あれから、少したち、俺は無事に原作に巻き込まれる事無く新年を迎えた。
とは言え、家は俺一人であるため適当にデパートからオセチの小売を買って祝った。
その後、残っていた宿題を片付けテレビの特番をゴロゴロしながら見ていた。
御神籤も引いて見たが、結果は”大凶”と言うこの時期では逆に運の良い部類に入るものが出た。
なんでも、待ち人がこない上に他人がいるそうな。なんじゃこりゃ?
そんなこんなしていてもうすぐ新学期が始まるので、新しい鉛筆と消しゴムを新調した帰り道俺は、アイツと最後に会った場所に自然と足が向かっていた。
「ったく。あの日はお前のせいで眠れなかったんだぞ?」
そう言って、空き缶に花をさしてお菓子を近くに置く。
「お前の為じゃねえからな。」
俺がそう言って、外に出ると銀髪の女性がいた。
「・・・・・・。」
間違いない。あの髪色は100%原作キャラだ。何故こんな所に?
「私はどうするべきだったのか・・・どうすれば・・・。」
チャンスだ!原作キャラは只今、よくある苦悩シーンの真っ最中のようだ。
「今だ!」
俺は、風の様に走る。そして、原作キャラの脇を・・・
「アベシ!!」
「ん?」
抜けようとした瞬間突然動いた右腕により世界が一回転した。
「わ!すまん!大丈夫か?」
「ダイビョウブデフ(大丈夫です)。」
抜かった。正月だったので”不慮の事故”も”反射”も切ってたんだった。随分しさしぶりなダメージだったりする。
「いや、そうは見えんぞ?顔面から凄まじい量の失血が・・・。」
え?そうなってんの?・・・本当だ!地面に血だまりが出来てる!ヤバくね?
「ちょっと待ってろ。」
原作キャラの前でまさか”大嘘憑き”を発動するわけにもいかないし地味に痛いし。どうしよう?
「アレ?」
「目覚めたか。」
いつの間にか気を失っていたようだ。と言うよりなんで、膝枕?
「ギャアア!!」
原作キャラに膝枕をされているぅぅぅ~!!ヤバイっうかなんで?
見知らぬ子に膝枕?
「すまない。驚かしてしまったか。」
「あ、いいえ。」
よし。クールになれ俺。この状況はまだ回避出来るレベルのはずだ。
取り合いず離れてあたりを見渡すとそこは、俺がさっきまでいた場所だった。
「お前が、そこらか出てきたのは分かっていたからな。」
どうやら、原作キャラのスキルを甘く見すぎていた様だ。原作キャラは花を見て言った。
「お前は、どうしてこんな所にいたのだ?」
「見ての通り友達の供養のためですよ。アンタこそなんでこんな所に?」
「私は、・・・何故なのだろうな?例えるなら、自分が死んだからか?いや、姉弟が死んだからと言うべきか?」
これが、原作キャラではなければ俺は不審人物として即座に通報していただろう。
「すまない。言葉が見つからないのだ。」
「そうですか。じゃあ、俺はここで。」
もうこんな所には、長居は無用だ。俺はそう言うと、外に出るために歩き出した。
サラバ原作キャラ。フォーエバー♪
「ああ、全く。お前は何が言いたかったのだ・・・”星光”よ。」
”星光”その言葉に俺は足を止めた。
「”生きて下さい”だと。全く・・・笑える。闇をまき散らし主にその友にまで迷惑をかけた私が・・・呪われた私が・・・。」
「・・・・・・・・・。」
俺は次の言葉を待った。そうしなければ、どうする事も出来ない。
そして、原作キャラは言う。
「・・・私など早く消えてしまえば良い。あのマテリアルの様に幸せな記憶を抱えたままで。」
「・・・・・・。」
そうかい。じゃあ・・・。
「俺が消してやるよ。」
そう言って、ポケットからゲームコインを取り出した。
「えっ?」
原作キャラは、俺に気付いたが。
もう遅い。高圧電流の塊が、原作キャラの腹部を貫いた。