とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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今回ついに奴が帰ってくる!!

短いです。連続して投稿します。


第64話 敗者の帰還

 

太陽が輝く晴れの空の下。少年は帰ってきた。

 

「会いたかったぞ!海鳴!」

両手を広げ大声を上げる少年を町の人々は奇異の眼差しで見つめていた。

 

「あのお兄ちゃん何してるの?」

 

「見ちゃいけません!」

近くにいた親子の会話に若干心に傷を負うが、それでもめげず、少年は活き活きとした目で辺りを見渡した。

 

「斉藤進!ここに帰還せしー」

さっきから、少年とぼかしているが、この少年はかつて、南に敗れ姿を消した斉藤進その人である。彼は、あの後、心に傷を負いさ迷っていた。そして気が付くと見知らぬ土地に一人立っていたのだ。当然帰ろうとしたのだが、心の傷は、そうとうなモノでありまた、此処が何処かも分からなかったので、帰れなかった訳である。しかし、斉藤は此処で始めて会った人々との触れ合いや美味しい空気や野菜に触れながら少しずつ心を癒したのだった。そして今、彼はこの場に帰還したのであった。

 

「俺は、もう迷わない。そうさあの場所の皆が教えてくれたんだ!迷わなければ、道は開けると!」

斉藤はそう言うと、歩き出した。家に向かって。

 

 

 

 

『迷い人「斉藤進」君を探しています。』

 

『特徴「特になし」「たまにボケる」「ツッコミは78点くらい?」』

 

『持久走大会の日より行方不明。目撃情報や有力情報をお待ちしております』

 

『℡ ●●●―●●●―●●●●』

 

「一大事になってる!」

ツッコミの点数78点くらいのツッコミを入れるが、どうも気持ちが落ちつかなかった。なにせ自分が迷い人扱いにされていたのだから仕方が無いだろうが。

 

「て、言うより何だ?この「特徴なし」って!何か在るだろう?俺の特徴くらい!」

例えば……。

 

「…………………」

自分でも自分の特徴が分からない人って結構居るよね?うん。そうに決まっているさ。この涙は決して、自分に特徴が無いのを悲観しての涙ではないのだ。

 

「とりあえず電話番号からすると日野さん辺りか?」

よく見ると、迷い人の紙はあちらこちらに貼られていた。写真の無愛想な顔も相まって、さながら指名手配犯になった気分である。

 

「とにかくこの捜索願いを取り消してもらわないと」

最悪家にも帰りずらい。近くの公衆電話でも探してこの対策本部とやらに電話をしなければな…帰りずらい。

 

「この辺にある公衆電話はたしか…海鳴病院か?」

最近の携帯電話の普及により公衆電話が絶滅しかけている。携帯を持たない俺のような小学生には迷惑な話だ。

 

「はあ、面倒だ」

近くにアリサの家があれば、そっちの方に行けたのだが…場所が悪い。とりあえず、俺は、病院を目指して歩き出した。もちろん張り紙は全て剥がした後にだが。

 

 

 

 

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