結社との戦いから数時間後。戦いが終わるとエックス達はゲルト族の遺跡の大広間に集まっていた。
エックス達の前には高速されている結社の首領、そして気を失っている貞千代の姿があり、貞千代を見ながら次元が五右衛門に話しかける。
「なるほどね……。この貞千代は五右衛門と同じ道場の門下生で、勝手に道場を逃げた挙句、むやみやたらと人を殺すなっていう道場の起きてを破った貞千代を追ってこのコツロモ王国までやって来たと……」
「左様。最初は拙者の手で斬り捨てようと思ったが、このまま道場の師範に引き渡すことにした。貞千代の処罰については師範にお任せすることにする」
「まあ、五右衛門がそれで良いならそれでいいんじゃね? それにしても……ようやく会えたなぁ? 結社の首領さんよぉ?」
ルパンは五右衛門にそう言うと結社の首領の前に立って腕を組んで言い、そんなルパンを見てウボォーギンが呆れたように口を開く。
「ルパンの奴……。自分は何もしていないくせに何であんなに偉そうなんだ?」
「それじゃあ、早速皆も気になっている素顔を見せてもらいましょうかね?」
ウボォーギンの声を無視してルパンが結社の首領の仮面を取る。仮面の下にあった結社の首領の素顔は金髪の白人で、ゲルト族とは明らかに人種が違っていた。
「やっぱりゲルト族じゃないか……。それでアンタは一体何者なんだい?」
「……」
結社の首領に質問をするルパンだったが、やはり首領は質問を答える気はないようでルパンから目を逸らして無言を貫く。それを見てクロロがパクノダに声をかける。
「パクノダ、頼む」
「ええ、分かったわ。……もう一度聞くわ。貴方は一体何者なの?」
「……」
パクノダが結社の首領の肩に手を置いて質問をするが、やはり首領は質問を無視して無言のままでいた。しかし……。
「……驚いたわ。まさかミンボ共和国の捜査局の長官がこんなことをしているだなんて。ねぇ? ジャン=ピエールさん?」
「っ!? な、何故私の名前を?」
初めて会ったはずのパクノダに自分の名前と役職を言い当てられたことにそれまで無言でいた結社の首領、ジャンは驚いた顔となって驚きの声を上げ、その様子を幻影旅団のメンバーは面白そうに見ていた。そしてパクノダは更にジャンに二つ三つと質問をして念能力で彼の記憶を読み取ると、僅かに不愉快そうに表情を歪ませる。
「……やっぱりジャンの目的はゲルト族の秘宝だったようよ。クカンユ王国の大学に留学中に族長の息子のガルさんと知り合って、彼から秘宝のことを聞いて秘宝を奪うことを考えたみたいね。ついでに最初から秘宝を奪う時にゲルト族のほとんどを亡き者にするつもりで、そうしたらこのコツロモ王国の内乱の問題も解決できると考えていたようね。ちなみに結社の構成員は捜査局でのジャンの直属の部下、つまりはミンボ共和国の警官……ここまでくると笑えないわね」
「………!」
パクノダが語るジャンの計画を聞いて一人の老人が自分の銃をジャンに向けて撃とうとするが、それをとっさにルパンが老人の腕を掴んで止める。
「止めんでくれ! 息子の、ガルの仇……!」
ジャンを銃で撃とうとしたのはゲルト族の族長で、ルパンは族長に諭すように話しかける。
「族長さん、気持ちは分かるが落ち着きなって。別に復讐するなって言うつもりはないさ。……ただ、それだけだとちょっと物足りなくね?」
「……何?」
ルパンの言葉に何か含むものを感じた族長がルパンの方を見ると、ルパンは自分の考えを説明する。
「よく考えてみろよ? ここでこのジャンを殺しても、それだけじゃ『ミンボ共和国の警視総監がコツロモ王国でゲルト族とイゴ族の戦いに巻き込まれて死んだ』で終わりだぜ? そんなんじゃあ、ジャンが犯した罪はとても償えない。だからここはジャンの罪を明らかにして、結社の連中が散々テロとかをして下がっちまったゲルト族の評判を回復させようってわけよ。……幸いここには、そういった悪党を社会的に抹殺するのが得意な奴らがいるからさ?」
そう言ってルパンがクロロ達幻影旅団のメンバーに視線を向けると、クロロは小さく笑ってパクノダと彼女の手が肩に置かれているジャンに話しかける。
「フッ……。今回の悪事の証拠、一体何処に隠してある?」
「悪事の証拠だと!? そんな物あるわけ……!?」
「ミンボ共和国の首都にある捜査局本部ビル、そこの局長室に自分達の部下、数十人の警官を動かした証拠や貞千代を雇った契約書があるわ」
クロロの言葉をとっさに否定しようとするジャンであったが、その言葉を遮ってジャンの記憶を読み取ったパクノダが今回の悪事の決定的な証拠となる資料の在処を話す。自分の秘密を暴露されたジャンは一瞬、困惑と絶望で表情を歪ませるがすぐにそれを誤魔化すかのような大声を出した。
「しょ、証拠なんてないと言っているだろう! 大体お前達のようなコソ泥が本部ビルに盗みに入ることなんてできるものか! も、もしできたとしても、ここから本部ビルまでは車でも三日はかかるんだぞ!? その間に私が一切本部と連絡を取らなかったら、本部は捜査を開始するだろう! そうなったら私が見つかるのも時間の問題だぞ!」
ジャンの言っていることは単なる負け惜しみであり、例えミンボ共和国の警官がジャンの捜索を開始したとしても今更ジャンがここから助かることはないのだが、クロロはその点を指摘することはせずエックスに話しかける。
「エックス。ミンボ共和国の捜査局本部ビルまで盗みに行くのにどれくらいかかる?」
「……俺一人で『
「……何?」
エックスがクロロの質問に少し考えてから答えると、それを聞いたジャンが信じられないといった表情となる。
「頼めるか?」
「了解。任せてくれ、団長」
今から捜査局本部ビルにある今回のジャンの悪事の証拠を盗んでこいというクロロの言葉に頷くと、エックスは念能力を発動してジェットスーツを装着した姿となり、大広間にある窓から空へと飛んでいった。背中と両腕のジェットから眩い光を放ちながら空を飛んで行くエックスの姿を見て、ジャンはとある犯罪者の情報を思い出すと今度こそ絶望の表情となって呟く。
「空を飛ぶ怪盗、流星」