とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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最強の敵は近くにいる?
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第36話 未来人 VS 鉄槌の騎士

「赤い服と言えば、鉄槌の騎士。確かお前のバリアジャケットも赤だったよな?」

 

「ああ、はやてが考えてくれた最高の鎧だぜ!」

 

「へえーどんなのなの?」

 

「とにかく赤いんだ。ついでに帽子には呪いのうさぎが付いてつんだぞ?」

 

「…著作権とか大丈夫なのかな?」

 

「?何だそれ?」

 

「しかし、その赤い服の女がお前だったら洒落れにならないな」

 

「ははは~まさか」

 

この会話は、実にマンションを出るときの何気ない会話だった。ナギサ達が先に出発して、そのすぐ後に私達はマンションを離れ、ナギサ達とは、逆側にある下水処理場へと向かった。今思えば、あの時もう少し考えていれば良かったと思う。

 

「「「…」」」

 

結論から言えば私達は後藤を発見した。

 

「リャリャリャ~リャー~リャ♪」

 

下水処理場の職員塔の中で深夜アニメを見ながら奇妙なダンスを踊っているバカがいた。後藤だった。

 

「「「…」」」

 

その光景を窓の陰から死んだ魚の目で見ている私達がそこにいた。

 

「えっと…どうする?」

 

「時間は?」

 

「2時30分かな?」

 

「予言は?」

 

「3時」

 

あと30分か…。

 

「トランプとかあるけど?」

 

 

 

 

「ヨッシャ!3カード!」

 

「甘いな。フルハウス」

 

「エへへ~ゴメンね。ロイヤルストレートフラッシュ」

 

ミッドにもあったらしいポーカーを暇なのでやった結果、スズネの全勝だった。つえー。

 

「お!ヴィーたん!何してんの?」

 

「ポーカーだよ!」

 

「僕も混ぜて混ぜて!」

 

「おう!シュウ!早く配れ!」

 

「分かってる!次は勝つからな!」

 

「うん!どーんとこい!」

 

 

 

 

 

「また、私の勝ち!!」

 

「「「つえー」」

またしてもスズネの圧勝だった。おかしい。私とシュウと後藤で組んだはずなのに!

まさか…イカサマ?…いや、スズネに限って…いや…人間と言うのは、勝利に貪欲だ。何かを捨ててまでかかってくる。

スズネも…もしっ!私が組んでいる奴と繋がっているとしたらっ!考えろっ!思考を止めたら負けだっ!即ち死と同義っ!

 

「…」

 

シュウは、確か今回のゲームでは、殆ど2位っ!つまりスズネを勝たせる為にっ!…いや、これはポーカーだ。カードコントロールは、殆ど不可能だろう。

 

「ヴぃーたんドンマイ!」

 

後藤は…さっき参戦したばかり…いやっ!それこそがフェイクの可能性もある。全ては布石…まさか!2人共敵っ!

それならばイカサマ可能っ!カードのすり替えを行えば可能っ!

 

「…もう誰も信じないっ!」

 

 

 

 

ミンナテキナンダ…!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

「うう…うううっ…」

 

「ど、どうしたの?ヴィータちゃん!」

 

は!一体何をしていたんだ?

 

「ごめん。ちょっとコープってた」

 

「コープ?なにそれ?」

 

「なんだろうな?自分でも何言ってんのかわからない…」

 

「まあ、ミナツキさん。落ち着いて」

 

おい!誰だよ!ミナツキって!

 

「所で、今は、何時だ?」

 

「えっとね…2時55分かな」

 

「そうか。“アイゼン”セット」

 

『サー』

 

バリアジャケットに着替えた。さて、始めるか。

 

「後藤」

 

「ん?何?ヴぃーたん?」

 

「テメェがなんで普通に混じってんだよ!」

 

「今更!って!」

 

手応えアリ!後藤は見事に地面に叩き付けられた。

 

「ハァハァハァ…」

 

本当に今更だったが、奴は完全に違和感無く参加していた。これが、奴の力なのか。

 

「いや…今回は、特別なアイテムは使ってないから」

 

「なっ!」

 

見ると、“アイゼン”が、下から押し上げられていた。そして、そこには、笑顔の後藤が、いた。

 

「…ちょっと待て…全力で叩き潰したはずなんだけど…」

 

「ヴぃーたん~ヒドイな~」

 

その間も後藤は、“アイゼン”を押し上げて行く。確かによく考えれば、後藤の使う“エスカリボルグ”は重量2t。対して“アイゼン”は、100kgも無い。いくら、加速して振り下ろしたとは言え、その重量は、2tには及ばない。つまり受け止められても不思議では無いのだ。

 

「ちっ!ウラ!」

 

力の限り後藤を“アイゼン”ごとぶん投げた。

 

「あっらぁ?」

 

そんな声を上げながら後藤は、下水道に繋がる階段の壁をぶち破り、地下へと落下していった。

 

「あっらぁ?」あっらぁ?」あっらぁ?」あっらぁ?」あっらぁ?」あっらぁ?」

 

エコーがむかついた。

 

「追うぞ!」

 

「ああ!」

 

「うん!」

 

変態発見メールを送信し、私達は、後藤を捕獲するために地下へと向かった。

 

 

 

 

「なんで、バレたんだろう?」

 

一方後藤は、下水道に落ちながらも考えていた。

自分の計画が事前に知られる訳が無いし、日野さんの監視網にも引っ掛からない様に最大限の努力もしたはずだ。

 

「…っと、ともかくバレたなら仕方無いよな…」

 

くるりと体制を整え足場へと着地する。

 

「ヴぃーたんを手に掛けるのは、気が引けるけど…」

 

後藤は、“アイゼン”をヴィータ達がやって来るであろう場所へ投げる。

 

「軽くやってみるか」

 

 

 

 

今、変態紳士の反撃が始まる。

 


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