「おお〜。ここがズフ国か」
クロロがパニシュの国を盗る手伝いをしてほしいという依頼を受けてから数日後。現在エックスと幻影旅団、そしてパニシュ達はズフ国に来ており、ズフ国に初めて来たウボォーギンが周囲を珍しそうに見回しながら呟く。
「それにしても流星街から出発して僅か一週間程で来れるとはな?」
「ホントホント。全くエックスとシズク様々だね」
ノブナガの発言にシャルナークが頷いてからエックスとシズクの方を見て言う。
流星街があるヨルビアン大陸からズフ国があるアイジエン大陸は遠く離れており、本来ならば車や飛行船を使っても移動にはどれだけ急いだとしても一ヶ月くらいかかる。それが一週間まで時間が短縮できたのだからノブナガとシャルナークがそう言うのも無理はなく、僅か一週間で流星街からズフ国に来ることが出来たのはエックスとシズクの念能力のお陰であった。
まずエックスが皆を乗せた大型トラックをエックスの「
「そうだな。元々エックスの移動能力は優れていたが、シズクの念能力で乗り物をすぐに用意できるようになったことで移動範囲が更に広がった。それは幻影旅団の仕事の幅が広がったと言うことで、これは本当に助かるな」
「聞いた、エックス? 私、もう念能力も使えたしエックスのてちだ手伝いだって出来るから、もう
シャルナークに返事をするクロロの言葉を聞いてシズクがエックスの方を見る。これまでエックスは念能力が完全に使えていないという理由で、同行はともかくシズクが幻影旅団の仕事の参加にすることを許可していなかったが、彼女が念能力を使えるようになった今は仕事の参加を許可しない理由がなく、目を逸らしながら答える。
「あ〜……。そうだな、団長の命令があったらな? でもあまり無理はするなよ?」
「うん。分かった」
エックスの言葉にシズクが素直に頷いていると、その横でパニシュとその部下達が信じられないといった表情でズフ国の街を見回していた。
「間違いない……。ここは紛れもなく我が故郷の街だ。たった一週間であの流星街からズフ国に帰ってこれるだなんて……。それに、ここに来るまで乗っていた車も船も信じられないスピードな上に、時折飛んでいたような気がするし……あれは一体何なんだ?」
訳がわからないといった顔をするパニシュの言葉にエックスと幻影旅団のメンバーは小さく笑うだけで誰も答えようとしなかった。エックスとシズクの能力の説明をするにはまず念能力の説明からしなければならず、そんな面倒なことはしたくなかったエックスは話題を逸らそうと周囲を見回しながらパニシュに話しかける。
「それにしても随分と寂れていますね? 昔からこうだったんですか?」
エックスの言う通りズフ国の街はどこも寂れており、街中で見かける人々の顔からは活力が感じられず、エックスの質問にパニシュは悲しそうな顔をして首を横に振った。
「いや、昔はもっと街や人にも活気があった。首狩り将軍は国を乗っ取ってからは民に重税を課し、その金の全てを軍事に使っていると聞いた。恐らくはそのせいだろう」
「……要するに典型的な独裁者ってわけですか。得をしているのは首狩り将軍とその周りだけで、他の多くの国民は損ばかりをしている。こんなんじゃあ、いつ追い剥ぎとかが出てきても……?」
「オイ、お前ら!」
パニシュの言葉にエックスが顔をしかめて言おうとした時、突然背後から何者かがエックス達を呼び止めた。一体何事かと皆が背後を振り返ると、そこには黒い髪を逆立てたみすぼらしい姿の子供が、両手で持ったナイフをエックス達に向けて叫んだ。
「お、お前ら、別の国から来た奴らだろ! だ、だったら! か、か、金を出せ!」