『あ、もしもし?鈴音ちゃん』
「え?渚ちゃん、どうしたの?」
『今、南と一緒にいる?』
「うん。ちょっと、スーパーで買い物してるよ。お一人様1本の醤油と卵が欲しいんだって。2人で行ったらお得でしょう?」
『うん。自分で言いだしといて何だけど、随分適応してきたわね。…って!それは良いんだった!』
「どうしたの?」
『実は、さっきからリンちゃん達の反応が消えたのよ』
「?」
『とにかく南と代わって!なんか、嫌な予感がするわ』
「主には、興味が無いだと?」
「ああ」
「どう言う事だ?」
「ストライクゾーンを逸脱したからじゃない?」
「テメェは、黙ってろ!」
ガシガシと後藤を踏みつけるヴィータを背に私は、男に問いた。
「簡単だ。お前らの主も俺等と同じ被害者だからだよ。調べたぜ”八神はやて”。随分と不幸な星の下に生まれたもんだ。親と死別し、お前らに目を付けられ、危うく死にかけた上に氷漬けにされかけた。これを不幸以外の何って言うのさ?」
コイツ…主の事や”闇の書事件”の裏側まで、知っているのか。それも、こんな短期間で。
「成る程な。詰まりお前達は、私とヴィータを殺しに来た訳か」
「理解したか?」
「まあな。なら、場所を変えないか?ここで、戦っても余計な被害を生むだけだぞ?」
私は、ヴィータによってグリグリと踏まれている後藤を見据えた。一応奴は、無関係だ。
「いいや、そっちの変態にも話がある」
「僕に?」
「目撃者の処理方法についてだ」
「…6時までには終わる?」
「終わるか!テメェは空気を読め!」
「ロリは、僕の嫁!」
再び激しい打撃音が辺りを包んだ。アレは別に手を下さなくても勝手に殺されるだろう。
しかし、本当に殺させる訳にはいかない。こうなったら…。
「おっと、”念話”は、この中じゃ使えないわよ?因みに”携帯”もね」
「仲間を呼ばれる訳には行かないからな」
やはり、先手を打たれていたか。
「…やるしかないか」
私は、臨戦体制に入る為に魔力を貯めるが…。
「は?…魔力が拡散してゆくだと!」
貯めた魔力がまるで、ストローに吸われる様に拡散してゆく。これでは、空すら飛べない。
「アッハッハッハ~バーカ!ランクSに近いアンタ達相手に何も対策を立ててこないとでも思ったの?残念ね。この結界内では、アンタ達の力だけ無効になるのよ」
「何だと!何だその力は、聞いた事がないぞ!」
特定の人物のみに特化した結界ならば知っているが、特定の団体に特化した結界など聞いた事がない。
私の知らない未知の技術なのか?
「さてな、一体どんな原理なのか俺達も知らない。これは、情報を売ってくれた奴がくれた術式だからな。インスタントだが」
「インスタント?…そんな技術がか?」
「さて、無駄話もここまでだ。これで、お前達は只の子供も同じだ。安心しろ嬲り殺しはしない」
「時間をかけずに一気にコロシテヤル…」
2人から、凄まじい殺気が迸った。私は、思わず後ずさる。そして、何とかならないかと辺りを見渡す。
「クソ!」
ヴィータは、何とか”バインド”から脱出しようともがいていた。
「持ってて良かった~テレビ電話♪」
後藤は、携帯電話で、テレビを見ていた。
打開策は、無い………って!
「アンタ!なんで、携帯なんて使ってるのよ!」
私のツッコミの前に女が突っ込んできた。そう。今コイツは思いっきりテレビを見ていた。”念話”も通信も通じないこの場所で。しかも”バインド”を外した状態でだ。
「は?ちょっと、静かにしてくれ!今、ロリタマの神OPなんだから!」
「何だと?」
「ちぃーさくたって~だーいじょうぶ~ニャーニャー~ふんふんふーふん~♪」
「コイツ…ナメやがって!」
巫山戯た歌を熱唱している後藤に女は、切れたらしく、自分のディバイスを構えた。
「おい!ラン!待て!」
男は、止めるが、女は止まらない。
「くたばれ!」
「ふーんふふふーんふ~ふふふふふふふふふふん~ヘイ!」
瞬間。赤い血飛沫が、辺りに散らばった。そして、首の無い死体が、重い音を立てて、地面に激突した。
「ラン!」
「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」
男の悲鳴と後藤の妙な擬音が重なった。後藤は、女の頭の中身が、へばりついた、釘バットを降ると、男に向けた。
「分かれよ?悪いのは、お前だ」
気のせいか、その言葉にうすら寒いものを感じた。
『…それって、どう言う事?』
「そのまんまな意味だよ。もし俺の予感が正しければ…むしろ危ないのは、リン達を襲った方だ」
『それにしても…本当にいるの?…天使って」
「アイツが、そう言ったからな。とにかく…天使の怒りを買うと厄介だ。”皆”危ない」
次はロリコンがついに動き出す!…続けて投稿しますので次へとGO!