める方法を。
日野さんに連れられてやって来る事約6分。場所は、学校の3階にある図書室の隣の小さな空き室。そこが、文芸部の部室だった。
何のための教室なのかと思っていたが、まさか部室だったとはな。
「まあ、とは言え今日来てるのは、一人なんだけどね。」
「一人?時田さんか?」
「うんん、鈴音ちゃんは、先に帰ったわよ?」
「は?」
こいつは、前回の教訓を生かしていないのだろうか?
「なんでも、この間何かあったらしくてね。苛めていた主犯格2人が、鈴音ちゃんに土下座して許しを来いて来たのよ。それからは嘘の様に周りの見る目が変わったわ。」
「・・・・・・。」
ああ、あの時のバカップルか。どうやらあの時割り込んでいて正解だったみたいだ。・・・1組にはバレてねえだろうな?
「じゃあ、誰だ?こんな物好きな部活に入る命知らずは?」
「ほう・・・。」
「このような、素敵な部活動に入った、聡明な方はどのようなお人で御座いましょうか?」
すると、日野さんはニタリと不気味に笑った。
「フフフ・・・よくぞ聞いてくれたわね・・・。」
「部長。失礼しました。コレ安物ですが。」
俺は、売店のチョコレート(10円)を渡し去りゆく。
「待ちなさい。この部活は、アンタの為でもあるのよ?」
どう言う事だろうか?俺がそう聞く前に日野さんは、語り出した。
「夢ちゃんの事で、超能力者が、どれだけ孤独だったかが、分かったの。あの子だって、友達さえいれば、ああはならなかったんじゃないかって。アンタも友達がいないでしょう?だから、偽善と思われても仕方が無いけど、せめて友達の一人や二人作って欲しいのよ。」
日野さんは、俺の目を真っ直ぐ見つめてきた。どうやら俺と余世の人生を似たようなものだと思っているらしい。
「えっと・・・。」
無茶苦茶違うが・・・気持ちはチョット嬉しい。この1年間俺はずっと、”高町なのは”を避けるために目立たず、友達も作らなかった。お陰で、学校のグループ作りでは、いつも余る存在だ。・・・もう1年経った。・・・もう良いのではないか?友達を・・・仲間を作ったって・・・。
「日野さん。」
「なによ?」
「ありがとう。」
「・・・うん。でも作れるのかはアンタ次第よ?安心しなさい。この中にいるのは、アンタが休みの間に入ってきた、転校生だから。ハンディは無いはずよ。」
「転校生?いたっけ?」
「アンタは、今日は寝てたからね。気付かなかったのよ。」
そうだったな。そう言えば、机が増えていた気がする。俺は、そう思うと気分一転。文芸部の部室のドアを開いた。
「失礼しマース!」
第一印象が大事だ。そう思い笑顔で入ったのだが、その瞬間全身がフリーズした。
部室には、一人の女の子がいた。
髪は、透き通る様な銀色。よく学校が許したものだ。
カワイイと言うより大人びている美人と言う部類だろう。
「やあ!リンちゃん、お待たせ!南、この子が転校生の”八神・リインフォース”ちゃん!1組の八神兄妹の親戚で・・・。」
最早、日野さんの言葉は、耳には入って来なかった。
「「・・・・・・・・・・・」」
お互い、どうやら何をするのか分かっているようだ。話が早い。
「南?どうしたの?あ、まさか!リンちゃんに見とれ――」
瞬間、無数の螺子と幾つものバリアのような壁が発生した。
こうして、俺は、あの時の原作キャラと再開を果たしたのだった。
ついに原作キャラ登場!続きは次の話で!!