まあ気にせず頑張ろう!!という事で、70話です。
「不死身の殺し方?」
病院の屋上にて、悪意とクダキと言う少女が、ベンチに座り何かを話していた。悪意は、術後にも関わらず此処に居るものだからきっと病院の方々に多大なる迷惑を掛けているであろう。
「『うん。ほら、ファーストやサードって基本的には不死身じゃん?そんな奴らどうやって殺せると思う?』」
「サードについては、分かりますが、ファーストも不死身なのですか?そうは、見えませんでしたが?」
「『そうだね。ファーストは、厳密には不死身とは違うね。でも、まあ良いじゃん?そんな些細な事なんて』」
「はあ?」
クダキは、お茶の入ったコップをジーッと見つめ思考に入る。
「…………………………………………………」
のどかな日だな~と悪意は、夕焼けが綺麗な空を見上げながら心なしか笑っていた。
「…………………………………………………」
あ!猫だ!って!大量の猫だ!怖い!と悪意は軽く戦慄した。
「…………………………………………………」
ああ!クダキちゃんが大量の猫に埋め尽くされてる!と悪意の本気の焦り声が屋上に響いた。
「…………………………………………………」
ほら!ほら!こっちに来い!と悪意の猫陽動作戦が成功し、クダキを救出に成功する。
「…………………………………………………」
って?何こっちを見てるの?って!大量の猫が襲い掛かって…うわ!!と悪意が猫達から本気で襲い掛かられていた。
「…………………………………………………」
よーし…良いだろう…ボクの本当の力を見せてやろう!悪意の本質を知るが良いアハハ!!と悪意が猫相手に本気になっていると。
「…………………………………………………剣樹…」
「『にぎゃああ!!クダキちゃん!力使ったよね!ボクに向かって使ったよね!』」
全身から金属と血液を噴出した悪意は地面に伏せた。明らかに前より重症だった。
「…すみません…私には分かりかねます」
「…そうかい…」
猫を優しく撫でているクダキを悪意は、恨みがましく見上げると、地面の一部となったまま話し始める。
「『厳密には、不死身を殺す事なんて不可能だ。それゆえの不死身なんだからね』」
「それでは、答えが無いのが正解と言う事ですか?」
「『いや、確かに殺す事は出来ないけど、無力化する事なら出来るんだよ』」
「無力化ですか?」
クダキは、首をかしげるが悪意は、さらに続ける。
「『方法は、大きく分けて2つ』」
二本指を立て地面にうつ伏せのまま続ける。
「『一つ。相手を宇宙空間や異次元空間に幽閉する。いくら不死身でも“世界”から追放されたら死んでいるのと同じだからね』」
「なるほど…確かに何も為す事が出来なければ死んでいるのと同意義ですからね。コレが、ファーストやサード対策ですか?」
その言葉に悪意は、苦笑いを浮かべる。
「『いや、前者は、両方共戻って来れるだろうし後者は、ファーストなら問題なく対応してくるだろうさ。下手をすればサードも…』」
「はあ?では、もう一つの方法と言う事ですか?」
クダキは、そう言って悪意を起こしてベンチに座らせる。悪意は、既に虫の息だった。
「『いや、むしろもう一つの方法が一番難しい』」
ゲホっと、血の塊を吐き出しながら悪意は話を続ける。クダキは、テキパキと輸血用の血液を準備し点滴をセットする。ついで、地面の血液を片付け始める。
「地面の血液が取れませんね?どうしましょうか?」
「『方法は、超簡単なんだ…相手が再生するなら…』」
悪意の目には既に光はなかった。
「『再生が追いつかないくらいに相手を破壊すればいい…』」
「破壊?不死身をですか?そんな事…」
出来る訳が無い。クダキは、そう考えたが、悪意は口元を三日月型にして笑っていた。
「『そうだね。そんな芸当はこの物語の主人公と言っても言いファーストだって不可能だ。もちろんセカンドであるボクやサードだって不可能。それだけじゃない、“天使”だって、“殺人鬼”だって、“英雄”だって、“役立たず”だって、“万能”だって、キミにだって不可能だ。でも…ただ一人可能な人間…いや、化け物がいるんだよ…』」
「化け物?」
「『いや、語弊かな?ファーストやサードと比べると限りなく人間なんだけど、あの2人以上に化け物なだけかな?』」
「…意味が分かりませんが…」
「『今は、分からなくたって良いよ。恐らく今回の転生者らしき奴は、ファースト辺りが呼んだんだろう。生贄って奴かな』」
「生贄ですか…」
「『大方、再生能力に特化した奴を当てて来たんだろうね。化け物の力を見るために…』」
「ファーストは、“彼”を警戒している?」
「恐らくね。だからこそファーストは、危険を冒してまでボクに同盟を持ちかけて来たんだよ」
「同盟ですか…同盟?」
あっさりと言われた同盟と言う言葉に流石のクダキも少しの動揺を見せた。悪意は、相変わらず死にそうな顔色で、悪戯成功と笑う子供の様な顔になった。
「『内容は、いまから4年間の不可侵条約さ。4年間はお互いの行動に口を出さないし出せない』」
「こちらのメリットは?」
「ボク達の命かな?」
「…」
「『まあ、弱者が強者に組み伏せられるのも世の常だって言うしね。しばらくは、ファーストの行動を観察させて貰うとするよ』」
悪意は、そう言うとケラケラと笑いそのまま動かなくなった。
「…同盟ですか…裏切られる事を前提に考えなくてはいけませんね…」
クダキは、顎に手を当てて考え事をしながら屋上を後にした。その後ろに付き従うように猫の大群が彼女の後を追ったのだった。
屋上には、悪意の身体が力なく横たわっていた。
そして、ベンチには、悪意自身の血で“クダキ”と書かれているのが後日発見されるのだった。
という訳であと少しで日常編終わり!!頑張って投稿していきます…非常に遅い投稿ですが…
これからもよろしくお願いします。