スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
アンジュの戦い方は「最低」の一言に尽きるモノであった。
一応軍隊としての体を成しているパラメイルの機体にはそれぞれ役割がある。
後衛は砲戦型、中核を指揮官機等が固め、前衛を格闘型が勤める形だ。
だが、今のアンジュにはそれすら無い。縦横無尽に動き回るそのやり方は
戦いのセオリーすら判っていない者の酷いやり方だった。
オマケにそれに拍車を掛けたのは彼女に施された選民思想だった。
自分が『ノーマ』としての烙印を押された存在である事すら忘れ、
味方を盾にする事すら厭わないその突出ぶりは戦線に混乱を齎す事になる。
結果としてドラゴンに取っ捕まったアンジュは命の危機に晒されていた。
味方もアンジュを盾にされてしまったら碌に砲撃する事すら儘ならない。
「くっ。この空飛ぶトカゲもどきがっ!!放せ、放しなさいよ!」
メキメキと透明な風除けを兼ねたシールドのカウルに罅が入っていく。
幾らエンジンを吹かそうが向こうだって相当頭に血が昇っている事に気が付かない。
パリン!とうとうシールドが破られアンジュの柔肌に破片が降り注ぐ。
「きゃあぁぁぁっ!?い、嫌だ。死にたくないっ。・・・私は死ねないっ!!」
くわっと目を見開いたアンジュが飛び散ったシールドに傷付きながらドラゴンに叫ぶ。
「お前が死ね――っ!!」飛び散った血が指輪に罹ったその瞬間。指輪が怪しく光った。
ヴィルキスのメインモニターに鳥が羽ばたく様な意匠のアイコンが乱れ飛ぶ。
「なんだ!?何が起こったんだあの機体!」イチナナ式で駆け付けた甲児の目の前で、
ヴィルキスの変形システムが起動し、人型へと変形していく。
「装甲が剥がれて落ちていく…?いや、あれは機体保護用の封印が解けているのか?」
被っていた埃を振り落とし、一皮剥けた状態のヴィルキスはまるでガンプラアニメの機体の様だった。
そればかりではない。エンジン全開になりつつあるその機体色は金色へと染まりつつあった。
「金色!?『魔神パワー』みたいなモンまで備わってんのかよあの機体」甲児が思わず呟く。
まるで機体そのものに意思があるかの様にドラゴンを見据えたその金色の機体は
実体剣をフォルダーから抜き放つと圧倒的な力で目の前のドラゴンを一刀両断にするのだった。
村での防衛戦でガンドラゴンの初の飛行と人型である『ヴァルキランダー』への変形を成し遂げたパル。
村人達が率直に避難に応じたのはそのドラゴンモードへと乗り込む姿を見た事が大きい。
彼らはパルの事を聖獣クアドルンの遣わした御使いであると誤認したのだ。
村の人達を騙してるみたいで彼らに大変申し訳無かった。とミッション後の自由時間に一人落ち込むパル。
「いや、パルが居てくれたからこそ避難誘導がスムーズに進んだんだ。決して悪い事じゃないさ」
ヒロトはそんなパルに諭す様に言う。
「それにしても良く出来てるな、この機体。元ネタは『ガルドランダー』かい?」
ギミック面では『ナドレ』も参考にしている様だが、『アストレアTYPE-F』としての要素も入っている複雑な機体。
「正確には『機竜士レッドランダー』ですね。あ。そう言えばまだちゃんと紹介してませんでしたよね」
「最初の頃にもお伝えしたとは思うんでけど、この子の名前は『モルジアーナ』って言うんです」
とドラゴンモードに戻した己の機体を愛おし気に撫でる。
「確か、アラビアンナイトで言う所の賢い女の子の名前だったかな?悪くは無いな」
「良く知ってましたね?…まぁ流石に戦闘中に『ゴロゴロソング』を大音量で流す気はありませんけど」
と『機動戦士ガンダム00』劇中でのGN粒子を介した歌の伝播を茶化してみせるパル。
「はは。もしかしたらその内その機体も自分の歌を歌い出すかも知れないな」
ヴィルキスにロケットパンチが付いてたらそれはそれで怖いかも。
ユ「収斂進化みたいなモンが働いてたのかも知れんのぅ…」
そして何気にヴァルキランダーにも歌姫要素が盛られてるという…