空を飛ぶ怪盗   作:兵庫人

18 / 20
サイショ × ノ × デアイ(10)

「それは、五右衛門さんへの手紙ですか?」

 

「うんにゃ? 五右衛門からの果たし状。お前さん達(幻影旅団)あての」

 

「何っ!?」

 

 エックスに聞かれたルパンが、自分の持っている手紙が五右衛門からの果たし状だと言うと、一番最初に反応したのはノブナガであった。

 

「ここに来た時、入り口辺りにあったのを見つけたんだよ。先に中を見たんだが、何でもクラム・オブ・ヘルメスと斬鉄剣を賭けて幻影旅団の代表者一人と決闘をしたいみたいだぜ、五右衛門は」

 

「勝手に中を見てんじゃねぇ! 上等だ! 俺が代表者として五右衛門と「やめときな」……!?」

 

 ルパンから五右衛門からの果し状の内容を聞かされてノブナガが代表者に名乗りを上げようとするが、それを次元が止める。

 

「あの五右衛門って奴は並大抵の男じゃねぇ。お前さんも刀を使うんだったら五右衛門の実力ぐらいは分かるはずだろ? 下手に意地を張って無茶な戦いに挑んだら……死ぬぜ?」

 

「………!?」

 

 次元の鋭い眼光に貫かれたノブナガは悔しそうな表情を浮かべるが、それでも今の自分と五右衛門の実力の差を理解しているようで何も言うことができなかった。

 

「……なるほど。クラム・オブ・ヘルメスを譲れと言ってきたのは、自分が俺達の代わりに五右衛門との決闘に出て、そこで五右衛門を仲間に誘うためか。だがやはり俺達には何のメリットがないな?」

 

「そう言うなって? 何もタダで譲ってくれってわけじゃないからさ? ほら、コレ」

 

 クロロの言葉にルパンは苦笑を浮かべてそう言うと、どこからか分厚い紙の束を二つ取り出して見せた。

 

「それは何だ?」

 

「コイツはガルベスとハンスのこれまでの悪行の証拠さ。……お前さん達にすればクラム・オブ・ヘルメスよりこっちの方がいいんじゃないかい?」

 

 質問をしたのはクロロであったが、ルパンは彼でなくエックスの方に視線を向けながら答える。

 

「……どういうことですか?」

 

「とぼけなさんなって。お前達、幻影旅団について調べさせてもらったぜ。お前達、幻影旅団は全員、あの悪名高きあらゆるものが捨てられる流星街の出身だ」

 

 全てを見透かすような目で見てくるルパンからエックスは目を逸らすが、そんなことお構いなしにルパンはエックス達が流星街の出身であることを告げる。

 

「そして流星街の人間は個人情報がなく『いるはずがない人間』として扱われているのをいい事に、ずっと昔からマフィアや盗賊団から人狩りの対象とされてきた。そんな中で立ち上がったのがお前達幻影旅団。流星街にもマフィアと互角以上に戦える戦力があると思わせることで、流星街に手を出すマフィアや盗賊団を減らそうと考えたわけだ」

 

「なるほどな。それで全てのマフィアや盗賊団が恐れるような最強集団ってわけか……。確かにそんなおっかないのが流星街のバックについていたらマフィアも簡単に流星街に手を出せねぇからな」

 

 ルパンの説明に次元は納得したようにウボォーギンの方を見て、ルパンはエックスを見ながら更に言葉を続ける。

 

「だけど一人だけ先に行動を起こしたのがそこにいる怪盗流星君。怪盗流星君は人身売買などを行なってそうなマフィアや盗賊団、またはそれらと繋がっている企業から金と一緒に悪事の証拠を盗み出すことで社会的に抹殺し、幻影旅団の名前を広める下地を作りつつ流星街の被害を抑えようとしていたってわけだ。そんな怪盗流星君と幻影旅団からすれば、このガルベスとハンスの悪事の証拠は充分に価値があるだろう?」

 

「………どうでしょうね? あと、俺に関してはただの買い被りです。俺はそんなんじゃありません」

 

 エックスはルパンと視線を合わせることなく答える。ルパンが言っていることはただの結果論であり、自分はそんな立派な人間だはなくただその日暮らしの金が欲しいだけの子悪党なので、まるで故郷のために活躍する義賊みたいに思われても困るエックスであったが、どうやらルパン達は完全にエックスのことを義賊だと思い込んでいるみたいであった。

 

「あらら? ……随分と強情だね? オタクの団員は?」

 

「ふ……。ウチのメンバーは個性派揃いだからな。……まあ、いいだろう」

 

 ルパンは自分と目を合わせずに答えるエックスを意地を張っていると思い、クロロに肩をすくめて見せるとクロロもまた小さく笑って答える。そしてそれからクロロは金属製の筒、クラム・オブ・ヘルメスを取り出すとルパンに投げて渡した。

 

「商談成立だ。そのガルベスとハンスの悪事の証拠と引き換えにクラム・オブ・ヘルメスはくれてやる。……せいぜい石川五右衛門に斬り捨てられないようにするんだな」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。