とある市民の自己防衛   作:サクラ君

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第71話 主人公の資質

 

この世は、理不尽で残酷だ。

 

死ぬ瞬間に俺は、そんな事を考えた。

 

たまたまお金が足りなくなり銀行に行ったまでは、良かった。

 

銀行強盗が突然入って来るまでは。

 

銃を突きつけられ一箇所に集めれれる。そして、妙な動きをすれば殺すと言われた。

 

もちろん動くつもりは無かった。

 

俺だってまだ死にたく無かったから。

 

暫くして警察が沢山やって来た。そして、銀行を包囲した。

 

強盗は、銀行に立てこもった。まあ、妥当な判断だろう。

 

暫くすれば、きっと警察が突入してきっと全員助かると誰もが思った。

 

夜に子供が泣き始めた。

 

まだ、小さな女の子だった。

 

お母さんは、その子を銀行に残し近くのスーパーに買い物に行ったらしかった。

 

しかし、誰もその子に構おうとはしなかった。当然だ誰もが自分の事で精一杯だったからだ。

 

その内強盗がイライラしながら彼女の前に立っていた。そして、怒鳴ったのだ。

 

「うるせえ!殺すぞ!」

と。明らかに逆効果であろう言葉を聴いて女の子は、更に泣き出した。強盗は、銃を突きつける。警察に囲まれ明らかに冷静さを欠いていた。

 

俺は、女の子に近づき大丈夫だと励ました。別に兄弟がした訳でも無かったが、その子をそのままにしては、置けなかったのだ。

 

そして、その子をなんとか落ち着かせる事が出来た。

 

気が付くといつの間にか朝になっていた。

 

まさか、銀行で一夜を明かす事になるとは、世の中分からないモノである。

 

2日が過ぎた。

 

いい加減に突入して欲しいと心から祈ったが、その日も警察は何もしなかった。流石にこの頃になるとお腹が空いてくるモノである。銀行内にもお菓子類などがあったが、殆ど強盗が独占していたため俺たちは猛烈な空腹に襲われていた。

 

誰もがイラつき些細な事で争いが起こった。

そして、矛先は一番弱い立場の者に集中する。

 

俺は、何とか冷静さを保ち女の子を守っていたが、強盗が入ってきたのはお前の所為だ!だの訳の分からない事まで言われ殴られる始末であった。強盗は、その間ニヤニヤと笑っていたのを覚えている。

 

そんな状況が変わったのは、数日後の事だった。警察が一斉に突入してきたのだ。なんでも、慎重派が止めていたらしいが世論に押され突入したとか…。

 

スモックが張られ辺りが白くなる。因みに催涙弾の発射されたらしく目がえらい事になった。

続いて、煙幕の中からゴム弾らしき弾が雨あられと飛んできた。何発か身体に命中し死ぬほど痛かったのを俺は忘れない。

 

しかし、これで、きっと全てが終わるだろう。そう信じて疑わなかった。

 

「畜生!皆死ね!」

突然タイプライターの様な音が響き渡った。と、同時に身体に走る激痛がその正体を分からせた。つまり、強盗は撃ったのだ。音はやむどころかまだ続いていた。一体何発あるんだ?そう考えた瞬間だった。

 

「う…お母さん!」

女の子が恐怖に耐え切れず飛び出して行ってしまったのだ。動けば弾丸の餌食だと言うのに…それが分からないのだろうが…。

 

「っ!」

案の定強盗は動いた獲物を狙ってきた様だ。獣か?アイツは?

あの子は、死んだな…そう心の中で合掌したが、次の瞬間身体が勝手に動いたのだ。

俺は、女の子を抱きしめた。瞬間何発もの弾丸が身体を貫いた。

 

「…バカか…俺は?」

まさか、自分の最後の言葉が自分の罵倒などとは夢にも考えて無かった。俺と同時に女の子も倒れたが、何発か、俺の身体を貫通した弾に撃たれた様だが、泣くだけの力はある様だと安心した。

そして、強盗が取り押さえられるのを最後に見たあと俺の意識は途絶えた。

俺の人生はこうして終わったはずだった。

 

 

 

 

その後に悪夢以上の現実が待っているなって思った事も無かった。

 

 

「決着は、付いたか…」

真っ赤に染まった赤い工場の中に一人の男が佇んでいた。

 

「…圧倒的な再生能力でもこの様ではな…」

壁一面にまるで、ペンキの様に広がっているものがまさか元々が人間だったとは誰も思うまい。

 

「“特殊技禁止”がまだ健在な所を見ると純粋な力技か…恐ろしい…」

男は、顎に手を当て考え込む。そして、未だに気絶している少女を見やる。

 

「今回は運が良かった様だな…バニングスの令嬢…」

そう無表情で言い捨てると、左右に散らばっていたサードこと南一夜の遺骸を集め新しい袋に詰めなおした。その際もう一度頭部を破壊し直後の再生を防いだが。

 

「…失礼いたします」

すると、若い男がやって来た。アリサを誘拐した男である。

 

「どうやら、“姫さま”が此方を特定した様子…いま、高速で此方に向かっている気配が2つほどございますが…」

 

「…此処に長居する理由はもう無い。撤収するぞ」

 

「はっ…して、今回の煮はどの様に処分致しましょうか?」

 

「いつもの様に…丁重に“育てて”やれ」

 

「はい。それでは、私は、これから例の場所に向かい貴方の迷惑にならない様に消えるとします。これまで、お世話になりました。“次”の私も役に立てれば幸いです」

 

「…感謝する。安心してくれ。必ず…」

その言葉終わるか終わらないかの直前に男たちは、空気のように消えた。

 

 

 

この物語には、主人公がいる。

 

主人公の素質とは…。

 

正義を貫く心か?

 

悪を貫く心が?

 

復讐心か?

 

それとも偽善か?

 

結局の所まだ、それは、分からない。

 

 

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