「で、なんで一旦止まったわけ?」
「なんか、後藤がなにかをしたみたいだからよ」
「何かとは、なんだ?」
「あんたらの記憶から鈴音ちゃんとシュウちゃんの事が抜け落ちてる事ね。南(幼女)を脅して情報を絞り取ったかいがあったわね。どうやら、あいつは、人を消せるみたいなのよね…原理は不明だけど…」
「つまり、消された人間は、周囲の記憶に残らなくなると?」
「そう言う事ね」
「じゃあさ、なんで、アンタは覚えているわけ?おかしいじゃない」
「私は、あれよ!」
「…まあ、ナギサだから仕方無いか…」
「…ああ」
「どういう意味よ!私は、幸いアイツの影響を逃れてるのよ!これのおかげでね」
「…?螺子…?」
「そうよ。一回お風呂に入った時に気が付いたんだけどね。どうやら南の奴、無意識的に私に打ち込んだ見たいなのよね…」
「いつだ?」
「多分、昼頃やられる直前か少し前くらいかしら?」
「“幻想殺し”か…」
「かもね。夢ちゃんの時も南の力が使えたから、“超電磁砲”とか“不慮の事故”とか“反射”とかも使えるかもって思ったけど…」
「やめてくれ、ナギサがこれ以上の力を持っては、世界の危機に繋がる」
「…リンちゃん…消されたい?」
「すまん!私が悪かった!だから“幻想殺し”をこっちに向けるな!」
「でもさ、それは、良いとして早く行った方が良いんじゃないの?ナギサちゃんの話が、本当なら今戦っているのは、記憶にある“鉄槌”の騎士だけって事でしょう?」
「そうよね…」
「…いや、大丈夫だろう」
「リンちゃん?」
「奴も歴戦の騎士である事には変わりはない。これまで多くの戦場を駆け抜けてきたスキルは、天使にも引きは取らない。それに、昼間の後藤の戦闘は、ただ、思い鈍器を振り回していただけにすぎん。白兵戦になれば、ヴィータの勝利は揺るがないだろう」
「うらっ!」
「ヨット!」
下水道において現在、天使と騎士が激戦を繰り広げていた。当たれば、致命傷確実な天使の攻撃を騎士は巧みにかわし反撃を始めた。
一方天使は、その反撃をギリギリでかわしている。現状況から見れば互角の戦いだった。
「うーん。手ごわくなってきたな…」
「はぁはぁ…やっと、てめえの“エスカリボルグ”の軌道が読めてきた…成る程な…考えて見たら単純だったな。そのバットの重さは2t。いくらお前が怪力を持って居るからとは言え、2tもの鈍器を自由に振り回せる訳じゃねえ。確実に一定方向にしか動けなかった訳だ。」
息を切らして言い切るヴィータに後藤は。
「はぁはぁ…推理系幼女…ハァハァ…」
息を荒らげて言った。
「半分正解かな?正直、ヴィーたんの戦闘力を見誤ったかも…」
「どうも。これでも私は、騎士なんだ。経験は履いて捨てる程あるからな」
「そうか…経験ね…」
「お前が言うとなんか寒気が走るな…」
ヴィータは、一歩下がって様子を見る。本来なら先手必勝な性格なのだが、相手が相手なのだ。
「…しょうが…ないか…」
後藤は、そう言うと、“エスカリボルグ”を投げ捨てた。
「何のつもりだ?」
「仕方無いだろう?このままじゃ勝てない。…ところでヴィーたん」
「何だよ?」
「もう寝なくても良いのかい?」
「この状況下でそれを言うのか?」
すると、後藤は、ふっと笑った。
「それは、いけないな。深夜率は、とっくに一二〇%を超えているというのに」
瞬間、あたりが暗闇一色に染まった。元々暗かったのだが、その闇は更に暗い。
「な…んだよ…」
これまでに体験したことのない展開にヴィータの声に怯えが入った。
「そんなに闇が恐ろしいのか?」
その時後藤の声が闇の中から聞こえてきた。
「テメェ!」
「夜とは、闇とは、人に絶望や悲しみを与えるために存在するにあらず。」
そして、瞬間、闇は、消え去りその場には、暖かい闇が残った。
「真の闇とは、人々に深い安らぎと平和の心をもたらすモノなり!!」
全てを温かく包み込む様な月光。そして、上空を埋め尽くさんばかりの寝具の数々…。
「…ってえええ!」
いつの間にか、有り得ない状況下へと追い込まれたヴィータは声を上げた。なんだこれは!
その間にも寝具全てが合体。枕は枕カバーにシーツは布団にドッキングそして出来上がるのはシワ一つない布団セット。
そして、いつの間にか積み上がった布団タワーの上に着地した後藤は、両手を鳥のように広げ片膝を付き
「布団の上では常勝無敗!(シュババババ!)夜の帝王!夜仮面!(マント。バサァ~)寝ない子は誰だ?」
と決めたのだった。
「な、んだよこれは!」
「夜仮面!(マント。バサァ~)」
「いや、それは、さっき聞いたから!なんで、下水道から、地上に出てるんだよ!」
そう、これまで、2人が戦って来たのは、地下の下水道。間違ってもこんな綺麗な空が見える場所ではない。
「ッ!まさか…寿也と同じ力なのか!」
“無限の剣製”ヴィータ達の恩人の一人である、赤神寿也が使う“固有結界”というものらしい。あらゆる武器を複製し取り出す事が出来る。
闇の書の最終決戦の際には、まるで、世界を想像した様な剣だらけの世界を展開していた。今回は、寝具だらけの世界のようだが…。
「?いや、ヴィーたんが何言ってんのか分からないけど、多分違うから」
しかし、後藤は、首を振った。
「じゃあ、なんで、私は、ここに…」
その時首元に猛烈な違和感が生じた。触って見ると何かが刺さっていた。
「なんじゃこりゃ!」
引き抜いて見ると、それは全長一メートル程の針だった。
「”微睡弄御 ヒルドスレイフ”。まぁ、完全洗脳アイテムかな。さっきの戦いで仕込んで置いたんだ。痛みは無いはずだよ?」
確かに不気味な程痛みは無かった。だが、疲れが凄い。
「ちょっと待て!洗脳アイテムを持ってたんなら、どうして私を仕留めなかったんだ?」
「僕は、殺戮者じゃ無い。それに、ロリを愛するものだからだ!」
後藤は、布団タワーの上から言った。不思議とその声ははっきりと聴こえた。
「それに、ヴィーたんは、騎士なんだろう?洗脳されて倒されるより、実力で倒された方が、のちのち納得してくれるんじゃないかな?」
「…成る程な。」
後藤の言葉にヴィータは、一つの確信を持った。
「…悪いな後藤。お前の事を少しだけナメてた。最低のグズ野郎って思ってた」
「うん」
「でも、考えを改める。テメェは、変態だが、グズじゃねえ」
「それは、どうも」
何故か、2人の表情には笑みが浮かんでいた。
「あれ?」
「どうした?」
「ヴィータちゃんが移動してる。」
「戦いの場所を変えたって事?」
「みたいね」
「どこに行ったんだ?」
「えっと…海鳴海浜公園のそばにあるキャンプ場ね」
「罠の可能性は無いのか?例えば、端末だけそこに置いたとか」
「“鉄槌”がやられて奪われたとか?」
「まぁ、無い事も無いけど…少なくとも後藤も居るわよ。」
「なんで?」
「端末は、ヴィータちゃんの“中”に仕込んであるから。」
「「は?」」
「頭でも、もがれない限り分離は不可よ」
「おい!それって!」
「さて、どうする?私は、キャンプ場に行くけど?」
「…なら、私は、下水道へ行こう。例の装置が設置されている可能性が高い」
「分かった。じゃあ、ランさんは私と」
「…天使と戦うより、ナギサちゃんと一緒にいる方が怖いわ…」
「…ラン。安心しろ。“今”は大丈夫だから」
「何してんの!早く行くわよ!」
「「無事で」」
聖杯と聖祥。結構間違いがあるようなので、時間があるときに一回全部見直して、訂正していきたいと思います。これからも誤字脱字などがありましたら報告をお願いします。