ポケモン現代入り 作:ささみ
多分暫く夜しか更新できないと思います、流石に新しい職場に慣れるまでは無理ンゴ
盆は本気だすから許し亭許し亭……
ホウエン地方のポケモンが現れてから、10日ほどが過ぎていた。
『政府は本日、匿名の情報提供者から新たに提供された資料について、その一部を公表しました』
朝食を食べながら見ていたテレビから、聞き覚えのありすぎる話題が流れてくる。
『資料によれば、次に出現するポケモン群は「シンオウ地方」に由来するもので、7月1日に北海道を中心として出現するとされています』
画面が切り替わり、日本地図の北海道全域が色付けされる。
『政府は、これまで提供された情報が実際の出現地域やポケモンの特徴と高い精度で一致していることから、今回の情報についても信頼性は極めて高いと判断。北海道庁をはじめ、警察、消防、自衛隊など関係機関との事前準備を開始しています』
「次は北海道か」
父さんが箸を止めた。
『ただし政府は、情報提供者の資料に記載された日付を現時点で独自に検証する手段はなく、7月1日の出現を政府として保証するものではないとしています』
「でも、今までの情報は当たってるんでしょう?」
母さんがテレビを見る。
「なら、来るつもりで準備した方がいいな」
「だね」
そう答えながら味噌汁を飲む。
俺にとっては来るつもりどころか確定なのだが、それを言うわけにはいかない。
『また北海道内では、発表を受けて一部地域の宿泊予約が増加しており、政府はポケモンの捕獲や撮影のみを目的とした危険地域への立ち入りを控えるよう呼びかけています』
「人も増えるのか」
「それが一番面倒かもしれないわね」
母さんの言葉に父さんも頷いた。
「ポケモンなら、こっちの子たちを見て避ける個体もいるだろうし、話が通じる個体もいる。人間は勝手に入ってきたら止めるしかない」
「畑に珍しいポケモンがいたからって、撮影しに入られたら困るものね」
「私有地って分かるようにはしておいた方がいいか」
両親も今さら、ポケモンを普通の野生動物と同じものとして考えてはいない。
一緒に暮らしていれば分かる。
言葉を完全に理解しているように見える個体もいれば、簡単な合図ならすぐ覚える個体もいる。自分で考えて行動するし、性格にもかなり差がある。
だから、高い柵を作れば終わりという話ではなかった。
「シンオウのポケモンが来る前に、今いる子たちの訓練を増やそうと思う」
父さんがこちらを見る。
「家の警戒用か?」
「それもある。今のままだと、何かあった時に強い子だけで全部対応することになるから。空、水辺、林、夜で役割を分けたい」
「それなら先に、誰がどこを見るか決めた方がいいな」
母さんも頷く。
「夜はゲンガーやコンパンの方が向いてるでしょうし、ポッポは昼間の方がいいでしょうね」
「うん。シンオウが来た後は、山側をリングマに歩いてもらおうと思ってる」
「追い払わせるのか?」
「いや、巡回だけ。山の中で見慣れない群れとか、明らかに危なそうなのを見つけたら戻って知らせてもらう」
「それならいい。ただ、追いかけさせるなよ。相手が逃げたら、そのまま遠くまで行くかもしれない」
「分かってる。先に戻る合図を覚えてもらうよ」
「それが先だな」
今のリングマは、林を自分の居場所として使っている。
こちらが呼んでも必ず来るわけではない。食事の時間には比較的素直に姿を見せるので、まずは音と帰還を結びつけるところから始めた方がいいだろう。
母さんの足元ではニドラン♀が朝食を終え、こちらの話を聞くように耳を動かしていた。
「この子も訓練させるの?」
「本人がやりたそうなら。まだ直接ぶつけるような戦いはさせないけど」
「毒針には気をつけてね」
「それは絶対」
ニドラン♀が自分の話だと理解したのか、こちらへ寄ってくる。
「やる?」
「ニド!」
「じゃあ軽いところからね」
父さんの近くにいたポッポも翼を広げた。
「ポッポもやるか?」
「ポポッ!」
「畑の上を見てもらうなら、今より指示に慣れてた方がいいな。俺も一緒にやる」
「父さんが指示出してね。もう父さんのポケモンなんだから」
「ああ」
家を守るからといって、全員を戦闘要員にする必要はない。
近づいてくる相手に早く気づく。
ほかの仲間へ知らせる。
畑や家へ入れない。
危なければ無理せず離れる。
倒すことより、そちらの方が重要だった。
翌日から、未利用地の一角を使って訓練を始めた。
最初は敷地を守る練習だ。
地面へいくつか目印を置き、その内側を家や畑に見立てる。片方が中へ入り、もう片方がそれを阻止する。
「相手を倒さなくていいよ。中に入れなければ勝ち。危ない技は禁止」
侵入する側はコラッタとオタチ。
守る側はコンパンとニドラン♀。
開始すると、コラッタとオタチはすぐ左右へ分かれた。
「コンパン、両方追わなくていい。ニドランの方は任せて」
「コン!」
コンパンがコラッタへ向き直り、ちょうおんぱを放つ。
コラッタの足が乱れた。
一方のオタチはニドラン♀の前まで走り、急に方向を変える。反射的にニドラン♀が追いかけようとしたところで、母さんが声を掛けた。
「追いすぎないの。そこを空けたら入られるでしょう?」
「ニドッ」
ニドラン♀が止まる。
すぐ目印の内側へ戻り、回り込もうとしたオタチの前へ立った。
「そうそう。捕まえなくていいから、入れなければいい」
何度か役割を入れ替えながら繰り返す。
パラスには地面に近い場所や物陰を確認させ、ポッポには上から全体を見てもらう。
父さんが指示を出すと、ポッポは畑を想定した範囲の上空を旋回し、動いているポケモンを見つけるたび鳴き声を上げた。
バタフリーとスピアーにも飛んでもらい、ポッポの視界から外れた場所を補う。
ニョロボンとニョロゾは水場。
リザードは、侵入を止めきれなかった時の最後の役だ。
ゲンガーについては昼間より夜の方がいい。
「ゲンガーは夕方からやろう。昼間にやったら、お前だけ有利すぎる」
「ゲンゲン」
「嬉しそうだな」
リングマには別の訓練を始めた。
林の入り口で短い電子音を鳴らし、その直後に食事を渡す。
「最初はこれでいいか」
『ポリ』
何度か繰り返し、翌日から少し離れた場所で同じ音を鳴らす。
初日は反応なし。
2日目は、林の奥で何かが動いた。
3日目になると、音を鳴らしてしばらくした後にリングマが林から姿を見せた。
「来た」
「グマァ」
リングマの視線は完全に俺の手元へ向いている。
「今は飯が出る音だと思ってるだけだな」
『ポリ』
「まあ、それでいいよ。まず戻ってくること覚えてもらえば」
食事を渡す。
リングマは満足そうにその場へ座った。
「7月になったら、山の方を見て回ってもらうからね。変なのがいたら、無理に喧嘩しないで戻ってきて」
「グマ」
「……今は絶対飯の話しか聞いてないな」
それでも、最初の一歩にはなる。
個別の模擬戦も続けた。
コラッタとオタチは互いに素早さを競い、相手の横へ回り込む。
パラスとニドラン♀は毒や胞子を禁止して、距離の取り方を練習する。
父さんのポッポはバタフリーを追いながら飛び、横から風を受けても姿勢を崩さないよう練習を続けた。
コンパンの相手は主にゲンガーだ。
夕方になると、ゲンガーが木や地面の影へ潜る。
「姿を見てから追うんじゃ遅いよ。出てくる場所を考えて」
「コン!」
背後の影からゲンガーの手が伸びる。
コンパンが振り返り、ちょうおんぱ。
ゲンガーは笑いながら影へ戻る。
「今の惜しい。もう少し早く」
何度も繰り返した。
コンパンは以前から実戦には参加している。
それでも、まだ進化はしていなかった。
訓練を始めて4日目。
ゲンガーが影から飛び出す。
コンパンは振り向かなかった。
そのまま、出てくる位置へねんりきを放つ。
「ゲンッ!?」
ゲンガーの身体が空中で止まった。
完全に拘束できているわけではない。
だが、ゲンガーが影へ戻るより一瞬早く、コンパンがちょうおんぱを重ねた。
「そこまで!」
技が解かれる。
ゲンガーが地面へ降り、自分の身体を確認した後に笑った。
「今のは良かった。ちゃんと読めてたな」
「コン!」
ポリゴンがコンパンの周囲を飛び、情報を表示する。
『コンパン レベル31』
「上がったか」
直後、コンパンの身体が光に包まれた。
「コン……!」
丸かった輪郭が崩れる。
背中から大きな羽が伸び、脚が細く長くなっていく。頭部から触角が伸び、赤い複眼が光の中に浮かんだ。
光が収まる。
「モルフォン」
「モルル……」
モルフォンが初めて使う羽をゆっくり動かす。
風が巻き起こり、近くにいたオタチが少し離れた。
最初はふらついたものの、すぐ姿勢を整えて宙へ浮く。
父さんがその姿を見上げた。
「これなら夜の見回りにも使えそうだな」
「うん。暗い場所でも動けるし、相手を倒さなくても粉とか超音波で止められる」
母さんはモルフォンの羽を見てから、洗濯物の方を見る。
「粉を家の近くで撒かせないでよ」
「そこはちゃんと教える」
「毒の粉もあるんでしょう?」
「ある」
「絶対に」
「はい」
「モル?」
「お前にも後で説明するからね」
全員がすぐ進化するわけではない。
コラッタもオタチも、ニドラン♀もパラスも、まだ経験が必要だ。父さんのポッポについても、普段の畑仕事と訓練を続けながらでいい。
それでも方向は決まってきた。
昼間の上空はポッポ、バタフリー、スピアー。
夜はモルフォンとゲンガー。
水場はニョロボンとニョロゾ。
敷地の中まで問題が入ってきた時はリザードたちが対応する。
7月1日以降は、リングマにも山側を見て回ってもらう。
ポリゴンは全体の情報整理と連絡。
「あと、7月になったらロトムとダンバルも探したいな」
『ポリ?』
「ロトムは機械関係。ダンバルは育ててメタグロスにする。お前に全部任せ続けるんじゃなくて、少しずつ仕事を分けたい」
『ポリ』
「お前が困ってるわけじゃないのは分かってるよ。俺が気になるだけ」
ロトムなら、家電や監視設備といった現実側の機械を任せられる。
メタグロスまで育てられれば、大量の情報を分析する役を任せられる。
「7月1日以降、北海道でロトムっぽい機械異常と、ダンバルかメタングの目撃情報が出たら優先して拾って」
『ポリ!』
「メタグロスも情報だけは拾っていいけど、狙うならダンバルからね」
まずは見つけるところからだ。
そして、捕まえる準備も必要になる。
部屋へ戻り、棚に置いてあるケースを開いた。
中には町工場から定期的に届いているモンスターボールが並んでいる。
現在、工場では週10個から15個ほどを安定して生産できるようになっている。使う数より届く数の方が多いため、在庫もかなり増えていた。
「……もう100個近いな」
『ポリ』
「普通の捕獲なら十分すぎる」
ただしダンバルは捕獲が難しい。
ロトムも、機械へ逃げ込まれれば何度も試せるとは限らない。
そこで思い出す。
「スーパーボールか」
町工場では、スーパーボールの試作品まですでに完成している。
その後に送った設計図の中では、比較的構造の単純だったプレミアボールも試作を終えているらしい。
一方でハイパーボールは、まだ試作の途中だ。
「スーパーボールの方、そろそろ量産も頼んでいいよな」
『ポリ』
「モンスターボールは週10から15個をそのまま続けてもらって……スーパーは週数個からでいいか」
依頼文を作る。
『現在のモンスターボールについては、現状の生産数で継続をお願いします』
『追加で、完成済みのスーパーボールについても安定生産できる工程の構築をお願いします。最初は週数個程度で構いません。モンスターボールの生産を止めず、品質と安定性を優先してください』
『必要となる設備、治具、材料、外注費についてはこれまで通り負担します』
「これなら無茶じゃないだろ」
『ポリ』
「……その間は何?」
ポリゴンは何も答えない。
「試作品が完成したら、いつか量産することになるんだから普通だって」
『ポリ』
「普通だよ。多分」
送信する。
数秒後に既読が付いた。
返信欄に『入力中』と表示される。
消えた。
また表示される。
また消えた。
「何を書こうとしてるんだろうな」
『ポリ』
数分後。
『依頼内容を確認しました。社内で検討します』
「文章は冷静だな」
向こうで実際に何が起きているかは、考えないことにした。
シンオウ地方のポケモンが現れるまで、まだ時間はある。
その間に、今いる仲間を育てる。
リングマに戻る合図を覚えてもらう。
スーパーボールの生産体制も整えてもらう。
ロトムとダンバルを探すのは7月に入ってからだ。
「まずは今いる子たちからだな」
『ポリ!』
窓の外では、進化したばかりのモルフォンがまだ少し不安定な軌道で庭の上を飛んでいた。
その下をオタチとコラッタが追いかけ、少し離れた場所からニドラン♀とパラスが眺めている。
次に誰が進化するのかは分からない。
それでも7月1日までには、今より少しくらい頼れる集団になっているだろう。
ここまでかなり閑話多いけど、こんなんでいい?
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本編進めやがれ
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これでいい
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どうでもいいからはよ