とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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シリアス突入?


第27話 復讐者

 

 

 

父が死んだ。その時一緒に母も死んだ。

許さない。俺達は、決して許さない。

”闇の書”必ず復讐してやる。

 

 

 

 

「よーし!今日の部活終了!!」

 

「「ハーイ。」」

 

「アーイ。」

 

個性豊かなメンバーを新たに加え、1週間も経った。そろそろ順応してきている自分が怖い。

 

「って、いかんいかん!相手は、原作キャラだ。」

 

原作キャラと仲良くなるなんて、死亡フラグ以外の何者でもないからな。

取り合いず今の所は、完全に無視している。もちろん全員にだが。原作知識が無い以上どいつが敵なのか分かったもんじゃない。

 

「なぎさお姉ちゃん!迎えに来たよ!」

 

と、そんな声が、聞こえたので顔を向けると、1メートルはあろうかという大きな黒犬にまたがった、余世がいた。

彼女は、殆ど毎日、日野さんを迎えに来ていた。最早完全にボディガードの様な存在とかしていた。

これが、元”殺人鬼”の末路だと思うと泣けてくる。因みにこの町には、コレと同等の犬がいるらしく人並に驚いたのは、後藤だけだった。

 

「あ、夢ちゃん待って、じゃ!南。鍵よろしくね!」

 

日野さんは、そう言うと素早く荷物をまとめ、余世と学校を出て行った。

 

「じゃあ、私達も帰るか。一夜。鈴音。また、明日。」

 

「じゃあな!」

 

「さいなら。」

 

リン、ヴィータ、後藤は、そう言うと教室を後にした。

 

「アイツら…そんなに鍵を返すのが面倒臭いのか?」

 

「…職員室まで行くのが、面倒なんだと思うよ。」

 

「そうかい。じゃあ、いつもどうり下駄箱の前で待ってて。」

 

「うん。」

 

時田さんは、そう言うと荷物をまとめた。

何故俺が、こんな事を言っているかと言うと、女の子を送っていくのが、男の常識!と言う日野さんの発言によって、家の近い者同士が、一緒に家に帰る事になったのだ。なので、家が近い俺と時田さん。後藤と八神×2。が一緒に帰っている訳だ。

例外は、日野さんのみだが。

 

「ハア…でもまあ、原作に関わるよりましか。」

 

俺はため息を吐くと、鍵を返しに職員室に向かった。

 

 

 

 

「オーイ!急いでくれ2人共。早く帰らなければ、ロリタマを見逃してしまう!」

 

「ああ。分かってる。」

 

「ヘイヘイ。」

 

明らかに焦っている後藤を先頭に私達は、帰路についていた。ナギサの提案から1週間経ち最早日常の一部と化している。傍から見れば仲の良い小学生の下校風景だろう。

 

「フフ…。」

 

「ん?何が可笑しんだ?」

 

「いや…何でも無い。」

 

こんな風景に紛れ込めるなんて、前の私は、考えもしなかった。”闇”と言う鎖に囚われ自由を忘れていた。いや、そもそも自由など知らなかった。・・・本当に私は、幸せモノだ。

 

『ウェェン~』

 

そんな時だった。そんな泣き声が聴こえてきたのは。

 

「む?この声は…。」

 

「知り合いか?」

 

「小学校低学年。身長は、前から数えた方が早い女の子の…幼女のものだ!!」

 

後藤が、吼えた。相変わらずの言葉に私もヴィータも引いていた。

 

「アハハ~ドーコーカーナー?」

 

後藤。パーティを離脱。あの動き恐らくテスタロッサ以上だ。

 

「ヤベェ!女の子が危ねえぞ!」

 

「ああ。奴の底が知れない以上放っておくわけにはいかん。」

 

我が部活から犯罪者を出す訳にはいかん。

 

「アイゼン!今すぐ奴を探せ!」

 

『ハイ。』

 

「待て!ヴィータ。こっちの方が早い。」

 

私は、主から頂いた、ケータイと言う通信機器(*ナギサ・カスタム)を取り出しパスワードを入力する。すると、画面に後藤の現在位置が表示された。

 

「…なんだ?それ。」

 

「ああ、ナギサの所有する個人衛生からの映像だそうだ。何でも赤外線や未知の技術が使用されていて、たとえ家の中にいたとしても、何をしているのかが分かるらしい。」

 

「…プライバシーって知ってる?」

 

「急ぐぞ!奴め、もうすぐターゲットと遭遇しそうだ。」

 

私は、そう言うと走った。ヴィータもため息を吐きながら呟いていた。

 

「なんで、まともな奴がいねえんだ…。」

 

それは、私も同感だ。まさか、ヴォルケンリッターより特殊な人間がいるとはな。

 

 

 

 

「ハアハア…オジョウチャン…ダイジョウブ?」

 

「ウェ…ヒイイ!!!」

 

着いた時には、犯罪一歩手前な発言をする後藤を発見した。明らかに狂気に満ちた目をした男に怯える女の子がそこにいた。

 

「テメェ!その子から離れやがれ!!」

 

「ぐぎゃああ!!!!!」

 

しかし、後藤はヴィータによるドロップキックを喰らいゴロゴロと転がっていった。

 

「クハハ!!ここで滅びようともロリは不滅なりぃ~!」

 

かなり見苦しかった。私は、後藤を放って置いて、ヴィータの所に向かった。

 

「おい。ヴィ…。」

 

「リンフォース!来るな!」

 

「は?…わ!」

 

ヴィータに突き飛ばされ、私は、地面に手を着いた。すると、世界が歪んだ。

 

「バカな!これは!」

 

「クソ!」

 

「ん?なんじゃこりゃ!」

 

空の色が紫色に変色し辺りに見えない壁が張り巡らされる。

”結界”である。文字通り世界を隔離するもう一つの世界。しかも、かなり強固な物だ。

そして、もう一つ。ヴィータと後藤を捕獲していた、光の輪。”バインド”つまり…これは。

 

「”魔導師”!」

 

「正解だ。闇の騎士!」

 

すると、何もない空間から2人の男女が出現した。

 

「何者だ。」

 

私が、言うと男は、地面に足をつき、先程の少女の頭に手を置いた。

 

「コウ。危険な事をさせてしまったな。」

 

「うんん。それよりもあの人達なの?」

 

コウと言われた少女は、不思議そうにこちらを見ている。すると、女の方が言った。

 

「ええ。こいつらこそ、私達の仇。”闇の書”の元凶でよ。父さんと母さんの仇。」

 

「…仇…だと?」

 

…これは、まさか…。

 

「そうさ。俺等は、復讐をしに来たのさ。安心しろ。”主”には興味は無い。俺が殺したいのは”本体”だけだ。」

 

 

 

私には、その言葉が日常の崩壊音に聞こえた。

 


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