エックスがクロロ達と再会した日の夜。エックスとクロロ達はとある街にある製薬会社のビルに来ていた。
この製薬会社は裏ではマフィアや犯罪組織と繋がっているという噂があり、クロロは製薬会社のビルを見上げた後でエックスと幻影旅団のメンバーに視線を向ける。
「さあ、新しいメンバーを加えた幻影旅団の初仕事だ。皆、行くぞ」
クロロの言葉に幻影旅団のメンバーが頷くことで応える。
結局のところエックスはクロロの誘いに乗って幻影旅団のメンバーとなった。そしてクロロ達幻影旅団は新団員を加えたお祝いを兼ねた初仕事としてこの製薬会社に盗みを行うことにしたのであるが、新団員のエックスはまるで故郷の流星街でゴミ漁りをしていた頃のノリで盗みをしようとしている幼馴染達に不安を感じており、その不安はすぐに的中することとなる。
「よぉし。それじゃあ、早速行くか」
「……っ!? ちょ、ちょっと待ってください、ウボォーギンさん、何をしているんですか?」
幻影旅団で一番大柄の男、ウボォーギンがそう言うとビルの裏手のドアの取手に手をかけようとして、それを見たエックスが慌ててウボォーギンを止める。
「うん? 何をしているってドアを開けようとしただけだぜ? 俺様のパワーだったらこんなドア、一発よ」
ウボォーギンはエックスにそう答えると自分の右腕に力瘤を作ってみせる。
クロロ達の話によると彼らは幻影旅団を結成するためにそれぞれ独自に修行をして念能力も習得しているらしい。そしてウボォーギンの念能力の系統は身体能力や道具の効果を強化することを得意とする強化系で、念能力に目覚める前から怪力自慢なウボォーギンが念能力を使ったらただのビルのドアなんて簡単に開くだろう。
「いやいや……! そんな強引で開けたら警報装置が鳴って、警備員が飛んで来ますって?」
「それがどうかしたか? そんなの全員ぶん殴って倒せばいいじゃねぇか?」
「じゃあどうやって開けるんだよ?」
エックスの言葉にウボォーギンが何でもなさそうに答え、ガラが悪そうな金髪の男のフィンクスが聞いてくる。
「それはもちろん俺の念能力を使って……。出てこい『
フィンクスの質問に答えたエックスが自分の念能力を使うと、エックスの手の中に表面に幾何学模様がはいった長方形の板が現れる。そしてエックスが念能力で作った板をドアの取手を接触させると、ドアから小さな金属音が聞こえてきてドアが一人でに開いた。
「ほう……? これは凄いな」
ドアを簡単に開いたエックスの念能力を見てクロロが感心したように言うと、黒髪の小柄な男のフェイタンが同意するように頷く。
「確かにこれは便利ね。
「いや、確かにその通りだけど……それって褒めているの? それとも貶してる?」
フェイタンの言葉にエックスが呆れたように言うとクロロ達幻影旅団のメンバーはそれぞれ小さく笑い、それから全員でビルの中に潜入した。
それからしばらくした後、エックスとクロロ達はビルの中を探索しているうちに地下へと続く通路を発見する。彼らが地下にある部屋へと入ると、そこは手術室を思わせる大きな部屋であった。
部屋には手術用のベッドが三つ並んでいて、手術用と思われる機械が多数置かれており、これだけなら複数の患者を同時に手術するための部屋かと思われた。だがその部屋には人間の臓器がいくつも保管されている棚があって、それを見てクロロが小さく呟く。
「密売用の臓器か……」
恐らくはこの製薬会社は裏で繋がっているマフィアや犯罪組織から人を拐わせて、拐ってきた人から抜き取った臓器を別の組織に密売していたのだろう。そしてその拐われた人達の中には流星街の住人もいた可能性も高く、そこまで考えが至ったエックスとクロロ達は全員それぞれ程度は違うが不愉快そうな表情となる。
「……ん? 何か聞こえなかった?」
拐われた人達から抜き取られた臓器を見てこの場にいる全員が不愉快な感情を持ち始めた時、赤い髪をした女性のマチが何かに気づいて周囲を見回して、隣の部屋へのドアを見つける。エックスが念能力を使ってドアを開いて隣の部屋へと入ると、そこには人が一人入れそうな檻が数個あって、その中の一つに一人の少女が閉じ込められている姿があった。