街から脱出して二時間後。エックス達を乗せたトラックは砂漠の中央にあるゲルト族の遺跡にと到着した。
そのゲルト族の遺跡は、百年前に滅んだゲルト族の王国の王宮として使われており、百年経った今でも堅牢な作りを維持していた。
「凄いわね……。本当だったらあの街からこの遺跡までラクダとかに乗って二日くらいかかるはずなのに……」
トラックから降りたララは遺跡を見てから街がある方へと視線を向けると、この短時間で辿り着いたことに対する驚きの言葉を呟く。
「まあ、この足の速さが幻影旅団の強みだからね。それで? ここにゲルト族の秘宝が隠されているのかい?」
「ええ。団長達が調べた結果、ここが一番ゲルト族の秘宝がある確率が高いそうですよ。それで団長達や他のゲルト族の皆も今はここにいるみたいです」
ルパンの質問に答えたエックスはルパン達と一緒にゲルト族の遺跡にと入って行く。しばらく歩いて遺跡の大広間まで行くとそこにはエックスの言った通り、クロロを初めとする幻影旅団のメンバーにゲルト族の男達の姿があった。
「団長。ルパンさんと次元さんを連れてきたよ」
「ご苦労だった、エックス。久しぶりですね、ルパンさん、次元さん」
「よぉ、クロロ、久しぶり。元気そうだな? 幻影旅団の活躍はよく聞いて「ルッパ〜〜ン♪」……って!? 不二子ちゃん?」
クロロはエックスに労いの言葉をかけた後にルパンに挨拶をして、ルパンも挨拶を返そうとしたのだが、それより先にクロロ達と一緒についてきた不二子がルパンに抱きついてきた。
「会いたかったわ、ルパン♪ さあ、早くトワイライトを出して。それで私をゲルト族の秘宝の所まで連れて行って♪」
「あらら〜♪ やっぱり不二子ちゃんもゲルト族の秘宝が目当てだったのね〜♪ 本当にしょうがないなぁ、不二子ちゃんは♪」
「はぁ……。しょうがないのはテメェだろうが?」
臆面もなく自分の要望を口にする不二子の言葉からは、明らかにゲルト族の秘宝が目当てでルパンはどうでもいいという意志が見えるのだが、不二子に抱きつかれたルパンはそれに怒るわけでもなく、彼女の胸の感触にらしくない笑みを浮かべる。そんなルパンの姿に次元は呆れ果てたため息を吐き、他の面々もどう反応したらいいか分からないといった感じであった。
「でも不二子ちゃん? トワイライトは二つで一つで、コレ一個だけじゃ意味ないんだよ? もう一つのトワイライトは見つかっているの?」
「それについては大丈夫ですよ。……ララさん」
「……」
懐から二つに分かれたダイヤモンド、トワイライトを取り出して不二子に質問をするルパンであったが、それに答えたのは不二子ではなくクロロで、クロロはルパンに答え後にララに声をかける。するとララは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに自分の服の下から「二つに分けられたダイヤモンド」がついた首飾りを取り出してみせた。
「トワイライト!? そんな所にあったの?」
「これはお母さんから渡された物で、普段から肌見放さず持っていなさいと言われていたのだけど……まさかゲルト族の秘宝の鍵だとは思わなかったわ。……でもこの首飾りは誰にも言ったことも見せたこともないのに、どうして私が持っているって分かったの?」
自分のすぐ近くにあった二つ目のトワイライトを見てルパンが驚いた声を上げ、ララはどうしてこの首飾りのことを知っていたのかクロロに聞くと、クロロは小さく笑って答える。
「この前、ゲルト族の秘宝とトワイライトの話をした時、何かに気付いて自分の身体を隠すような仕草をしたでしょう? その時に何となく分かったんです。俺達は幻影旅団、盗賊です。盗賊はそういった仕草に敏感なんですよ」
(ま、気付いて理由はそれだけじゃないけどね)
ララの質問に答えたクロロは心の中でそうつけ足すと、目にオーラを集めて「凝」でルパンとララが持つトワイライトを見る。
ルパンとララのトワイライトからはそれぞれ微弱だが独特なオーラが宿っており、それを感じ取ったクロロはララがトワイライトか、オーラのこもった特別な物を持っていると予想したのである。
とにかくこれでゲルト族の秘宝を手に入れるための鍵は揃った。後はどうやってルパンからトワイライトを譲ってもらおうかとクロロが考えたその時……。
「なるほどね。それを使えばゲルト族の秘宝が、この遺跡の真の姿が見られるってわけだ?」
『『……………っ!?』』
大広間の入り口から聞き覚えのない男の声が聞こえてきて、その場にいる全員がとっさに身構えて入り口の方を見ると、そのには逆立った黒髪が特徴的な一人の男の姿があった。
「貴方、何者ですか?」
幻影旅団のメンバーの数人がいつでも攻撃を仕掛けられるように構え、ゲルト族の男達も手に持っていた銃を構える中でエックスが黒髪の男に話しかける。しかし黒髪の男は大勢の敵意と殺意を向けられても動じることなく名乗る。
「俺か? 俺は『ジン=フリークス』。ハンターだ」