「ここがコツロモ王国……やっと着いた……。本当に疲れた……」
クロロ達幻影旅団が流星街からの依頼を受けてから三日後。コツロモ王国に到着するとエックスだけが疲れ切った表情で息を吐いた。
コツロモ王国は幻影旅団のアジトであった廃墟とは別の大陸にあったのだが、個人情報を持たない流星街の住人であるエックスや幻影旅団のメンバーは国境を越える飛行船に乗ることはできなかった。
そんな時に活躍したのがエックスの念能力である。
エックスの念能力は幻影旅団のメンバーを海を超えて別の大陸へ移動するための足代わりになるだけでなく、普通であれば飛行船を使っても一週間以上かかるはずなのに、三日でコツロモ王国の到着してみせたのだ。だがその代わりエックスはこの三日間念能力を使い続けた結果オーラの量も底を突きかけていて、疲れ切った表情をしているのもそれが理由だった。
「お疲れ様、エックス」
「本当にお疲れ様、エックス。でも驚いたわ。まさか貴方の『
念能力の使い過ぎで疲れているエックスにシズクが労いの言葉を送ると、パクノダも同じく労いの言葉を言った後で感心したように言い、エックスがパクノダに少し自慢するような顔で返事をする。
「まぁね。俺の『勢い良く飛ぶ者』、移動に関しては結構優秀だったりするんだぜ?」
「ああ、確かに優秀だな。これは遠出の仕事の時にはエックスはかかせないな」
「本当に。エックスさえいれば飛行船なんかいらないね。しかも速いし」
エックスの言葉にクロロが小さく笑って言うとシャルナークも同じく笑って同意する。
「団長。それでこれからどうするつもりか?」
「この街でゲルト族の人間と待ち合わせをしている。まずはそのゲルト族を探すぞ」
フェイタンの質問にクロロがそう答えると、エックスとクロロ達幻影旅団のメンバーは待ち合わせの約束をしているゲルト族を探すため街の中を進む。コツロモ王国の街は石造りの建ち並んでおり、大勢の人々が街中を歩いているのを見てノブナガが口を開く。
「それにしても人が多すぎねぇか、この国? 流星街はゴミに溢れていたがこの国は人で溢れていやがる」
「この辺りは古くから砂漠に囲まれていて人が住める場所が限られているからな。自然と人が溢れるような国になったんだろう。それでもこんな過酷な地にこんなに大勢の人が住み続けるってことは、ここには住民に愛される魅力があるってことだろう。……そこに住むしか選択肢がない流星街とは大違いだ」
ノブナガの呟きに答えながらクロロがどこか羨ましそうにコツロモ王国の街を見ていると、フランクリンが納得したように頷く。
「なるほどなぁ……。そりゃあ、そんなに愛着のある場所を無理矢理追い出されたら、そのゲルト族も怒りたくなるわなぁ?」
「そう言うこと。貴方、中々良いこと言うわね?」
フランクリンがそう言うと、いつの間にエックス達の側に来ていた一人の女性が話しかけてきた。話しかけてきたのは、エックス達より少し歳上の金髪の女性であった。
「初めまして。私の名前はララ。貴方達が流星街から来た人達ね」
「俺達のことを知っているってことは、貴女が例の……?」
「ええ、そうよ。とりあえず場所を変えましょう。こっちよ」
金髪の女性、ララが待ち合わせの約束をしていたゲルト族かとクロロが確認するとララは頷き、クロロ達を案内する。そして人気がない裏路地に入ったところでクロロ達に話しかける。
「貴方達流星街の長老と私達の長老は古くからの知り合いで、流星街へ行ったゲルト族のことも分かる限りだけど教えてくれたわ。だから私達は貴方達流星街にとても感謝していて……同時に申し訳ないと思っているわ」
「それって流星街の人間を無理矢理ゲリラに参加させていることですか?」
ララにエックスが聞くと彼女は辛そうな顔で首を縦に振った。
「ええ、そうよ……。でも信じてほしいの。流星街の人達を騙したのはゲルト族だけどゲルト族じゃない……『結社』の仕業なの」
「結社?」
裏路地を進みながら言うララの言葉に、エックスだけでなくクロロ達幻影旅団のメンバーも何やらきな臭い気配を感じたのであった。