「ふぅん……? つまりルパンはエックス達がホテルの部屋に行った時にはすでに逃げていていなかったんだね?」
「ハイ。ソウデス……」
『『……………』』
エックス、ノブナガ、シャルナーク、ウボォーギンの四人がルパンが泊まっていたホテルから逃げ出してから数時間後。拠点代わりとしてゲルト族から借りている廃屋で、エックスは何故か正座をした状態でシズクにホテルで何があったのかを説明しており、そんな二人を他の幻影旅団のメンバーが何とも言えない表情で見ていた。
「……それでルパンの代わりに連れてきたのが、あの人」
そう言ってシズクが横目で見たのは、一年くらい前にルパン達と同時期に出会った盗賊の女性、峰不二子であった。
「え〜と……? 何だかあの子、すっごく怖い目で見ているんだけど、私何かしたかしら?」
「何かをしたって言うか……やっぱり『あの姿』は刺激が強すぎたんじゃないの?」
シズクから妙に迫力のある視線を受けた不二子が側にいたマチに聞くと、マチは不二子から目を逸らしながら答える。
エックス達がホテルの部屋から脱出する時、部屋のベッドから現れてエックスに助けを求めた人物は、ここにいる不二子であった。
不二子から助けを求められたエックスは、いつ警官隊がやって来てもおかしくない非常事態であったため、とっさに彼女を抱き抱えて脱出してこの拠点へと帰ってきた。そこまでは特に問題ではなかったのだが、拠点に戻ってきて不二子の姿を確認した時に重大な問題が発覚したのだ。
なんとエックスに抱き抱えられた不二子は一糸纏わぬ裸であったのだ。
貞千代が襲撃する直前まで不二子とルパンはあのホテルの部屋にいて、そこでルパンと不二子なんと言うか……大人同士の「裸のつき合い」をしようとしていたのだった。それなのに突然貞千代に襲撃された上に、襲撃の際の爆発音で警官隊まで押しかけてきたため、不二子は服を着る暇もなく、裸でエックスに助けを求めたのである。
そう言った事情がありエックスは裸の不二子を抱き抱えて拠点に帰還したのだが、そんなエックスと不二子を見てシズクに変化が生じた。
正座をしているエックスを見下ろしているシズクは一見するといつもと同じように見えるが、エックスに向けている視線はどこかいつもより冷たく感じるし、何より彼女の纏っているオーラが今にでも爆発しそうなくらい張り詰めている上にどこか凶々しい……「
そんなシズクの変化に、いつもだったら笑いながらからかってくる幻影旅団のメンバーも今はシズクに何も言えないでいた。クロロでさえも平静を装っているが、実際はシズクから感じるオーラの迫力に小さく冷や汗をかいて視線を合わせないようにしているのである。
「え? 何? あの二人ってつき合ってたりするの?」
「……別につき合っているってわけじゃないけど、シズクは色々あってエックスに懐いていたからね。そんな相手が裸の女と抱き合っていたら面白くないんじゃないの?」
不二子の質問にマチはそう答えた後、心の中で「特にアンタみたいな美人が相手だったら尚更ね」と付け足した。実際、流石に今は不二子も服を着ているが裸でこの拠点に来た時、幻影旅団の男のほとんどが顔を赤くしたり同様していたのだった。
「お子様ね……っていうか本当に子供なんだから仕方がないか」
「……でもエックスのお陰で重要な情報が得られたわ。団長」
マチの言葉に不二子が肩をすくめて言うと、パクノダが団長に話しかけて彼女の口から出た「重要な情報」という単語にこの場にいる全員の視線がパクノダに集まる。
「重要な情報とは何だ? パクノダ?」
「ルパンがこの国にやって来た目的なんだけど、どうやら彼はゲルト族が残した秘宝が目当てみたいね」
「……え?」
「秘宝……お宝か!?」
クロロの質問にパクノダが答えると、不二子が虚をつかれた表情となり、秘宝という言葉にウボォーギンが明らかに興味を持った。
「何でもゲルト族の秘宝は数千億ジェニーの価値があるらしいのだけど、手に入れるには『トワイライト』って言う、二つに分けられたダイヤモンドが必要みたいよ? そしてその二つのダイヤの一つはルパンが持っている」
「ちょっ!? ちょっと待ってよ! 何で? 何で貴女がそんなことを知っているの?」
パクノダの話を聞いて不二子が狼狽えた声を上げる。
「貴女、私が着替えてる時に色々と話してきたけど私、肝心なことは何も話していないわよ! それなのに何で知っているの!?」
不二子の言う通りパクノダは不二子の着替えを手伝う際に、ここに来た目的とかルパンと何を話したのか色々と聞いていたが適当に答えて肝心な情報は一切口にしていなかった。
しかしパクノダは身体に触れた相手に質問をすることで質問に関する記憶を読み取れる念能力の使い手であり、その念能力によって不二子がルパンから聞き出したゲルト族の秘宝に関する情報を読み取ったのである。
幻影旅団のメンバーは面白いくらいに動揺している不二子を見て、それぞれイタズラが成功したような子供のような笑みを浮かべるのであった。