とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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今日は地球滅亡といわれている日……

何も無ければいいですね!本当に!!

遅くなりましたが投稿します。


第43話 正規転生者と不正規転生者

職員室に鍵を返しに行った帰りにトイレに寄った。それから…あら?どうなったんだっけ?

 

「うーん…?」

 

気が付くと俺は、何処かの神殿の様な場所で倒れていた。何処だ?ここは?

 

「あ、“サード”さんも目覚めたようですね」

 

そんな、聞き覚えのある声がしたので、見るとそこには“ヤマダさん”が、いた。

 

「あ、ヤマダさん!久しぶりです!」

 

「ええ、お久しぶりです。どうですか?その後の生活の方は?」

 

「まぁ…楽しい事もありますよ…」

 

日野さん関連については、けして楽しくは無いが…。

 

「ところで、なんですか?“サード”って?」

 

「はい、この世界に転生した、順番ですね。因みに“ファースト”さん“セカンド”さんもいますよ」

 

「へ?」

 

辺りを見渡すと、深い霧の様なものがかかっており遠くまでは、見えないが、確かに他の人間の気配がした。

 

「『じゃあ、“サード”の目覚めたことだし』『なんで、僕達が、集められたのか教えてくれないかな?』」

 

霧の向こうからは、男か女かも分らない声が聞こえて来た。その声に“ヤマダさん”は頷くと口を開いた。

 

「皆様に、集まっていただいたのは、他でもありません。非正規の転生者についてです。」

 

「非正規?」

 

「『神様が、自分の失敗を誤魔化す為や面白半分で、こっちに送り込んだ転生者のことだよ』『確か、能力に制限が無いから、とんでもない能力を保有しているんだっけ?』」

 

「その通りです。本来転生は、神の書類審査や何重もの手続きを経て行うものなのですが、非正規の方々は、そんなもの気にせずに送り出されています。しかも、たちの悪いことに失敗したのが、位の高い神だと、私達は、傍観するしかないのですよ」

 

情けない話ですが…そう“ヤマダさん”が言うと、一つの疑問が湧き起こった。

 

「あれ?俺の時は、大分簡単に転生させませんでした?」

 

気が付いたらいたわけだし。

 

「あ、その前に審査を通したんですよ。本来なら、意識はありませんから」

 

「あ、そうですか…」

 

何気に恐ろしい事実を聞いた様な気がする…。

 

「で?その非正規転生者が、どうしたんだ?」

 

と、落ち着いた、大人の声が、聞こえてきた。

 

「因果律をご存知ですか?その事柄には、幾分かの道筋はあれど結果は同じと言う意味の言葉です」

 

「ああ。それくらいは、知っている」

 

「いくら、強大な力を持っていようと、この因果を覆す事は、出来ません」

 

「へぇーそうなんですか?」

 

「ええ。その世界は、元に戻そうとする力が自動的に働きますから。得に貴方がた正規の転生者の方々は、自動的に世界との関わりが無くなる様に設定されていました。」

 

ちょい待て!じゃあ、何か?別に俺が原作を回避しなくても結果的には巻き込まれずに済んでいた訳か?じゃあ!俺のこの1年は一体…。

 

「しかし、その因果律は、崩れて来ています。“サード”さんが、最もな例でしょうね」

 

「リン達の事ですか?」

 

「ええ。もっと言うのならば、“星光”さんの時から」

 

「……」

 

知っていたのかよ…。

 

「『で?』『その、因果律が壊れた理由は何なの』」

 

「非正規の転生者が、増えすぎた事です。彼らには、因果律の制約が無いですからね、好き勝手に行える訳です。」

 

 

例えば、放ておけば“原作キャラ”だろうと殺していたかも知れない“殺人鬼”

 

     “原作キャラ”に多大な迷惑をかけている“天使”

 

     “原作”には、居ないはずの“兄” 

 

     主人公の“幼馴染”

 

     “原作”での不利なサイドにつく“親切な強者”

 

そんな、一人いるだけで、“原作”が崩壊しそうな“転生者”が数多くいる。そして、“原作”を知っているものは、悲劇を止めようと動き更に因果をめちゃくちゃに掻き回す。引っかき回す。それが、どんな結果を招くのかも知らずに。

 

「このまま、因果律が、崩れる事になれば、皆様もいづれは、この世界に巻き込まれる事になります。“サード”さんの様に…」

 

「ちょっと!待て!俺は、まだ、大丈夫だ!」

 

まだ、巻き込まれた訳じゃ無いはずだ!“日野”さんが、“原作キャラ”ならば、手遅れだけどな!…違うよね…。

 

「そうでしたね。“まだ”大丈夫ですね。」

 

その言葉が、滅茶苦茶不気味なんだけど…。

 

「『じゃあ、どうするの?』『僕達で、その非正規達を狩っていく?』」

 

「冗談じゃねえ!さっきも言ってたじゃねえか!非正規転生者は、能力の制限を受けていないって!」

 

夢の能力から考えても返り討ちにあうのが、関の山だ。

 

「『うーん』『そうだね』『ファーストなら楽に狩れるかもだけど、僕の力じゃ連戦になればキツイだろうしね』」

 

「…連戦じゃ無ければ勝てるのかよ…」

 

どんな能力をもらってんだ?この人は?

 

「『まぁ』『取り合えずは、周りの人間ら狂わせて精神的に追い詰めることから始めないとね』」

 

長そうだし、卑劣な策なこって。

 

「まぁ、皆様落ち着いてください。別に私共は、非正規の方々を排除して欲しい訳ではありません。ただ、注意をして欲しいのですよ」

 

「…だとすれば、既に事実上5人の転生者に囲まれ2人に深く関わってしまっている“サード”は手遅れなんじゃないのか?」

 

「ええ…ですから、それに関しては、手をうつ準備があります。“サード”さんが、望むのであれば、深く関わっている2人を強制的にこの世界から退場させることも出来ますよ?」

 

「つまり…」

 

夢と後藤を殺すのか……。そりゃあ良い。そうなれば、俺の人生はある程度安泰になるだろう。答えは…。

 

「いや、良い」

 

「そうですか」

 

今、あの二人が消えたら、日野さんの魔の手は一括して、俺に向けられるだろう。生贄と身代わりと隠れ蓑は多い方が良いに決まっている。

決して、あの二人の為じゃない。

 

「『ふーん…』『やっぱり“サード”は詰めが甘い所があるよね』『それが、命取りにならないと良いけど』」

 

「…」

 

「『アレ?』『帰るの?“ファースト”?』」

 

「ああ、あらかたの話は、聴き終えたからな」

 

「『フーン』『……』『まぁ、後片付けは、忘れないでね~』」

 

「“サード”」

 

すると、“ファースト”が、俺に話しかけてきた。その口調は、どこか、憐れみや怒りの様な物が混ざっていた。

 

「友は、大切にしろ。例えそれが、無理と思える相手でもな…」

 

「?」

 

「何れ…また、会おう」

 

そう言うと、“ファースト”の気配は消えた。きっとこの空間から出たのだろう。

 

「『“サード”』『僕からも一言』『友達は、信じない方が良いよ』」

 

「?」

 

“セカンド”は、ニタリと笑う気配を見せると、

 

「『キミは、確実に…』『仲間を手にかける』『断言するよ。キミは、仲間を全て殺すだけの“悪意”を持っている』」

 

「何・・・言ってんだ?」

 

「『キミに“なって”分かったんだ…』『その“悪意”が芽吹くのを楽しみにしているよ』『じゃあね。“サード”』『記憶は、置いて行くから感謝しな』」

 

そんな“セカンド”の言葉に寒気が、走った。そして、気配が消えた。

 

「……何なんだ?あの二人は…」

 

圧倒的な何かを感じた。俺が、持っていない何かを奴らは持っていた。

 

「彼らは、特殊な方々ですからね…前任の“マツモト”は、何か特殊な方を選んでいたようでしたから」

 

「はぁ…ところで、“ヤマダ”さん」

 

「なんでしょう?」

 

「どうしたら、ここから出られるんですか?」

 

帰りたくても帰れないんですけど…

 


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