空を飛ぶ怪盗   作:兵庫人

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セツメイ × ノチニ × セツメイ(1)

 幻影旅団がシズクを加えることになってから数日後。ヨルビアン大陸にある国家の一つサヘルタ合衆国、そのとある都市の外れにある廃墟にエックスとクロロ達は集まり、クロロは今回の仕事について説明をしていた。

 

「まず最初に、この都市はガルベス・ファミリーというマフィアと、表向きは貿易会社の社長だが裏では武器商人であるハンス・ダラハイドの二大勢力が牛耳っている。ハンスはガルベスに武器を提供し、ガルベスはハンスの商売敵になりそうな外部の勢力を排除すると言う持ちつ持たれつの関係を築いていて、この数年でどちらも大きく勢力を拡大しているらしい。そして以前話した今回俺達が狙う獲物の『クラム・オブ・ヘルメス』はガルベスが所有していて、これを奪う」

 

「あー……。ちょっといいか、団長? マフィアから盗みをするのは別にいいって言うか、大賛成なんだがよぉ……。そのクラ……ヘルメスっていうのは一体全体どんなお宝なんだ?」

 

 クロロの説明にの途中でウボォーギンが手を挙げて質問をすると、他のこの場にいるメンバーのほとんども同じ疑問を持っていたらしく頷く。それを見てクロロはまず今回狙う獲物の説明からすることにした。

 

「そう言えばまだ言っていなかったな。クラム・オブ・ヘルメスというのは大昔に『暗黒大陸』からジャポンという島国に伝えられたという、この世で最も硬い金属を作り出す秘伝書だ」

 

「暗黒大陸?」

 

 初めて聞く単語にウボォーギンが首を傾げると、クロロは一つ頷きこの場にいるメンバー全員に話しかける。

 

「そうだ。……なあ、皆? もし俺達が今まで海だと思っていたものが、実は海ではなくて『湖』だったと言ったら信じるか?」

 

「はぁ? どういう意味だよ、団長?」

 

 突然のクロロの発言にフィンクスが訳が分からないといった表情となるが、クロロはそれが当然の反応だとばかりに話を続ける。

 

「そのままの意味だ。これは世間にはあまり知られていないが、俺達が海だと思っているのは『巨大湖メビウス』という途方もないくらい広い湖で、湖の向こう側は巨大湖メビウスよりも更に巨大な大陸に囲まれているんだ。その巨大な大陸こそが暗黒大陸なんだ」

 

『『………っ!?』』

 

 クロロの口から語られるスケールが大きすぎる話にこの場にいる全員が絶句する。

 

「暗黒大陸には様々な未知の文明が存在しているとされていて、クラム・オブ・ヘルメスはその文明の一つから伝わったらしい。そしてクラム・オブ・ヘルメスに記された製法で作られた金属はこの世界で最も硬く、現代の技術では復元も不可能という話だ」

 

「クラム・オブ・ヘルメスの技術が実用化されると各国の軍隊は放ってはおかないし、マフィアや武器商人も当然目をつけるよね。実際、裏の社会では少し前からクラム・オブ・ヘルメスの噂が流れていて、他のマフィア達もガルベスに注目しているそうだよ」

 

 クロロの説明をシャルナークが引き継いで言うと、クロロがそれに頷く。

 

「だから俺達がクラム・オブ・ヘルメスを盗み出す。そうすればマフィア達に俺達幻影旅団の名前を一気に広めることができるし、何よりクラム・オブ・ヘルメスの技術を利用されてマフィアの武力が強くなるのは絶対に避けたい」

 

「……ねぇ? エックス? 難しい話は分からないんだけど、要するにそのガルベスって言うマフィアさんの家にあるクラムなんとかを盗みに行くんだよね?」

 

 それまで黙ってクロロの話を聞いていたシズクがエックスの服を軽く引っ張って聞いてきた。

 

「ああ、そうだよ」

 

「私も手伝いたい」

 

「え?」

 

 突然のシズクの発言にエックスは思わず声を上げ、クロロを初めとする他の旅団のメンバーも驚いた顔となってシズクを見る。

 

「エックス達がマフィアさんの家に盗みに行くんだったら、私も手伝いたい」

 

「手伝いたいって……家事の手伝いをするのとは違うんだぞ?」

 

 エックスとクロロ達がしようとしているのは子供のお使いではなくマフィアから貴重な財宝を奪うという、一歩間違えたら殺されてしまう危険な仕事だ。

 

 エックスは助けを求めてクロロ達を見るが、クロロ達は全員エックスから視線を逸らしており面白がっているのは明白であった。なので仕方なくエックスは自分だけでシズクを説得することにする。

 

「シズク……。俺達がする盗みは本当に危険なんだ。俺達は念能力が使えてマフィアと戦える力があるけどシズクは念能力が使えない。だからシズクは連れて行けないんだ。……すまないな」

 

「念能力? それってエックスが鍵を出したり変身したりする力のこと?」

 

「そんな感じだ」

 

「そうなんだ……」

 

 首を傾げて聞いてくるシズクにエックスが答えると、シズクは少し考えてからエックスの目を見ながら口を開いた。

 

「だったら私も念能力を覚える。教えて、エックス」

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