神フェイズ!
とある異空間。
いや、異空間と言うような安い言葉では表せない空間で多くの人々が何かの画面を凝視しながら働いていた。
その中の一人に南をこの世界に送りだした、あの世課のあの人がいた。
「えっと…あの次元が、破壊されたから…約1000000000000000000000000000000位の損害か…」
彼が、の前の机の上には、大量の書類と彼とそのほか2人が写っている写真があった。皆笑顔である。
「ヤマダちゃん!仕事乙ね!」
「まだ、終わってませんよ部長…今日も残業です」
「ハハハ、なに言ってのさ、老後の為の蓄えと思えば軽い軽い」
「…私達の老後っていつなんでしょうかね?」
「それは、言わない約束だぞ」
彼等の寿命は人間など比較にならない程長い。故に老後までは長い道のりなのだ。その実部長とヤマダさんとの間には、地球の誕生から滅亡までの期間×3程の歳の差があるのだ。
「なら、ほら、家族の為とか…」
「……」
「あ、すまん…」
写真を見て部長は頭を下げた。
「…いいんですよ。何時までもこんなものを机に置いている私が悪いんですから」
「あ…まぁ、なんだ…元気出せ…うん。浮気なんかに負けるな」
神の世界も色々な問題に満ちている。
「ところで、普段なら部下を見捨てて逃げ帰る部長がこの一介の係長ごときになんの用ですか?」
「酷い言い草だな。部下を信頼しているからこそだろうが。まあ、これを見てくれ」
部長は、そう言うと一枚の紙をヤマダに渡した。
「…なんですか…これは…」
「うーん。ヤマダさんが、久々にミスったって聞いたから気になって調べて見たら…こうなってた。心当たりはある?」
「無いですよ。でも理解しました。道理で転生じゃなくて憑依になったんですね…転生者の数が多すぎる…」
「そうだよね。ヤマダさんの前任のだって、転生させたのは2人。そんで、ヤマダさんは1人。いくら何でもこの数は異常だ」
「しかも…なんですか?この力は?明らかに転生条約違反ですよ!」
ヤマダの持つ紙の中には、現在確認されている転生者の能力一覧が書かれていた。そのどれも全てが、異常な力ばかりだった。
「これは…一度皆さんに集まって貰った方がいいかもね」
「ですね…しかし無理でしょう。私が行って貰った方はともかく残り2人は…その…」
「捻くれてる?」
「はい」
「大丈夫だって、局長に説明して、神の権限で精神だけ連れて来れば、問題無いって」
「簡単に言いますね…はぁ~分かりました。一応上に掛け合ってみます」
ヤマダはそう言うとまるで煙の様に消えた。無駄にここらへんだけ神っぽかった。
「さて…」
部長は、呟くとどこかへ向かって声をだした。
「これで、良いのかな?」
返事は、無い。いや、ここには、届かないだけだ。
「ははは。人間のことなんて良くは分からないけど、君の事程分らない事はないね」
そして、しばらくした後、部長は笑った。
「成程ね…そう言う事か…うん。まぁ良いんじゃ無いか?元々は君しか転生者はいない世界だったんだ。言ってしまえば主人公は君なんだから。その作品をどうするのも君の勝手さ。まぁ、他の2人がどう思うかわからないけどね。どうだい?殺し合いでも始めるかい?」
部長が見つめる虚空の中。その転生者は答える。
「はは、君らしいね。うん仲良くしたまえ…時が来るまでね。…あ、そう言えば、今、3人目がイレギュラーと接触してって聞いたけどどうする?…ん。傍観ね。了解。まあ、直ぐに終わるだろうからね。所詮は、“天使”モドキ。“悪魔”モドキの君の相手にもならないだろうから」
部長がそうつぶやくとそのまま世界は反転した。そして、とある戦いの場面へと移り変わる。
「さて、勝つのは、イレギュラーか?世界そのものか…見せて貰おうじゃないの」
結局の所。どちらが勝っても。関係ない事だから。