空を飛ぶ怪盗   作:兵庫人

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ハックツ × ト × ケンコク(3)

「ジン? それにハンターって……あの『何でも屋』さんの?」

 

「ははっ。何でも屋さん、ね。まぁ、あながち間違ってもいないか」

 

 突然現れた黒髪の男、ジンが名乗るとララが戸惑ったように言い、そんなララの言葉にジンは小さく笑う。

 

 ハンター。

 

 それはハンター協会と呼ばれる民間団体に所属している怪物・財宝・賞金首・美食・遺跡・幻獣など、稀少な事物を追求することに生涯を懸ける人々の総称である。

 

 そしてハンターは個人で、あるいはハンター協会を通じて自らの「狩り」を兼ねた仕事を受けており、更にハンターは全員何らかの分野の専門家(スペシャリスト)である。その事から世間の人達から見たハンターとは、依頼を出せばどんな仕事でもその仕事に適任の人材を送ってくれる「何でも屋」という認識なのであった。

 

 しかしハンターの仕事はどれも高い成功率を誇っていて、それらの実績からハンター協会は国家を大きく上回る規模と信頼性を持ち、正式にハンター協会に所属していることを証明するハンターのライセンスは絶対的特権とされ、持っているだけで莫大な富と名声を得られると言われている。実際に長者番付上位十名中六名がプロハンターであることから、ハンターは危険だが世界で最も儲かる職業と世間で認知されており、ハンターになることを望む者は後を絶たなかったりする。

 

「ハンターが一体何の用だい? もしかして俺達を捕まえにでも来たにかい?」

 

 ハンターの中には凶悪な犯罪者を捕らえてその犯罪者にかけられている賞金を得る賞金首(ブラックリスト)ハンターと呼ばれるハンターがいる。そして世界的な怪盗であるルパンや次元にも多額の賞金がかけられており、過去に賞金首ハンターに追われたことがあるルパンと次元は油断なくジンを見ながら尋ねる。

 

「生憎だが俺は賞金首ハンターじゃなくて遺跡ハンターでな。お前達の首にかかっている賞金には興味ねぇよ」

 

「遺跡ハンター?」

 

 自分を睨んでくるルパンに両手を上げて敵意がないことを表したジンにエックスが聞くとジンは一つ頷いて答える。

 

「そうさ。まだ見ぬ遺跡を見つけて発掘する。それが俺の『狩り』だ。……このゲルト族の遺跡は考古学界じゃそれなりに有名でね。いつか本格的に調べてみたいと思っていたんだ。そんな時にこのゲルト族の遺跡を何者かが何年も前から調べているって情報が入ってきて、そこに更にあの天下の大泥棒ルパン三世がゲルト族の王家に受け継がれる宝石トワイライトを持ってコツロモ王国にやって来たって聞いた。それでこれは何かあるなと思って、こうして遺跡で網を張らせてもらったわけさ」

 

「……ケッ。流石はハンターだな。いい鼻をしてやがる」

 

「全くだぜ。ハンターってのはどいつもこいつも妙に勘が鋭くて、とっつぁんとは別の意味で厄介なんだよなぁ……。おい、幻影旅団、お前達もハンターに狙われたら気をつけろよ? コイツら、念能力とか関係なく面倒臭いのが多いからな」

 

 ジンがこの遺跡にやって来た理由を言うと、次元は苦虫を噛み潰したような顔となって帽子を深く被り直し、ルパンは嫌そうな表情でクロロ達に忠告をする。

 

「……それで結局貴方は何をしに来たの? ゲルト族の秘宝を奪いに来たの?」

 

 ララが警戒心をあらわにして言うとゲルト族の男達が再び手に持っている銃をジンに向けて構える。だがやはりジンは銃を向けられても特に動じることなく答える。

 

「俺はゲルト族の秘宝を奪おうなんて考えちゃいねぇよ。むしろ秘宝を奪おうとしているのはお前さん達だろう?」

 

「何ですって?」

 

「この最近コツロモ王国の内乱……ゲルト族とイゴ族との戦いは激しさを増していく一方で、ゲルト族からは結社とか言う奴らが出てきて流星街の住民を兵隊として引き入れている。そんな状況でゲルト族の秘宝が隠されていると裏で噂されているこの遺跡に集まったってことは、秘宝を使ってゲルト族とイゴ族の戦いを何とかしようとしていると考えるのが普通だろ? ……そうだな、秘宝を売った金で傭兵とかを雇うってのは……過去のイゴ族がやったことと同じだからゲルト族的には却下だな。となると……国を買うとかか?」

 

『『……………!?』』

 

 ララと話すジンはクロロが提案したゲルト族の秘宝で土地を買って新しい国を作る案を正確に見抜き、その事にこの場にいる全員が驚いていると、急に不機嫌そうな表情となったジンが口を開く。

 

「……でもなあ? お前達、分かっているのか? いくら国のためとは言っても、お前達は先祖がせっかく残してくれた財産を自分から捨てるんだぞ? 俺がさっきお前達が秘宝を奪おうとしているって言ったのはそういう意味だ。先に言っとくけど、一度売り出された遺跡の財宝とかは人から人に渡って、元の国に返却されることなんてまずあり得ないからな?」

 

『『……………』』

 

 ジンの言葉にララだけでなくゲルト族の男達も何も言い返せずにいた。ララ達だって、出来ることなら祖先が残してくれた財宝を手に出したくないと思っているのだ。

 

「まあ、とにかく俺がここに来たのは、お前達がゲルト族の秘宝に手を出すかどうかはともかく、完全な状態のゲルト族の秘宝……この遺跡の本当の姿を見てみたかっただけなんだ。……頼めるか?」

 

 ゲルト族の秘宝に手を出すつもりはなく、ただ一目見てみたい。そう頼んでくるジンの頼みを、ついさっき手痛い忠告を受けたばかりのララ達ゲルト族は断ることができなかった。

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