「ルパン三世……?」
「あん? どうした、エックス? 何か知っているのか?」
長身痩躯の男、ルパン三世の名前を聞いてエックスが呟くと、彼の様子に気づいたノブナガが話しかける。
「泥棒の世界じゃあ結構な有名人だよ。主にクカンユ王国で活動していて、お宝があればどこにだって現れて、どんなに警備が厳重な場所からでも盗みを成功させるって噂だ」
「おっ? 俺のことを知ってくれているなんて嬉しいね。それでそんなオタクらは一体どこのどちら様なんですかね?」
「俺達はこう言う者さ」
エックスの言葉に嬉しそうに笑うルパンが聞くと、シャルナークが一枚のカードをルパンに投げて渡す。そのカードには脚が十二本ある不気味な蜘蛛の絵が描かれており、蜘蛛の絵の下には幻影旅団という文字が書かれていた。
「何だいコリャ? 幻影旅団?」
「それは俺達の名刺代わりみたいなものだよ。俺達は幻影旅団。つい最近結成した盗賊団さ」
「できたばっかだが、すぐに全てマフィアや盗賊団が、その名前を聞いただけで震え上がるような最強集団に成り上がるから楽しみにしてな」
「……ふ〜ん? それはまた大きく出たもんだな?」
シャルナークの言葉にウボォーギンが続き、ルパンはそんなウボォーギンの言葉に適当に返事をすると、幻影旅団のカードをウボォーギンに投げて返した。
「まっ、そんなことはどうでもいいさ。とりあえずそのお宝、クラム・オブ・ヘルメスをこっちに寄越してくれないか? どうせお前達が持っていても仕方がないだろう?」
「はっ! 嫌なこった。これはもう俺達のものなんだよ」
「いいや。違うな」
『『……………っ!?』』
クラム・オブ・ヘルメスを寄越せと言うルパンにノブナガが鼻で笑って返したその時、入口のドアから聞き覚えのない男の声が聞こえてきて、エックス達がドアの方を見ると黒の帽子を被ったスーツ姿の男が立っていた。エックスは新たに現れたスーツ姿の男を見て驚きで目を見開く。
「………まさか、次元大介か?」
「ほう? 俺を知っているのか」
「おい、エックス? 今度は誰なんだよ?」
エックスがスーツ姿の男、次元大介の名前を呟くと次元は興味を覚えたようにエックスを見て、ウボォーギンがエックスに聞く。
「次元大介。ヨルビアン大陸の暗黒街で有名なガンマン。早撃ちで彼の右に出る者がいないって話で、雇われた組織と敵対する組織をたった一人で壊滅させたって噂も聞いたことがある」
「ほう……。コイツがねぇ?」
エックスが自分の知っている次元の情報を口にすると、ルパンが興味深そうに次元を見る。
「そこまで知っているんだったら話が早いな。悪いことは言わねぇ、大人しくその金属の筒をこっちに返しな。今なら大人しく返せば見逃してやるぜ」
『『…………!』』
次元から感じる圧力にエックス達四人の背中に冷たい汗が流れる。オーラの流れを見る限りルパンも次元も念能力者ではないのだが、この二人を甘く見てかかれば無傷では済まないという直感をエックス達は感じていた。
「おいおい? 俺のことを忘れてもらっちゃ困るぜ?」
予想外の難敵の出現にエックス達が動けずにいたその時、ルパンが懐から拳銃を取り出して次元に向けた。
「……テメェ。俺とやる気?」
「ああ、ちょっと興味が出てきたんでね」
拳銃を取り出したルパンに次元もいつでも銃を抜ける体勢となり冷たい殺気が放たれるのだが、ルパンは次元の殺気を直に受けても余裕そうな表情のままで、視線を次元に向けたままエックス達に話しかける。
「おい。幻影旅団のボウズども。俺はこのコワ〜いガンマンさんと遊ぶことにしたから、逃げたかったら逃げてもいいぜ?」
「逃すと思って……!?」
「おい、お前ら! 何をグズグズしてやがる!」
「お宝手に入れたら、ささと逃げるね」
ルパンの台詞に次元が何かを言おうとした時、外で見張りをしていたフィンクスとフェイタンが大声でエックス達に呼びかける。それにより次元の注意が僅かに逸れた隙をついてエックス達はガルベスの私室から外へと脱出した。
エックス達が脱出するとその直後にガルベスの私室から銃声が何度も聞こえてきて、それを聞いたガルベス・ファミリーの構成員達がガルベスの私室に集まってきた。
「これは急いで逃げないとね。……エックス」
「オーケー。皆、手を」
シャルナークの言葉に頷いたエックスは左手を伸ばし、シャルナーク達五人が自分の左手に触れるのを確認すると念能力を発動させた。
「行くよ皆、『
念能力を発動させた次の瞬間、エックスの姿がジェットスーツを身に纏った怪盗流星の姿となるのだが、エックスだけでなくシャルナーク達五人も同じ姿となっていた。
エックスのジェットスーツ「勢い良く飛ぶ者」は複数作り出すことが可能であり、操縦方法を練習すれば誰でも空を飛ぶことが可能であった。そして幻影旅団のメンバーは全員、数日間ジェットスーツの操縦を練習しており、エックス達六人は高速で空を飛ぶと銃声と怒号が響き渡るガルベスの屋敷から脱出したのである。