デート。
date。
って、何すんの?
「…何も考えてねえ!」
そんな事に気がついたのは、午前3時の事であった。ボロボロな天井につきそうな程毛布を蹴り上げ机に向かう。
「参考になるものは…」
参考になるものを求め辺りを見渡す。目に入るモノは…。
“ファンタジー小説”
“ホラー小説”
“伝記”
“トランプ”
「役に立つものがね!!!」
最後は、書物でもねえ!頭を抱え机に叩きるける。
「やべえ…あの“日野様”の本家本元だぞ?殺される…嫌だ…死にたくない…」
無礼を働くと俺など、ゴミのように潰されるだろう。特に最近の俺の評判は最悪なのである。逃げるか?海…山…それとも…空?
「…駄目だ!逃げれる気がしねえ…」
“日野”より高位に位置する“バニングス”から逃げられるとは思えない。
「考えろ…考えるんだ…思考を止めるな…模索しろ」
しかし、前世?でも、女の子と関わりが薄かった俺に何が出来るはずも無くただ時間を浪費するだけだった。
「クっ…こうなったら!」
電話に駆け寄り時計を確認する。時刻は、朝の3時50分。今かければ、いい迷惑だろうが、こちらは、命がかかっているのだ、これ位の迷惑なぞ軽いだろう。そんな訳で、ボタンをプッシュする。電話特有の音が鳴り暫く待つ。
『…はい…八神です…』
「リンか?」
『ん?一夜か?何だ?こんな時間に』
どうやら寝ていたらしいリンが、意外そうに言うと俺は、要件を切り出した。
「今、時間大丈夫か?」
『ん?ああ、ちょうど仮眠中だった。今は、大丈夫だ』
一瞬ツッコミを入れたかったが、原作キャラの事情など知らん方が良い。余計な事に巻き込まれるからな。
「知っての通りバニングスさんとデートするんだが、デートってどうすれば良いのか分からなくてな…」
『明らかな人選ミスをしたな…人間の恋愛事情など、ついこの間まで、プログラムの管理人格をしていた私が知っていると思うか?』
「でも、知識はNO1何だろ?少しは、知ってるだろう」
『フム…』
リンは、何かを考える様に声を出す。頼む…期待してるぞ!リン!
『“でぃすこ”とか?』
「お前は、いつの時代の人間だ?」
『古代ベルカだが?』
「…すまん…人選を本格的にミスったらしい」
『だから、言ったのだ…他を当たった方がいいな。ヴィータは、私と似た様なものだし…後藤などは、どうだ?ヴィータをデートに誘った程だ、きっと、何かしらの進言はくれるだろう』
「成る程…」
時計を見ると4時30分程だった。今なら、大丈夫だろう。
「悪いな、じゃあ、お休み」
『ああ』
電話を切り、後藤の番号をプッシュする。長いコール音の後に後藤の声が聞こえてきた。
『はい…全日本幼女を愛でる会海鳴支部副会長後藤聖一ですが…』
「よし…色々ツッコミたいが、今は我慢してやる…」
『ん?その声は…南か…どうした?こんな時間に』
「ああ、ちょっとな、相談したいことがあってな…」
『相談?』
「ああ、女の子とデートに行くなら何処が良いと思う?」
『…幼女に手を出してみろ…テメエをコロス…』
「出さんわ!今度のデートの事だよ!」
尋常ならざる殺気を電話越しに感じたが…あえて、無視だ。
『ああ…委員長の生きる気力を奪ったアレか』
「責任の半分は、テメエだがな…」
こちらも殺気を飛ばして見るが、上手く伝わらなかったらしい。
『うーん…幼稚園とか小学校とか?あ、後塾帰りの…』
「お前に聞いた俺がバカだったよ!」
遊園地とか言ってたじゃん!
『後は…』
「後は?」
『“デェスコ”?』
「まさかの一致!」
『ゴメン。ヴィーたん以外とのデートは、あまり考えられないや。こう言う事は、女の子に聞いたほうが良くないか?』
確かに…だが、時間が時間だしな…。時計を見ると5時20分を刺していた。
「悪いな…じゃあ、お休み」
『ああ』
電話を切り、次なる番号をプッシュする。時田さんの番号だ。部活メンバーの中で最もマトモで常識人なうえ、未来予知が出来る彼女ならば、何かしらの打開策を提供してくれるかも知れない。
「…」
長いコールが鳴り響く…そして…。
『…“デェスコ”』
電話が、切れた。
「なんじゃ!そりゃあ!!」
行けってか?デェスコに行けってか?って、言うか要件ぐらい聞いてよ!俺の話を聞けよ!何だろうか?目の前が涙で見えないや…。
「…いや。時田さんの事だ、恐らく電話の事を未来予知で見て、結論だけ伝えたのだろう…そう信じようか…っうか、後は…」
恐る恐る文芸部の連絡網を確認すると残りは一つしかなかった。
「日野さんか…最後に回した事をばらすとキレるだろうな…」
被害を最小限にするためにあえて選ばない様にしてきたが、もう仕方が無いだろう。
「神よ…ヤマダさんよ…何故、この様な試練をお与えになるのか…」
震える指で、地獄の番号を押してゆく。そして、コール音。心臓の音が、はっきりと聞こえる。心情は、電話を繋ける誘拐犯だ。
『もしもし…南ね』
「ッ!!」
何故!バレた!心臓が萎縮し冷や汗が体を伝う。
「もしもし…日野さん…何故…その…」
『さっき、鈴音ちゃんの携帯に繋けて来たでしょう?履歴から直ぐに分かったわよ』
「え?時田さんの携帯?そっちにいんの?」
『ええ。今は、寝てるわよ』
「じゃあ、デェスコは?」
『イタ電対策よ。ほら、意味が分からなかったでしょう?』
「…いや、色々あって、意味が出来てたよ…」
『?』
「所で、相談なんだけど…時間大丈夫か?」
『はあ?こんな早くから繋てきてそれ言う?』
「申し訳有りませんでした!」
その場で土下座をして、見えない相手に許しをこう。
『で?相談って?』
「ああ…実は…」
取り敢えずこれまでの事を洗い残さず話す。すると、日野さんが呆れた表情になるのが、電話越しから分かった様な気がした。
『はあ…アンタね…』
「一応女の子である日野さんに相談しに来たんだけど…何か案とかある?」
『喧嘩を売りに来たの…?』
なんだ?この殺気は!息が…出来ない?
『殺意で人が殺せたら…』
苦しい!殺されてますよ!!
『…まあ、良いわ。私もデートとか良く分からないし…』
「?日野さんデートとかした事無いの?一度も?」
『そう見える?』
「うん。」
意外だな…下僕が沢山居そうなのに…。
『無いわね…そんな暇無かったし…勉強勉強だったしね…アハハ、跡取りは、大変よ』
「日野さん…」
明るい声で、言う日野さんだったが、何処か影があった気がした。どうやら、日野さんの触れてはいけない過去に触れっていたらしい。まだ、子供の日野さんに“日野家”を継ぐ為にどれだけの時間を犠牲にして来たのだろうか?考えるだけで、頭が痛くなる。
『まあ、最近は、何か軽くなったし部活も楽しいし結構リア充に成ってるけどね』
「はあ。…」
リア充の意味が分らない。
『うーん…ゴメン。分からいわね…“バニングス”の令嬢を困らせられる事に喜んでて、アンタが恥をかくことを失念してたわ…ダメね…ちょっと、待ってて…えっと…』
すると、電話の向こうで、誰かが近づいて来る音がした。声からするに夢の様だ。
『あ、おはよう。夢ちゃん。悪いけどちょっと、南とお話してくれる?探す物があるから』
『…うい…もしもし』
目を眠そうに擦っている夢を連想しながら、時計を見ると、もう直ぐ6時だった。案外早起きだったんだな。夢の奴。
「もしもし…」
『うん…一夜…何?バラバラ?』
「何が!?」
かなり寝ぼけている様だ。
「デートの事で少しな」
『デート…』
「ああ、どうしたら良いのか迷っててな…アドバイスをもらいにな」
言っても分からないだろうが、つい説明してしまう自分に苦笑する。だが…。
『まずは、服装からだね…一夜は、私服が少ないからもう少し増やした方がいいかも…デートのでの服装は、相手の第一印象に関わるから絶対に手を抜いちゃ駄目だよ…』
「え?夢さん?」
『一夜には、ちょっと黒っぽい服だね…出来たら…』
「えっと…」
え?何?この状況?
『デートの場所は、海鳴市…良くて、デパートまでの範囲だから…』
次々に飛び出る具体的計画案。何なんだ?コレは…。
『この時期なら…』
そして、思い出す。ああそうか…コイツ転生者だったよ!近頃完全に忘却していたが、元々夢は“転生者”であり“殺人鬼”だ。日野さん曰く生前は、騙され続けた人生だったらしい。そう考えると夢の精神年齢は、俺より上。下手をしたら後藤より上かもしれないのだ。
「そう言えば…“夜の課外授”も不完全だけど復活してたし…」
記憶は、厳重に封印してあるが、寝ぼけている間に僅かに漏れ出ているのかも知れない。っと、言うことは、今の夢は、人生経験が豊富な先輩と言う事になる。…このチャンスを逃す手は無い!
『後は…』
取り敢えず内容を紙に書き始める。期限は、夢が完全に目覚めるまで。その間に出来るだけの情報を集めてみせる!!
今回は南がデート前日?いや当日か…におこった話でした。
次の話は…果たしてデートなのか?それとも…