闇。それは、恐怖の象徴。
闇。それは、安息の証し。
「どうやら、失敗のようですね。」
暗闇の中誰かが言った。
「だが、我らのやることは変わらん。」
「そうそう!」
闇の中からは、別の声が聞こえる。そして言う。
「我らは、闇を復活させる。闇より生まれし者達よ闘いだ。」
「「―――――――――!!!」」
闇の中より大勢の声が響く。彼らの気持ちは1つのようだ。作られた気持ちであるのだが。
「では、皆さん。ご健闘をお祈りします。」
誰かがそう言うと、闇の中には、3つの気配しか残らなかった。
「健闘か・・・そうあって欲しいものだ。」
「”闇”。そこまで、調子が悪いの?」
「”雷刃”。あなたもコアの一部ならば分かるのでは?あの時、闇のほとんどが、あの子達から掻き消されました。」
「”星光”の言う通りだ。もはや我らに勝ち目など微塵もない。」
「うわー偉そうな”闇”が言うとリアルに怖いね。」
「ですが、仕方ありません。このまま何もしなければ、私達はあの女と同じ末路ですから。」
”星光”はそう言うと空へと飛び上がった。
「では、皆さん再び闇の世界でお会いしましょう。」
そう言うと、”星光”は闇の中から出て行った。そんな姿を見て”雷刃”は溜め息をついた。
「”星光”の奴かなり無理してたね。もう殆ど消えても良い状態だよアレ。」
「奴は、我らの様に1度もオリジナルを取り込んでいないからな。力の流失も早いのだろう。」
「そうか・・・ボク等に出来る事は無いかな?」
「ない。だが、奴の分も戦う事は出来る。・・・さて、逝こうか。さらばだ”雷刃”また、闇で。」
「うん。闇で。」
二人の手前強がっていましたが、流石に力が持たず私は、一旦地面に降りた。
「やはり、もう長くは無いでしょうね。気を抜いた瞬間消える自信まで湧いてきますよ。」
そう言って、軽く笑うと私は、一旦休める場所を探し腰掛けた。どうやら何処かの住宅の裏の様だ。
「少し休んで行きましょうか。」
遠くの方で結界が形成されるのを見ながらそう決めると、家の中から楽しそうな家族の声が聞こえてきた。
「家族ですか・・・。」
高町なのはのマテリアルである自分は、ある意味で彼女のトラウマを背負っている。自分の記憶の中の家族は自分にとっての苦しみの対象でしか無かった。高町なのはは、子供のころ父親の入院により家族から疎外されている様に感じていた。そのことが彼女のトラウマとなっていた。それでも彼女は、仲間たちのおかげで、そんなトラウマを克服したのだ。
「・・・・・・。」
そして、そのトラウマは今自分の中にある。何故なら自分は彼女の闇なのだから。マイナスの感情があるのは当たり前なのだ。
”星光”にとっての思い出とは苦しみしかないのだ。
「全く。笑えませんよ。」
”星光”はそう言うとゆっくりと立ち上がった。彼女にとってここは、居て良い世界ではない。
そう確信したからだ。
どのくらい歩いたのだろうか?空でも飛べれば確認出来たのだろうが、そうするのは戦いの時位しか出来ない。
『マスター?』
自分の一部であり愛機である”ルシフェリオン”が私に声をかけてくる。
そういえば、なんでこの子だけ名前があるのだろうか?
『マスター』
謎である。
「なんでも有りませんよ。それよりも”闇”や”雷刃”や他の人達の魔力はどうですか?」
『あまり、減っていません。ご心配なく。』
「・・・そうですか。」
嘘をつくことが下手な子だ。私を心配させまいとして・・・ですが、貴方は私の一部なんですよ。
嫌でも分かってしまします。
「(有り得ないスピードで減っていますね。”闇”と”雷刃”は今の所大丈夫みたいですが、長くは無さそうですね。)」
私はそう悟り歩くスピードを速めると、前方からやって来た酔っ払いとぶつかってしまった。
「すみません。」
私は、丁寧に謝ると先を急ぐため歩き出した。しかし
「待てや!ゴラ!」
と酔っ払いが私の肩を掴んできた。
「人にぶつかって置いてそれだけかぁ?あ”?」
どうやらタチの悪い人に絡まれた様だ。
「・・・・・・。」
「黙ってないで、なんか言ったらどうだ!このガキ!」
「全く・・・自分から絡んで来た癖にどうしてそう都合よく強気に出れるのか。理解に苦しみます。」
「んだと!」
酔っ払いは怒鳴ったが今の私は急いでいるのだ。こんな所で、時間を喰っている暇は無い。
「失礼。私には、やることがあるので。」
「待てや!」
酔っ払いは、突然私の肩にてをかけると力いっぱい壁に押し付けた。
「キャ・・・!」
弱っている私はあっさりと押さえつけられ、小さく声を上げた。
「糞ガキが!こっちが下手にでてりゃ調子に乗りやがって!大人の怖さ、タップリと体に教えてやる!」
「い・・・嫌・・・止めて下さい!」
抵抗したくても力が出ない。本調子だったなら、こんな奴など相手にもならないのに。
お酒の匂いがする息を吐いてくる酔っ払いに私は生まれて始めて恐怖を言うものを感じた。
その時だった。突然爆音が鳴り響き酔っ払いが吹き飛んだ。そして聞こえる破壊音。
私は、気配を察して向くとそこには、眠そうな男の子がいた。
男の子は、何事かを言うと、酔っ払いに手をかけた。
「!!!」
すると、どういう訳か、酔っ払いのケガがなくなり壊れたビルも元に戻っていた。
一瞬男の子は、何かを後悔したような顔になったが、直ぐに気を持ち直したようで、スッキリした顔になった。
「なんですか?アナタは。」
私がそう聞くと、男の子は待ってましたとばかりに振り返りざまに言った。
「南一夜。ただの超能力者です。」
その後何故か絶望的な表情になったが。