とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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天使VS復習者


第28話 ザンコク☆無双

『あ、もしもし?鈴音ちゃん』

 

「え?渚ちゃん、どうしたの?」

 

『今、南と一緒にいる?』

 

「うん。ちょっと、スーパーで買い物してるよ。お一人様1本の醤油と卵が欲しいんだって。2人で行ったらお得でしょう?」

 

『うん。自分で言いだしといて何だけど、随分適応してきたわね。…って!それは良いんだった!』

 

「どうしたの?」

 

『実は、さっきからリンちゃん達の反応が消えたのよ』

 

「?」

 

『とにかく南と代わって!なんか、嫌な予感がするわ』

 

 

 

 

「主には、興味が無いだと?」

 

「ああ」

 

「どう言う事だ?」

 

「ストライクゾーンを逸脱したからじゃない?」

 

「テメェは、黙ってろ!」

 

ガシガシと後藤を踏みつけるヴィータを背に私は、男に問いた。

 

「簡単だ。お前らの主も俺等と同じ被害者だからだよ。調べたぜ”八神はやて”。随分と不幸な星の下に生まれたもんだ。親と死別し、お前らに目を付けられ、危うく死にかけた上に氷漬けにされかけた。これを不幸以外の何って言うのさ?」

 

コイツ…主の事や”闇の書事件”の裏側まで、知っているのか。それも、こんな短期間で。

 

「成る程な。詰まりお前達は、私とヴィータを殺しに来た訳か」

 

「理解したか?」

 

「まあな。なら、場所を変えないか?ここで、戦っても余計な被害を生むだけだぞ?」

 

私は、ヴィータによってグリグリと踏まれている後藤を見据えた。一応奴は、無関係だ。

 

「いいや、そっちの変態にも話がある」

 

「僕に?」

 

「目撃者の処理方法についてだ」

 

「…6時までには終わる?」

 

「終わるか!テメェは空気を読め!」

 

「ロリは、僕の嫁!」

 

再び激しい打撃音が辺りを包んだ。アレは別に手を下さなくても勝手に殺されるだろう。

しかし、本当に殺させる訳にはいかない。こうなったら…。

 

「おっと、”念話”は、この中じゃ使えないわよ?因みに”携帯”もね」

 

「仲間を呼ばれる訳には行かないからな」

 

やはり、先手を打たれていたか。

 

「…やるしかないか」

 

私は、臨戦体制に入る為に魔力を貯めるが…。

 

「は?…魔力が拡散してゆくだと!」

 

貯めた魔力がまるで、ストローに吸われる様に拡散してゆく。これでは、空すら飛べない。

 

「アッハッハッハ~バーカ!ランクSに近いアンタ達相手に何も対策を立ててこないとでも思ったの?残念ね。この結界内では、アンタ達の力だけ無効になるのよ」

 

「何だと!何だその力は、聞いた事がないぞ!」

 

特定の人物のみに特化した結界ならば知っているが、特定の団体に特化した結界など聞いた事がない。

私の知らない未知の技術なのか?

 

「さてな、一体どんな原理なのか俺達も知らない。これは、情報を売ってくれた奴がくれた術式だからな。インスタントだが」

 

「インスタント?…そんな技術がか?」

 

「さて、無駄話もここまでだ。これで、お前達は只の子供も同じだ。安心しろ嬲り殺しはしない」

 

「時間をかけずに一気にコロシテヤル…」

 

2人から、凄まじい殺気が迸った。私は、思わず後ずさる。そして、何とかならないかと辺りを見渡す。

 

「クソ!」

 

ヴィータは、何とか”バインド”から脱出しようともがいていた。

 

「持ってて良かった~テレビ電話♪」

 

後藤は、携帯電話で、テレビを見ていた。

 

打開策は、無い………って!

 

「アンタ!なんで、携帯なんて使ってるのよ!」

 

私のツッコミの前に女が突っ込んできた。そう。今コイツは思いっきりテレビを見ていた。”念話”も通信も通じないこの場所で。しかも”バインド”を外した状態でだ。

 

「は?ちょっと、静かにしてくれ!今、ロリタマの神OPなんだから!」

 

「何だと?」

 

「ちぃーさくたって~だーいじょうぶ~ニャーニャー~ふんふんふーふん~♪」

 

「コイツ…ナメやがって!」

 

巫山戯た歌を熱唱している後藤に女は、切れたらしく、自分のディバイスを構えた。

 

「おい!ラン!待て!」

 

男は、止めるが、女は止まらない。

 

「くたばれ!」

 

「ふーんふふふーんふ~ふふふふふふふふふふん~ヘイ!」

 

瞬間。赤い血飛沫が、辺りに散らばった。そして、首の無い死体が、重い音を立てて、地面に激突した。

 

「ラン!」

 

「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」

 

男の悲鳴と後藤の妙な擬音が重なった。後藤は、女の頭の中身が、へばりついた、釘バットを降ると、男に向けた。

 

「分かれよ?悪いのは、お前だ」

 

気のせいか、その言葉にうすら寒いものを感じた。

 

 

 

 

『…それって、どう言う事?』

 

「そのまんまな意味だよ。もし俺の予感が正しければ…むしろ危ないのは、リン達を襲った方だ」

 

『それにしても…本当にいるの?…天使って」

 

「アイツが、そう言ったからな。とにかく…天使の怒りを買うと厄介だ。”皆”危ない」




次はロリコンがついに動き出す!…続けて投稿しますので次へとGO!

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