VS
変態紳士
開戦!
「夢!リン!ヴィータ!バカ!無事か!」
”幻想殺し”により結界を砕き侵入すると、そこには、片腕を無くした夢が倒れていた。
「…遅かったか…」
「夢ちゃん!」
「…酷い…酷いよ…」
夢へ駆け寄り抱き上げる日野さんと時田さんを横目で見ながら俺は、後藤を見据える。
「後藤…お前」
「…結界が砕けた。つまりお前も何かの能力者か」
「見たところ、お前は”撲殺天使”って所か…これまたマイナーな能力を…」
「何を言う!最新の力にして最強だろうが!」
”撲殺天使”が最新?何を言っているんだろうか?確かアレは、2000年代のアニメだったはず。
「…まあ良いか。どちらにしろ、僕の計画の邪魔はさせねえ」
「計画だと?」
「ああ、海鳴市民総ロリ計画のな!」
「な!海鳴市民総ロリ計画だと!…って何それ?」
意味が分らない。ロリ?…ん?”撲殺天使”…”サクラクン”…ロリコン…12歳…あ!!
「まさか!アレか!ロリコン薬!まさか存在したのか?」
「ああ。僕の知識と力があれば完成は容易いよ。僕は、それを改良して、12歳から8歳で年齢を固定する事に成功した!更に男に使うと美幼女にしてしまう効果も付属させた!」
「ちょい待て!それって作品が違う!」
「フハハハ!ロリコンに不可能など無し!」
「クッ…確かに…」
作品すら超えた信念…まさに不可能を可能にしやがった。
「何感心してんの!どうでも良いから、早く後藤を捕まえて!」
「了解…って言いたい所だけど…」
俺は、後藤を見ながら一歩後ろへ下がった。
後藤の能力は”撲殺天使ドクロちゃん”の力だ。一説では、最強説のあるハチャメチャな能力である。
何せ、元がキャグ小説なのだ。俺の知る限り”灼眼のシャナ”に出てくる能力といい勝負なのだ。
「クッ…」
なので、下手に動くわけにはいかない。何より戦ったとしても勝てる保障など無いのだ。
俺の力は”超電磁砲”を除きほぼ自己保身の力だ。つまり戦闘スタイルはカウンタータイプとなる。つまりは…相手が動かない事には、こちらも下手には動けないのだ。そんな理由で、戦闘に置いては、力が激減した夢の方が上と言う事になる。…かつて、
「落ち着け。こんな奴、現実じゃ敵じゃない」
と言ったが、そんな考えは、夢の力を調整する際に本当にバカだったと思いしらされた。って、言うより勝った日野さんは、本当に化物だと思う…。
まあ、そんな訳で、お互い手を抜いていたとは言え夢を下した後藤には最大クラスの警戒をしておかなければならないのだ。
「……そもそもロリを愛する者とは、世界を敵に回す覚悟を持ったモノでありその際の覚悟は――――」
こんな、アホな事を熱弁しているバカに最大クラスの警戒をしなくてはならないのだ。
「この世界の歴史を振り返れば人類は皆ロリコンだったと言う事が――――――」
「……」
我慢だ、俺…まずは、様子を見て…。
「さあ!恥ずかしがる事などない!共に叫ぼう!ロリコンは世界を変える!チェンジザロリ!ハイルーロリ!幼女最高!」
「ウザイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!わぁ!!!!!!!!!!!!!!」
”超電磁砲”発射。我慢出来なかった。かっとなってつい…。
「うぎゃあああ!!!」
悲鳴が、辺りに轟く。殺ったか?爆散した場所に地鉄の剣を作成して駆け寄るとそこに人影は無かった。
「なんだと!」
「残念でした~」
「ッ!!」
振り向くとそこには、笑顔の後藤がいた。バカな!
「枷操白昼夢 エルクスナウト …てな訳で無駄だけど分かるかな?」
「枷操白昼夢 エルクスナウト だと!」
”撲殺天使ドクロちゃん”に登場するアイテムの一つ”枷操白昼夢 エルクスナウト”は、確かミラーボール型で”微睡弄御 ヒルドスレイフ”の姉妹品。
いわゆる洗脳アイテムだ。”微睡弄御 ヒルドスレイフ”が一人を完全に操れる代物なら ”枷操白昼夢 エルクスナウト”は、大勢の人間を広く浅い催眠にかけ操るアイテムだ。…しまった!先手を打たれてたか。
「つまり今ここにいる全員が見ているお前は…」
「ご名答!偽物でーす」
その瞬間、俺の後頭部にとんでもない衝撃が走った。その直後何か脳の様なものが見えたかと思うと意識がとんだ。
「アハハ!!俺の勝ちだ!」
「南!!!」
ヴィータの悲鳴が響く。
「早く立ちなさい!」
日野さんの罵声が響く。この人本当に鬼だ。
「ヘイヘイ」
”大嘘憑き”により早めに復活を果たした俺は、直ぐ様後藤の位置を割り出した。
「オラ!」
「ぐべ!」
どうやら、洗脳アイテムは、一度死ぬと解除されるらしい。その証拠に皆見当違いの方向を見ていた。
「ほら!お前ら目を覚ませ!」
”大嘘憑き”を発動し”枷操白昼夢 エルクスナウト”の効果を”無かった”事にする。すると皆の目が覚めた。
何故分かるかって?皆の目がキラキラしていたからさ!
「なんで、後ろに?」
「洗脳アイテムだ。皆離れてろ!」
俺は、再び地鉄の剣を創作して後藤に向ける。
「生き返った…?何の能力だ…。それに…本体を破壊しないで、目覚めさせるなんて…ふむ」
「御託は良い!お前の絡繰りがわれた以上もう勝ち目はないぞ?」
確かに”撲殺天使”の能力は強力だが、所詮はアイテムの力が大きいのだ。本体に関しては”アレ”を使わせなければ大丈夫だろう。
なら、やる事は一つだ、”アレ”を使わせる前に夢を再生して一気に潰す。…いや、夢を再生させた時点で勝負ありだ。
「勝ち目が無いね。どうかな?」
「なんだと?」
だが、後藤は、余裕の表情で笑う。…何だ?一体何を隠している。
「まさか…これを使うはめになるとはな…。まあ、偉大な功績には犠牲が付きものだからな」
そう言うと、ポケットの中から何か小さな箱を取り出した。まさか!”ルルネルグ”か!それとも”アルターボリア ”か?色が違うが、どちらも厄介なアイテムだ。得に”アルターボリア ”は、”アレ”の発動条件だ。
「させるか!」
俺は、後藤に向かい突貫する。普段なら有り得ないが、この場合は別だ。だが、後藤は箱の中から何かを取り出した。
取り出したのは、何かの液体だった。なんだ?アレは?
「ほい」
そして、後藤はそれを俺に向かいかけてきた。
「アレは…南!かわせ!」
「へ?」
ヴィータのそんな言葉が俺の聞く最後の言葉になった。