「最上階のフロアにハンスと警官隊が集まっている。……十中八九、ハンスの秘宝、クラム・オブ・ヘルメスを開くための鍵はあそこにあるな」
エックス達がハンスのビルの下見をしてから数時間後。夜空の下でクロロは、昼間と同じビルの屋上から双眼鏡でハンスのビルの最上階を観察しながら呟いた。
「もうすぐルパンが予告状で報せた時間だ。時間になる直前にここにいる全員でハンスのビルに突入をする。皆、準備はいいな?」
「おうよ!」
「任せときな」
「ようやく出番か。待ちくたびれたぜ」
クロロの言葉にウボォーギンとフランクリン、フィンクスが答える。
今ビルの屋上にいるのはクロロの他にエックス、ノブナガ、フェイタン、マチ、フィンクス、シャルナーク、フランクリン、ウボォーギンの合計九人で、パクノダとシズクの二人はアジトの廃墟で待機している。念能力に目覚めたとはいえまだ戦えないシズクを一人で残しておくわけにもいかなかったため、戦闘があまり得意ではなく念能力も戦闘向きではないパクノダが一緒に残ったというわけである。
「エックス、頼む」
「分かった。皆、手を……『
クロロに頷いて見せたエックスが、仲間達が自分の手に触れたのを確認してから念能力を発動させると、エックス達の姿がジェットスーツを装着した姿へと変わる。
「フランクリン、テメェ、図体がデカいんだから堕ちるんじゃねぇぜ? マチ、空を飛ぶコツを教えてやろうか?」
「ウルセェよ、ウボォー。図体だったらテメェの方がデカいだろうが」
「空を飛ぶ練習ならしているからいいよ。というかウボォーに空を飛ぶコツを習うくらいならエックスに習うって」
前回の盗みでは待機だったため「勢い良く飛ぶ者」で飛んだことがないフランクリンとマチにウボォーギンがからかうように言うと、フランクリンとマチが面倒くさそうに答える。そんな三人のやり取りを他のメンバーが見ているとクロロが全員に声をかける。
「時間だ。行くぞ」
クロロの言葉を合図に幻影旅団のメンバーは「勢い良く飛ぶ者」を使って高速で空を飛び、その数秒後に砲弾のようなスピードで窓ガラスを破ってハンス達がいるビルの最上階のフロアにと侵入した。
『『……………っ!?』』
突然空から侵入してきた九人の侵入者達に、ハンスだけでなくフロアにいた警官隊も驚きで言葉を失い固まってしまい、その隙を逃さず「勢い良く飛ぶ者」を解除したフランクリンが警官隊に両手を向けて警戒し、他のメンバーもいつでも戦えるように構える。そしてクロロとエックスの二人はフロアの奥にある鉄格子、その奥にある金庫を見つけるとそちらへ向かって駆け出して行った。
「開けろ!」
「了解! 出てこい『
エックスが念能力で鍵を作りだして鉄格子の側にある機械に接触させると鉄格子が一人でに開き、更には鉄格子の先にある巨大な金庫までもが開いて金庫の中から細長い箱が現れる。それを見てクロロは鉄格子の中に急ぎ入ると「勢い良く飛ぶ者」を解除して細長い箱へと右手を伸ばす。
(これがクラム・オブ・ヘルメスを開く鍵? 鍵に大きいような……いいや! 考えるのは後だ! 今はこの鍵を盗んでルパン達が来る前に脱出を……えっ!?)
『『……………っ!?』』
エックスが金庫の中から現れた細長い箱を見ながら逃げる算段を考えていた時、遠くからロープと繋がった手錠が飛んできて細長い箱を取ろうとしたクロロの右手を捕まえる。その予想外の出来事にクロロ達だけでなく、ハンスや警官隊ですら驚きロープ付きの手錠が飛んできた方を見ると、そこにはロープを両手で持つトレンチコートを羽織った男の姿があった。
「やれやれ……。外国の泥棒にも空を飛ぶ非常識な奴らがいるとはな? だが間が悪かったな! この銭形がいる限り貴様らの好きにはさせんぞ、コソ泥め!」
「お、おおっ!? 銭形警部!」
トレンチコートを羽織った男、銭形警部がクロロ達に向かって言うと、警官隊の責任者らしき男が銭形警部の名前を呼ぶ。ここでようやく警官隊も我に帰って動き始め、幻影旅団のメンバーと警官隊の間に一触即発の空気が生じてきたところで、最上階のフロアに更に大人数の男達が入ってきたのだが、新たに現れた男達は明らかに警官隊ではなかった。
「な、何だぁ、お前達は?」
最上階のフロアに現れた男達は明らかに堅気とは言えない雰囲気を纏っていて中には銃や武器を持っている者も何人かいた。男達は銭形警部の言葉を無視して警官隊を押し退け幻影旅団のメンバーを取り囲むと、男達の先頭に立つ高級スーツを着た一人の男がクロロ達に話しかける。
「よぉ? 確か……幻影旅団とか言ったか? この間は世話になったな?」
「……お前は?」
クロロに聞かれて高級スーツを着た男は凄みがある笑みを浮かべて名乗る。
「俺か? 俺はガルベス。ガルベス・ファミリーのボスをやっている者だ」