ララ達ゲルト族がクロロからゲルト族の秘宝のことを聞き、更に秘宝を使って新たなゲルト族の国を作らないかと言われた日から二日後。幻影旅団とゲルト族は、ゲルト族の秘宝が隠されている場所を探すのと、秘宝を手に入れる鍵の一つを持っているルパンを探すのと二つに分かれ、エックスはシズクとララの三人でルパンを探して街を歩いていたのだが……。
「ルパンさん……。あの人は一体何を考えているんだ?」
「おおー?」
「ええ……何アレ?」
街中を歩いていたエックスは少し離れた場所を見て呆れたように言い、隣にいるシズクとララもエックスと同じ方を見て驚いた声を上げる。
エックス達の視線の先にはこのコツロモ王国ではまず見かけない武装ヘリが飛んでおり、その武装ヘリが飛んでいる先にはルパンの姿があった。武装ヘリは街中にも関わらずルパンに目掛けて攻撃を仕掛け、それによって当然ながら街中の人々の視線が武装ヘリと追われているルパンが集まっている光景に、エックスは思わず頭を抱えた。
「メチャメチャ街の人達の視線を集めちゃっているじゃないか? 本当に何をやっているんだよ、ルパンさんは? 盗賊としての自覚とかないのか?」
本来、人目につかないように行動しなければならない盗賊として今のルパンの姿はあり得ないもので、エックスが思わず呟くとシズクが首を傾げて聞いてきた。
「あれ? エックスも逃げる時は人目が多い所を飛んだり、お金を捨てて人を集めたりしていなかった?」
「あれは逃げる時だけだからいいんだよ。と言うかあれにはちゃんとした理由があるから」
シズクの言う通りエックスは怪盗流星として逃げる時、決まって人が多い場所の上空を飛ぶ上に盗んだ金のほとんどを投げ捨てており、それだけを見れば現在注目を集めているルパンと同じにように思える。しかしエックスは、人が多い場所の上を飛ぶのも金をばら撒くのも、わざと注目を集めて野次馬を増やすことで追手が追い辛い状況を作るためだと反論する。
「というかあのヘリに乗っているのって……」
ルパンを追っている武装ヘリに乗っていたのは、先日エックス達が出会った貞千代と彼の部下達であった。
「やっぱり貞千代……。この間もルパンさんの部屋に襲撃をしていたけど、もしかして貞千代もゲルト族の秘宝を狙っているのか?」
「ええっ!?」
裏の世界ではルパンを倒して名前を上げようとする者達は数多くいるのだが、このタイミングでルパンを狙っているのを見て貞千代達もゲルト族の財宝を狙っているのではとエックスが予想すると、それを聞いたララが驚いた声を上げる。
「そんなの駄目じゃない!? 早くルパンを捕まえないと……!」
「いえ、ルパンさんは俺が何とかします。ララさんはシズクと一緒に車を出す準備をしておいてください」
「わ、分かったわ」
「うん。任せて」
慌てて自分もルパンを追いかけようとするララを止めたエックスが指示を出すと、ララとシズクは路地裏に停めてあるトラックへと走っていき、二人の背中を見送ってからエックスは念能力を発動させる。
「さて、今は非常事態だから仕方がないか……。『
念能力を発動させてジェットスーツを装着した姿となったエックスは、周囲の人達に見られることも構わず背中と腕部のジェットから眩い光を放ちながら空を高速で飛んでいった。
X ◇ X
「どうしたものかね、これは?」
貞千代達が乗った武装ヘリに追われながらルパンは思わず愚痴を漏らした。
この数日間、ルパンはコツロモ王国の街を見て回り、ようやくゲルト族の財宝について知っているゲルト族の老婆を見つけ、ゲルト族の財宝が単なる言い伝えではなく実在しているものだという確証を得ることができた。しかしその直後に、自分が泊まっていたホテルに襲撃してきた暗殺者、貞千代が再びルパンの前に現れたのだった。
正直な話、ルパンはせっかくの「不二子ちゃんとのお色気イベント」を台無しにされた借りを返してやりたかったのだが、仲間を大勢引き連れてきた上に武装ヘリまで持ち出されたことで完全に意表を突かれてしまった。お陰で一緒に行動していた相棒の次元ともはぐれてしまったし、ろくな反撃の手も思いつかずただ逃げの一手しか打てずにいた。
「武装ヘリとか反則だろ? なんとかあれから逃げる手は……うん?」
ルパンが建物の屋根から屋根へと飛び移りながら必死で貞千代が乗る武装ヘリから逃れる方法を考えていたその時、視界の端で何かが高速でこちらに向かって来ているのが見えた。
「ルパンさん!」
「あっら〜♪ 流星君じゃないの、お久しぶり〜♪」
ルパンの元に向かって来ていたのはジェットスーツを装着したエックスであり、自分に向かって手を差し伸べながら飛んで来ているエックスが救いの神に見えたルパンは、嬉しそうな声を出しながら迷うことなくエックスの手を取るのであった。