とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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ロリコン始動。




第29話 残酷な天使

「分かれよ?悪いのは、お前だ」

 

「ラン!」

 

男は、ランと呼んだ女の死体に向かって来る。後藤は、それに向かい釘バットをフルスイングした。

 

「危ねえ!」

 

ヴィータは、叫ぶと男はそれに気付き間一髪で難を逃れた。

 

「ヴィーたん。邪魔しないでよ~」

 

「ヴィーたん言うな!いや、それよかテメェ今何しようとした?」

 

「ん?排除だけど?あと、八つ当たり」

 

後藤は、そう言うとニッコリと笑った。私は、先程と同じ寒気に襲われた。

 

「お姉ちゃん!」

 

すると、コウと呼ばれていた少女が姉に近づいてきた。後藤はニタリと笑う。

 

「どうぞ」

 

そして、あっさりと少女を通した。少女は、姉にすがりつき泣き始めた。

 

「お姉ちゃん~!!」

 

しかし、頭の粉砕された姉は、何も言わなかった。当然だ死人は何も出来ない。

 

「ああ、やっぱり小さい女の子は心がキレイで素晴らしい!こんな汚れた世界の住人とは思えない!!」

 

後藤は、そう言うと少女に抱きついた。

 

「キャア!」

 

突然の事に私達は、何も反応出来なかった。しかし、兄は違った。

 

「コウから離れろ!この変態が!」

 

「チッチ…ロリコンと呼んでくれ」

 

次の瞬間、男の身体に何かが巻き付いた。それは、有刺鉄線に見えた。そして、それの先は、後藤の手の中。

 

「よっせと…」

 

まるで、軽い運動をするように有刺鉄線を引き寄せる後藤。そして、それに引き寄せられる男。

 

「な……やめ……………」

 

「もう!恥ずかしがり屋さん!」

 

そして、凄まじい回転をする釘バット。

 

「ゴブ…ア”ア”ア”ア”!!!!!」

 

男の悲鳴が結界内をこだました。そして、肉を掻き乱す音も響渡る。

グチャグチャ…ネチャネチャ…。思わず私もヴィータも顔を背けた。それだけ直視出来るものでは無かったのだ。

 

「いや…嫌!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

「アハハハハ!!!」

 

少女の悲鳴を嘲笑うかの様に未だにバットを掻き回す後藤に

 

「後藤!もうやめろ!」

 

「そうだ。もうやめてくれ。見るにたえない!」

 

「アハハハハ!!!エイ♪」

 

「ゴバッ……………」

 

男は、それだけ声を上げると動かなくなった。…つまり…

 

「お兄ちゃん?…お兄ちゃん!!」

 

コウと呼ばれていた少女が、兄に駆け寄り体を揺する。だが、兄は動かない。

死んだのだ。誰が見ても完全に死んでいた。

 

「後藤…テメェ!!!!!!」

 

ヴィータが、怒りの声を上げる。そして、自分を拘束していた”バインド”が術者の死と共に解かれた。

 

「オラア!」

 

「わ!何すんの?」

 

ヴィータが後藤に殴りかかるが、後藤はそれをヒョイと避ける。

 

「なんで、殺した!殺す必要があったのかよ!」

 

「え~?だって、アイツら僕達を殺そうとしてたんだよ?正当防衛だと思う」

 

確かに後藤の言っている事は一見正しい。もしかしたら、今頃全員死んでいたのかもしれない。…だが。

 

「だからって、こんな残酷に殺すのは酷過ぎる…」

 

過去。私達が”闇の書”と呼ばれていた、時代でも、このような殺し方は滅多にしなかった。

それに、殺せば多少の罪悪感があったが、この男は、まるで当たり前の様に感情なく殺して退けたのだ。

子どもが虫を殺すように…ただ、無邪気に…。

 

「お兄ちゃんとお姉ちゃんを返して!!」

 

ただ一人残された少女が後藤をポカポカと殴るが後藤は、それを楽しそうに見ていた。

 

「返してあげたら何かしてくれる?」

 

「なんでもする…何でもするから!!!」

 

「本当?…ウヒヒ…」

 

もし私の電話が繋げたら即座に通報していた事だろう。…だが、返すなんて、出来る訳がない。二人は完全に死んでいるのだ。

しかし、後藤は、ニタリと笑うと持っていた、バッドを手の中でクルクルと回転させ…

 

「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」

 

と、摩訶不思議な呪文を唱えた。

 

「「!!!」」

 

突然だった。砕けた骨が、飛び散った肉が、元の持ち主の元に戻って行く。まるで時間を巻き戻している様に。

その光景を私も他の二人も唖然として見つめていた。何なんだ…これは。

 

「少なくとも…魔力は、使っていない…」

 

「じゃ…何だよ…翼兄ちゃんだって、こんなの魔力無しじゃ無理だぞ」

 

確かに…この力は、どちらかと言えば、一夜に近いのかも知れない。

 

「う…え?」

 

「…なんで…?」

 

そう考えている内に死んだ二人は生き返って来ていた。そして、一通り辺りを見た後、後藤を見て後ずさった。

 

「なんなんだよ!お前は!」

 

男が、自分の妹達を抱き寄せて後藤に言った。その瞳には最早怯えしか見えなかった。

それに対し後藤は、相変わらずの笑顔で言う。

 

「俺は、後藤聖一。只の天使だよ」

 

 

 

 

 これは、とある天使の夢のある物語の始まり。

 

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