クロロが考えたルパンを探すための作戦、幻影旅団のメンバーによる演劇が行われた日の夜。エックス、ノブナガ、シャルナーク、ウボォーギンの四人は人目につかないようにとある建物の裏手に来ていた。
エックス達が訪れたのは街で一番大きなホテルで、この国にやって来た観光客も大勢利用しているらしい。
「エックス、本当にここにルパンがいるのか?」
「はい。ララさん達ゲルト族の皆さんに後をつけてもらったから間違いありません。外に出かけたっていう報告もありませんでしたから、ルパンはこのホテルの部屋に今もいるはずです」
ウボォーギンの質問にエックスが答えるとそれを聞いたシャルナークが頷く。
「オーケー。それで一体どんな風に接触する? いきなり押し入って迫ったらあのルパンのことだ、すぐに逃げてまた探すのに手間取るんじゃないかな?」
エックス達、というか幻影旅団がルパンを探していたのは、彼が持っているとされるゲルト族とイゴ族の戦いを止める「鍵」を手に入れるためである。盗賊である幻影旅団としては手っ取り早く押し入ってその鍵らしき物を奪い取りたいところだが、相手があのルパンであるならばそれは悪手以外の何ものでもなかった。
「それじゃあ、取りあえず最初は正面から行ってルパンの持つ『鍵』がどんな物なのか探りを入れていくしかねぇな。……というか、エックス?」
これからの方針を決めたノブナガであったが、そこで彼は以前から気になっていたことをエックスに聞くことにする。。
「? 何、ノブナガ?」
「いやな? お前、去年俺達と再会して
「ああ、そのこと? だってウボォーギンさんは幻影旅団の副団長みたいなものでしょ? だから一応敬語で話すことにしているだけだよ」
ノブナガの質問にエックスは一年前、クロロ本人の口から彼が幻影旅団の結成を仲間達と誓った出来事を聞いた時のことを思い出しながら答える。
クロロは仲間達と幻影旅団の結成を誓ったとき、最初はウボォーギンに幻影旅団の団長となってほしいと頼んだらしい。しかしウボォーギンは逆にクロロの方が幻影旅団の団長に相応しく、彼が団長となれば死ぬまで何処にでもついて行くと宣言し、他の仲間達もウボォーギンの言葉に賛成してクロロが幻影旅団の団長にとなったのであった。
そして団長以外の役職や順列などは特に決めてはいないが、クロロが最初に団長となってほしいと頼んだことから幻影旅団の中ではウボォーギンが団長の次のNo.2、副団長という空気が生じていたのである。
「最初は団長にも敬語で話そうとしたんだけど団長ってばあの性格だろ? 敬語で話すのは止めろって団長命令まで出されたんだよ」
「そうそう」
「そう言うことかよ」
エックスの言葉にシャルナークが同意するように頷くとノブナガも納得する。現在のクロロは幻影旅団の団長らしい冷徹な人間を演じているが、実際は仲間との絆を大切にする性格であるため、仲間から敬語で話しかけられるのに慣れてはいないのだ。
「まあ、そういうことらしいな? ノブナガ、良かったらお前もこの副団長様に敬語を使ってもいいんだぜ?」
「ふざけてんじゃねぇぞ、ウボォー! 誰がお前なんかに………!?」
エックスとシャルナークの話を聞いていたウボォーギンがいやらしい笑みを浮かべてノブナガにそう言い、ノブナガが額に青筋を浮かべてウボォーギンに怒鳴り返そうとした時、ルパンが泊まっているホテルから突然爆発音が聞こえてきた。
「爆発!? 一体何処から?」
「……! まさか……お前ら、行くぞ!」
突然の爆発音にエックスが思わずホテルの方を見て、何か嫌な予感を感じたウボォーギンが真っ先にホテルの中に突入し、エックス達もそれに続く。
ホテルの中は突然の爆発音にホテルの従業員や宿泊客が避難を始めていて、エックス達は避難する人達の流れに逆らってルパンの部屋に向かい、部屋の前に到着するとウボォーギンが部屋のドアをオーラで強化した拳で破壊する。
「オラァッ!」
「あら? 貴方達、一体何者かしら?」
部屋の中にはルパンの姿はなく、代わりに左腕が武器と一体化した奇妙な戦闘服を着た数人の男達と、軽鎧を着て左手に鞭を持った女言葉で話す男の姿があった。そしてエックスは女言葉で話す男の方に心当たりがあるようで、しばし観察してから口を開いた。
「……………もしかして『蠍の貞千代』か?」