「が、ガルベス・ファミリー!? 署長殿、これは一体どういうことなのですか? 何でマフィアがここに……!」
「そこまでだ、銭形警部とやら。君の活躍には感謝しているが、ここからは口出し無用だ」
「ハンス様の言う通りだ。銭形警部は君はそのままでいたまえ。これ以上は何も言わないように」
「な……!?」
突然現れた男達がマフィアだと知ってどういうことかと聞こうとする銭形警部であったが、それをハンスと警官隊の責任者であるこの街の警察署の署長に止められてしまい、それを見てガルベスは銭形警部にいやらしい笑みを向ける。
「ふ……。そういうことだ。嫌な思いをしたくなければ大人しくしておきな。……ああ、署長さん? 分かっていると思いますが、ここから何が起こっても事故ということでお願いしますよ?」
「ええ、分かっております」
「………!」
ガルベスの言葉に署長は頭を下げて返事をし、他の警官隊もそれに異議を唱える者はいなかった。この光景だけでこの街の警察はガルベス・ファミリーの、マフィアと繋がっていることは明白であり、目の前で警察とマフィアの癒着を見せつけられた銭形警部は怒りで顔を赤くする。
「さて……待たせて悪かったな? 正直な話、俺様の屋敷からお宝を盗んだ貴様らは許しておけねぇ。貴様らにはここで死んでもらう、と言いたいところなんだが……」
そこでガルベスは言葉を止め、品定めをするような視線をクロロ達へと向ける。
「先日俺様の屋敷で盗みをした手際の良さといい、今回の動きといい、どうやらただの怪盗ゴッコのガキどもとは違うようだ。どうだい? お宝を返して俺様の部下になるって言うなら生かしてやってもいいぜ? だが断るってんなら……」
ガルベスがそこまで言うとガルベスの部下達は無言で銃をクロロ達に向ける。見れば壁際には先日出会った暗黒街最強のガンマン、次元大介も壁に背中を預けてはいるが手に自分の愛銃を持ったこちらを見ていた。
外から見ればクロロ達幻影旅団は絶体絶命の窮地に立たされていた。クロロ達全員は念能力で身体能力を強化できるが、それでもこれだけの大人数に銃で狙われたらタダでは済まないだろう。
しかしそれでもクロロ達の目には絶望などなく、この場にいる全員を代表してクロロがガルベスに答える。
「断る。俺達はお前達みたいなマフィアが嫌いでね。お前の下につくなんて考えられないな」
「……ほう?」
即答するクロロにガルベス達の殺気が膨れ上がるが、クロロはいつ銃弾が自分にめがけて飛んできてもおかしくない状況で、いつも通りの表情のまま言葉を言い放つ。
「覚えておけ、俺達の名は幻影旅団。お前達マフィアや盗賊団といった闇の住人すら喰らい尽くす蜘蛛だ。その俺達がお前達程度の小物の言うことを聞くだなんて本当に思っていたのか?」
「テメェ……! なめた口を……!」
「クックック……!」
クロロの言葉にガルベスが顔を赤くして何かを言おうとした時、誰かの笑い声が聞こえてきた。声がしてきた方を見ると次元が笑いをこらえながら興味を宿した目をウボォーギンへと向ける。
「この間もそこのデカいのがルパンとか言うのに似たようなことを言っていたが、こんな時でもそんな大見得を切れるとは大したもんだ。案外、本当になれちまうかもな、世界中のマフィアや盗賊団が名前を聞いただけで震え上がる最強集団とやらにな?」
「次元! テメェ、こんな時に何を言って「奇遇だな? 俺もそう思ってたところだ」……!?」
笑いをこらえながら言う次元にガルベスが怒鳴ろうとした時、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。その直後にいつの間にかフロアの床に転がっていた十数個のカプセルから白い煙が勢い良く噴出され、フロア内の視界を遮ってしまった。
「これは煙幕? ……まさかルパンか?」
「大正解! そしてこれはいただいていくぜ!」
「何っ!?」
フロア内を満たした煙幕がルパンのものだとエックスが気づいた時にはすでに遅かった。気がつけば鉄格子の中に入り込んでいたルパンは、右手を銭形警部に捕まえられている上に煙幕で視界を遮られたクロロから細長い箱を盗みだし、そのまま鉄格子の外へ駆け出した。
「ルパン!? お前、最初からこれを狙って……!」
「そーゆーこと。お前ならここの金庫も簡単に開けてくれるって信じていたぜ? 怪盗流星ちゃん」
エックスの言葉にルパンは走りながら、幻影旅団に今回の勝負を持ちかけたのは全てエックスの「
「悪く思うなよ? 使えるものは何でも使うのが一流の怪盗ってやつさ。だからこれは俺様が「否。それは拙者が貰い受ける」……うおわっ!?」
エックス達には見えなかったが、煙幕の中を逃げるルパンを何者かが手刀で殴ろうとする。何とか手刀を避けたルパンだったが避けた際に体勢を崩し、手刀で殴りかかった人物はその隙をついてルパンから細長い箱を奪い取る。
フロアに設置された空調は吐き出される風が煙幕を散らし、ルパンからハンスの秘宝を奪った人物の姿が現れる。煙幕の中から現れたのは昼間エックス達が見た着物を着た男、ジャポンの盗賊の子孫、石川五右衛門であった。