とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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短いです。


第40話 鉄槌の最期

海鳴キャンプ場は、異常な状態になっていた。

辺には、布団の山が空高く積み上がっており、その周りには、枕やシーツが散乱していた。

その中に騎士が一人いた。

“鉄槌の騎士”と呼ばれた、小さな騎士だった。

呼ばれた…そう。所詮は、過去の話だ。

騎士は、無惨に散っていた。

武器は、砕かれ、身はうちひさがれ、その身には、生気のかけらすら宿っていなかった。

騎士の倒れ付しているシーツに拡がっている赤い染みが、その絶望的な状態をより深く表していた。

騎士は、天使には勝てなかった。

ただ、それだけの話である。

 

 

 

 

 

正直、私はこの世界に絶望していた。戦いの日々は、確実に私達から生きる気力を削いでいった。

世界は、私達“闇”の騎士に冷たかった。

 

「うら!」

 

何度も絶望した。

 

「はぁ!」

 

何度も消えたいと思っていた。こんな戦いの日々はもう嫌だった。

 

「“アイゼン”!」

 

『Ja』

 

そんな、ある日だった。私達は、“闇”から開放された。戦いの日々は、終わったのだ。

 

「カートリッチ!3つ消費!」

 

『ギガント!』

 

嬉しかった。

 

「な!」

 

やっと、悪夢から開放された。

 

「なんだ!アレは!有り得ねえぞ!」

 

だけど…。

 

「…おもしれえ…」

 

退屈だった。…いや、別に、“はやて”や“なのは”達と過ごす日々は、悪いもんじゃ無かった。むしろ幸せだった。

何気ない出来事が幸せだった。

 

“シグナム”も

 

“シャマル”も

 

“ザフィーラ”も

 

“リイン・フォース”も

 

そして“ヴィータ”も

 

皆が幸せになった。そして、新しい生活が始まった。

 

「アハハ…本気で行くぞ!」

 

学校に行く様になって、私の世界は広がった。

 

“絶対支配者”のナギサ。

 

“超能力者”の南。

 

“殺人鬼”の夢。

 

“未来人”のスズネ(後藤談)。

 

そして…“天使”の後藤。

 

世界が広がった。これまで知らなかった、世界がそこにあった。

 

「やるね、ヴィーたん。ちとばかり驚いたよ」

 

「テメェこそな」

 

正直、私は、今とっても楽しい。全力で戦える相手がそこにいるからだ。

正直、自分より格上の相手と戦闘したのは、何度もあった。だけど…。

 

「行くぞ!」

 

「おう!」

 

なぜだか、わからないけれど、このまま打ち合っていたい気持ちになっていた。

相手が、後藤だからか?…分らない。

 

「まさか、孫の手+と、打ち合えるとはな…だけどコイツで終いだ!」

 

「どうかな?私を舐めんなよ?」

 

まだ、私が、学校に馴染めなかった頃だった。あの時の私は、皆と同じクラスになれずイライラしていた。そのお陰で、誰も私に話かけて来なかった。でも…。

 

「『ヴィーたん!一緒に文芸部に入ろうよ!』」

 

アイツは、一番初めにそう言って話しかけてきた。楽しそうに。笑顔で。

 

“後藤聖一”私の始めての友達。

 

「勇気のマヨネーズ+勇気のタオル」

 

「な!」

 

好きなものは、“幼女”。

 

「何だ?その巨大な布団たたきは!」

 

嫌いなものは、“それを傷つける者”

 

「…しぁーねえか…」

 

そして…

 

「安らかに眠れ…」

 

「“アイゼン”!行くぞ!」

 

『Ja』

 

私の…

 

「夜仮面!ソード!」

 

「ギガント・シュラーク!」

 

 

 

一番の友達。

 

 

 

 

 

以上が、事の全てである。

結果。騎士は倒れた。

武器は、破壊された。

最早、動くことは無いだろう。

永遠に…永久に…。

 


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