とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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かなり遅れました!投下!


第37話 お前の記憶は確かか?

『にぎゃぁ!!!!!!』

 

「メールね。ヴィータちゃんからよ!後藤を発見したって」

 

「やはり、あっちにいたのか…急ぐぞ!」

 

「ねぇ…何?その着信音…」

 

「ん?南の断末魔だけど?」

 

「そう…(歪んでる…この子歪んでる…)」

 

「ほう。ちょっと気になるなそれは」

 

「みんな歪んでる!」

 

 

 

 

 

私達が地下に着くと直ぐに後藤を見つけた。

 

「やあ。待ってたよ」

 

私の記憶が確かならばここに叩き込んだのは私のはずなのだが、後藤はまるで自分は最初からここにいました。的なオーラを醸しだしていた。

 

「後藤…観念しろ!もうすぐ、ナギサもリンもあと…えっと…」

 

誰だったっけ?…。

 

「ミィちゃんもここに来るぞ!」

 

「ランだ!」

 

あ、そうだった。

 

「観念?ハハハ~のハ~。例え全員が揃ったとしても僕を止められ無いよ?昼間の戦いを忘れたの?」

 

「昼は昼だ!そもそも魔力が使えなかった。つまり、お前は、私の実力は知らねえ訳だよな?」

 

「ふ…僕のロリー観察眼を持ってすれば、相手の実力位分かるさ。ヴィーたんの実力は、いいとこ7だ」

 

「お前を10とした場合か?」

 

「“今”の僕をね。因みに“夢ちゃん”は58。“南”は5って所かな」

 

夢が随分強く思われているようだ。58って…。

 

「あと、そこの幼女ちゃんは、7。妹さんは6。で、コウちゃんは、将来的には11だな」

 

「…つまり、お前の見立てでは、シュウと同程度の私は相手じゃないと?」

 

「正解」

 

「っ!鉄槌!」

 

その時、シュウが私を突き飛ばした。

 

「つっぇ…何…しや…がる…」

 

あれ?

 

「どうしたのかな?」

 

なんだ?どうして私は…誰に突き飛ばされた?

 

「おい!スズネ!お前か?」

 

「う…うんん?そこには、ヴィータちゃんしかいなかったよ?…あれ?」

 

なんだ?なにかが、おかしい…。

 

「おい!後藤!テメェ!私らに何しやがった!」

 

「ん?別に?ヴィーたん達には何もしていないよ?」

 

何故か、その言葉が心に引っ掛かった。

 

「そうだね。強いて言うなら君の仲間を“いなかった事”にした位かな?」

 

「は?」

 

意味が分らない。“いなかった?”私は最初からここへはスズネと2人で来たはず…そのはず…。

 

「不思議だよね。存在をチョイトいじっただけでさっきまでの味方が消えても気付かない。まぁ、消したっつうより…気にならなくなったって言った方が自然だけどね」

 

こいつは、一体何を言っているのだろうか…不気味すぎる。とにかく早く倒さねえと!

 

「あ、そうそう。ヴィーたんの武器ならそこに落ちてるから」

 

後藤が、そう言って見ていた方を見ると確かに“アイゼン”が落ちていた。

 

「ちっ!」

 

私は、“アイゼン”に向かい走ると、何かにぶつかった。

 

「のわ!」

 

「あ、悪い」

 

頭を押さえながら見ると、シュウ真ん前にいた。

 

「ボケーっとすんな!シュウ!お前は、アイツを連れて離れてろ!」

 

「ん?鉄槌。アイツって誰のことだ?」

 

「はぁ?そんなの…」

 

瞬間、私の思考はフリーズした。私は、誰を逃がすつもりだった?

 

「シュウ。ここには、何人で来た?」

 

「2人だった…たしか…」

 

シュウがどこか歯切れの悪い返答をした。なんだ?この違和感は!

 

「後藤!何をしたんだ!何だ!この気味の悪さは!」

 

「うーん…。まぁ、いいか。ヴィーたん。天使と人との違いって分かる?」

 

「は?んなもん知るかよ。種族とかか?」

 

「うーん。チョイト違うかな。答えは、圧倒的な個性だよ」

 

「個性?」

 

「そう。で、その個性が枯れた時。天使は消えるし人も消せる様になるんだ」

 

「は?」

 

こいつは、何を…。

 

「簡単に言うと、その人間の個性を枯らして、居なくなっても不思議…違和感がなくなるんだ」

 

言ってるんだ?

 

「っと、言っても分らないだろうから。特別にヴィーたんだけに教えるよ」

 

そう後藤が行ったとき急に何かを思い出した。

 

「っ!スズネ!」

 

時田鈴音。自称未来人の少女。そいつが、いなくなっていた。

 

「おい。誰だ?スズネって」

 

「誰って!さっきまで一緒にトランプをやってただろうが!」

 

シュウは、私の言葉に首をかしげるだけだった。どういう事だ?

 

「簡単な事だよ。ヴィーたん。そいつは時田さんの事を気にしなくなったんんだ。さっきまでのヴィーたんと同じさ。」

 

「さっきまでの私だと…」

 

そう言われ記憶をさかのぼって見ると確かにそうなっていた。

 

「分かった?これが、天使の力だよ。これでもヴィーたんは、僕を止めるのかい?」

 

「っ!」

 

瞬間寒気が迸った。圧倒的な悪寒がしたのだ。後藤の力は、強大過ぎる。勝てない…。

 

「ヴィーたん。引いてくれない?僕も友達を手にはかけたく無いんだ。」

 

「…」

 

相手の個性を消して、気にならなくする力。これほど恐ろしい力があるのだろうか?リンから聞いた南の力は、“無かった事”にする力。

一見そっちの方が恐ろし様に思えるが、私には後藤の力の方が恐ろしく感じた。簡単に言えば、南は消しゴム。後藤は修正液といった感じだ。

剥がせばまた字が見える。安いだけど恐ろしい修正液だ。何せ、アイツが解除すれば、全てが元に戻るのだ。“無かった事”が“あった事”へと変貌する。怖い。

 

「ヴィーたん。震えてるよ?」

 

気がつけば、私は、震えていた。けれども何故震えているのかが分らない。

 

「う…わぁ…」

 

気が付くと1人になっていた。最初から1人でここに来たのだから仕方がない。

 

「ヴィーたん。例えここで逃げても誰も君を責めはしないよ?僕にたった1人で向かわせた、日野さんのミスなんだから」

 

そうだ。ナギサは私をたった1人で行動させた。後藤に勝てなくて逃げたとしても私には非は無い…。

 

「…」

 

“アイゼン”を持つ両手は汗で濡れていた。今、私が思うことは、全力でこの場から離脱したい。と言うことだけだった。

 

「別に、僕の計画が成功しても君は変わらない。永遠に成長しないだけなんだよ?これ程幸せな事は無いよ。」

 

成長しなければ、病気にならない。年も取らない。衰え朽ちて行くことも無い。そう…成長しなければ…成長…。

 

「…ザケンな…」

 

「ん?」

 

「ふざけんなって言ってるんだよ!」

 

私は、後藤へ大声で言った。

 

「何が、永遠だ!そんなものいらねえよ!成長しない?こちらと何百年もこの調子なんだよ!お前にこの辛さが分かるか!」

 

「?何言ってんの?」

 

毎回出てくるたびに、歴代の主からは、馬鹿にされ、身長の事でいびられ、果ては、未だに私の私服は子供服だ。一体何度この体にした

奴を恨んだ事か。せめて年齢位合わせろよ!シグナム、シャマル、ザフィーラが成人程なのになんで私だけ小学生なんだ!おかげでなのはには、ちゃん付けされてるし、ナギサからもそう呼ばれている。一応言っておくけど…私は、お前らの数十倍は生きてるからな!他の奴ら見たいにさんを付けやがれ!

 

「ああ。もう面倒くせ!」

 

怖がっていた自分が、面倒だ。ひとつ言える事は、後藤の計画が成功すれば、はやてもなのはも私と同じになるって事だ。

 

「させるかよ…」

 

はやてが私と同じになるなんて…そんな苦しみに中に叩き込むなんてマネは絶対に出来ない。

 

「後藤。テメェの計画はなにがなんでも止めてやる。繰り返されてきた悲しみの連鎖は紡がせない!」

 

“アイゼン”を構え宣言する。

 

「“鉄槌”の名にかけて、お前を止める!必ずだ!」

 

仲間は、いない。だが、小さな騎士は天使へと挑む。全ては、悲しみの記憶を断ち切るために。

ロリの悲劇を一番知っているが故に彼女は負ける訳にはいかないのだ。

そう。“闇”の悲劇を…結末を忘却していてもロリの悲劇は忘れない。

それが…。

 

「“鉄槌”の騎士 ヴィータ!行くぞ!」

 

実は、八神家の衣類で最も服に費用うがかかっている騎士ヴィータだからだ。子供服は高いのだ!

 

 

 

 

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

「いや…アレ?」

 

「何よ?」

 

「…ヴィータは、一人で戦っているのだな?」

 

「は?何言っての?シュウちゃんと鈴音ちゃんがいるじゃいない!」

 

「誰だそれは?」

 

「誰って!ランさんのお兄さんとウチの未来予知者よ!」

 

「私に兄なんていないわよ?」

 

「…なに…まさか…皆!一旦ん進軍停止!様子を見るわよ!」

 


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