空を飛ぶ怪盗   作:兵庫人

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ハックツ × ト × ケンコク(1)

 エックスの念能力「ターボマン(力強く運転する者)」によって車体にジェットエンジンが生じたトラックは、貞千代達が乗っている武装ヘリを振り切ると街の外へと出て砂漠を飛ぶように走り、その凄まじい速度にトラックの運転席に座っているララは驚いた顔で信じられないといった声を上げる。

 

「凄いスピードね……! それに私は運転していないのに勝手に動いているし……エックス君、一体何をしたの?」

 

「あー……。それはちょっと説明が難しいですね。まあ、信じられないでしょうけど、訓練したら使えるようになる超能力みたいなものです」

 

「そうそう。念能力っていう超能力さ」

 

 ララの質問にエックスが答えるとそれにルパンが同意し、念能力を口にしたルパンをエックスが見る。

 

「念能力について調べたんですか?」

 

「まあね。調べてみれば色々と興味深い話が多く聞けたし、俺達も不完全ながら念能力が使えているなんて知った時は驚いたぜ。なあ、次元?」

 

「そうだな。だが今更修行をして念能力とやらをマスターするってのはちと面倒くせぇな?」

 

 ルパンの言葉に次元が頷くと、エックスは目の前の二人を勿体ないものを見るような目で見る。

 

「ルパンさんと次元さんでしたら念能力の修行もすぐ済むと思いますよ? それに念能力が使えたら本当に便利なのは俺を見たら分かるでしょ?」

 

「確かにな。どんな金庫も扉も開けられる鍵に、どんな乗り物も高速で空を飛ばすジェットエンジン。泥棒にとってはこれ以上なく便利な能力なんだけど、すでに使える人がいるんだったら同じ能力作るよりその人に協力してもらった方が早くない? という訳で流星君? 今度大きな仕事をする予定なんだけど手伝ってくんない?」

 

「何がという訳なの? エックスを私達(幻影旅団)から引き抜く気?」

 

 突然エックスに今度仕事を手伝わないかと言ってくるルパンにトラックの助手席に座っているシズクが聞いてくる。

 

「別に引き抜く気じゃないさ。このドロボウ業界ってば他のチームの人間が助け合うってのはよくある話なんだぜ? だから流星君は普段幻影旅団にいてくれて、気が向けば俺達の仕事を手伝ってくれればいいのさ」

 

「……そういう話だったらまず団長に話を通してくれませんか? 知っての通り、俺は幻影旅団のメンバーですから」

 

 別にルパンの仕事を手伝うのは構わないが、それにはまずクロロの許可を取ってほしいとエックスが言うとルパンが肩をすくめる。

 

「あらら、義理堅いねぇ? ちょっとした小遣い稼ぎくらいしても団長さんも文句言わないんじゃねぇの?」

 

「お前も見習ったらどうだ、ルパン?」

 

「その団長なんですけど……。本当に申し訳ないのですけど、トワイライトを俺達に譲ってくれませんか?」

 

 軽口を叩き合うルパンと次元にエックスが心から申し訳なさそうに言うと、ルパンと次元が意外そうな顔となってエックスを見る。

 

「あら、どしたの? 幻影旅団がこの国にやって来た理由って、流星街にちょっかいをかけているゲルト族をなんとかするためでしょ? それなのに急にゲルト族の秘宝が欲しくなったの?」

 

「あまり金に興味を持たないお前さん方にしては珍しいな」

 

 確かに幻影旅団は流星街に害をなすマフィアや盗賊団を駆除することが目的で、金銭にはそれほど興味は持っていない。エックスも怪盗をしている時に大金を盗むがそれはあくまで逃走用に使うだけで実際に盗んでいるのは少額なのだが、今回ばかりは事情が違うことを説明する。

 

「団長はゲルト族の秘宝を使って新しいゲルト族の国を作ることを考えているんです。そうすればゲルト族も戦う理由がなくなって流星街に脅迫まがいなスカウトをしなくなるって言って。それで団長ってばこの案にかなり乗り気みたいなんですよね」

 

「ほう? それはまたどうして?」

 

「……実は団長。ゲルト族の誘われた流星街の人達に会って話をしたらしいんですよ」

 

「流星街の人達と……?」

 

 ルパンに聞かれたエックスが先日クロロから聞いた話をすると、運転席にいるララも他人事ではないのか耳を傾ける。

 

「流星街の人達は全員、最初は強引な誘いに驚いていたけど、ゲルト族の一員として戦うことはイヤじゃないみたいなんです。俺達流星街の人間は皆、世界から捨てられた人間ですからね。自分を受け入れてくれる場所ができたことが嬉しかったそうです。だから団長はゲルト族になろうとしている流星街の人達と、彼らを受け入れてくれたゲルト族のためにゲルト族の国を作ろうとしているんです」

 

「あのクロロって人……そこまでゲルト族のことを考えてくれていただなんて……」

 

「何て言うか……クロロもそれに付き合うお前さん達も、幻影旅団っていうのはどいつもこいつもお人好しばかりだな? そんなお人好し達が盗賊団をしているだなんて世も末だぜ」

 

 ゲルト族のために本気で国を作ろうとしているクロロに、ララが感激と感謝の言葉を口にして次元が呆れたように言う。

 

「それでルパンさん。トワイライトを譲ってくれませんか?」

 

「……どうすっかな? まあ、それはもう一つの鍵を見つけてから考えない? 知っているんだろ? トワイライトは二つあって、もう一つがないとゲルト族の秘宝は手に入らないって?」

 

「知ってますよ。でもそれに関しては多分大丈夫です」

 

 トワイライトを譲ってほしいと頼むエックスにルパンがゲルト族の秘宝を手にするにはもう一つのトワイライトを探す必要があると言うと、エックスはトラックの運転席の方を見てそう答えるのであった。

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