とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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南が夢に教わったデート術!!

さてさて発揮されるのか?

ではどうぞ!!


第60話 ドキドキ!デート。

時は、平成。海鳴。

多くの漢達が自らの覇権と僅かな幸福を求めた乱世は終焉を迎えた。

多くの屍が生まれ、多くの涙が流された。しかし、そんな乱世も終わり、孤独な勝者が誕生した。

その名は、南一夜。

この物語は、望まぬ権利を手に入れてしまった男の哀れな物語である。

 

朝。それは、希望を告げる太陽の時間だ。だが、今日に限り永遠に昇って欲しくは無かった。

 

「はあ…」

時計を見るともう直ぐ7時である。待ち合わせの時間は、9時だから後2時間は時間がある。

 

「…まあ、良いか」

取り敢えずの今日の目的は、デートを完遂し身の安全を確保することである。そのためには、僅かな気の緩みすら許されない。そんな訳で、俺は、2時間前に家を出る事にした。

 

「今日も平凡な日であります様に」

手を叩き神に祈る。そして、冷たい朝の空気を肺一杯に吸い込み前進する。そして、数分後。待ち合わせの駅前の噴水が見えてきた。取り敢えず頭の中で日野さんが持ってきた雑誌のチェックポイントにチェックを付ける。

 

「よし、彼女より早く来る。クリ…あ…」

 

「あっ…」

そんな声を上げた金髪の少女を見る。何故来ている?…アリサ・バニングス。恐ろしい子!

 

「あ…おはよう…」

 

「ど…どうも…」

お互いに不意打ちだったらしく心臓がドキドキしている。

 

「えっと…遅いわよ?」

まだ軽く1時間以上の猶予が在るはずだが…そうか…時間に遅れて来たからデートは中止とか考えていたんだな。ミスった…。

 

「えっと…御免なさい…」

気まずい雰囲気の中、デートと言う拷問が幕を開けた。

 

 

 

「フフフ…完璧やな…」

 

「何だ?はやて?そんな悪い顔して」

怪しげに微笑むはやてに若干引いながら朝ごはんを食べる。翼兄ちゃんやリン達も不思議そうに見ている。

 

「いやな、アリサちゃんもしたくないデートをさせるのも可哀想やし一計を案じて見たんやけど…あ、別に南くんを疑っている訳じゃないんやで?」

 

「いや、デートが出来なくなるならアイツも狂喜乱舞するけど…どんな策なんだ?」

 

「フフフ…その名も!“女の子を待たせる男の子は最低!大作戦”!」

どこからか取り出した、長い紙に筆でそう書かれた巻物を広げ誇らしそうに言った。この奇行には既に全員が慣れているので、誰も突っ込まない。まあ、作戦名を聞く限り恐らく時間通りに来ても早く来ているアリサに罵られデートを破棄させる作戦なのだろう…。確かにエグイ作戦である。だが…。

 

「恐らく上手く行かないだろうな…」

たくあんをポリポリとかじりながらリンは、断言した。

 

「?なんで、そう思うん?」

 

「…一夜に時間差の戦法は効果は無いからな…タダでさえ、日頃から“日野”に酷い目に合わされている一夜が本家である“バニングス”相手に気を抜くとは思えない。1・2時間前には家を出るだろうな…」

 

「…確かにな」

恐らく南は、アリサをナギサレベルの暴君だと考えている。そんな奴が時間通りに来る訳がない、脅せば1日前からいるだろうし…。

 

「む…むう…」

はやてもその可能性に気が付いた様である。

 

「でも、可能性は可能性やし…」

 

「…まあな…ん?」

その時誰かの携帯が鳴った音がした。この着信音は…リンか?

 

『ピピルピルピルピピルピ~♪』

 

「主。失礼します」

 

「ちょい待て!何で!それが、着信音にセットされてんだ!」

何故か私の黒歴史が着信音になっていた。

 

「へ?何?その着信音。ヴィータの声だ」

 

「ああ。コレは、前に…」

 

「アアアア!!!!!!!!!!!!!!」

全力で大声を張り上げる。近所迷惑?知るか!

 

「後藤に…」

 

「あのロリコン野郎!!コロス!コロス!ついでにリンもコロス皆コロス!!」

この声を知る者全てを滅す!最近私物化しつつある釘バットを振りかざしリンを追撃する。

「ま、待て!ナギサからだ!」

 

「ウガァ!!」

最早関係ない!

 

「ん…ああ…心配ない。今、ヴィータに殺されかけている所だからな…そうか…分かった」

瞬間体中に光の輪が出現し拘束された。

 

「主。本日は少々私用の為、お暇を頂きたいのですが…」

私を担ぎ上げ真面目な顔で言うリンはシュールだった。

 

「ん?ええけど?」

大破した魔力的防御壁が貼ってあった壁を見ながらはやては、そう言った。エスカリボルグの破壊力は、魔法をも超えるらしい。まあ、ともかく呼び出しがあったって事は…。

 

「…始まったか…」

 

「ああ」

その時、開けていた庭の窓から体長2メートルは超える黒犬が飛び込んできた。

 

『グルル…』

 

「「「「!!!」」」」

血走られた目で辺りを見渡し殺気を振りまくのは止めてもらいたい。おかげで皆が警戒している。

 

「何だ…コイツは…」

 

「主…下がっていてください」

 

「隙がないだと…」

 

「…怖い…」

皆さん凄まじい感想を抱いているようだ。

 

「ふ…わざわざ悪いな。タマ」

 

「「「「タマ!?」」」」

 

「では、これで!」

 

「あ、アイスは食べんなよ!」

タマ(リン命名)にまたがり一駆けで道路に飛び出す。相変わらずの跳躍力だ。そして、近所の奥様方に怯えられながらナギサの家に向かってタマを走らせた。

 

 

 

 

「何やったんや?アレ…」

 

「さあ…」

まるで、悪夢に出てくる様な黒犬で町中を疾走していく家族をみながらそう言うしかなかった。

 

 

 




次回ようやく南とアリサのデート!!

披露される策の数々。

どうなるこのデートは!!

と言うことで次回にまた会いましょう。

※追伸、2行目のことは本当かどうかは次の話で!!と言うことで。

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