スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
省吾は軍の誘いに乗る事にした。とは言っても、
現状の自分達に出来ることなど早々ない。
精々、軍の施設の周辺を嗅ぎ回るくらいが関の山だった。
「良いのか? 向こうはお主がやってくるのを首を長くして待っておるのじゃぞ?」
ウォルフガングが呆れたように警告する。
だが、今一番の問題はデザルグ軍の出方だった。
現在は散発的な威嚇射撃を応酬し合っているだけの泥沼状態に見える。
だが、その不気味な膠着状態に異論を唱えた者がいた。
偽りの地上から一時的に戻って来たあのホイ・コーローだ。
「儂もかつては海外マフィアと名乗る連中と付き合いがあったから判るアル。
奴らの技術体系は儂が使っていた物と瓜二つ……いや、
あの時の物よりも遥かに洗練された物に違いないアルよ」
ホイは厳しい目付きで画面を見据えた。
モニターに映し出された、デザルグの歪な艦艇群。それを指さしながら、ホイの眼光が鋭く光る。
「お主が使っていた物と同じじゃと? …よもや、あの触手メカ群の事かの?」
かつてホイが使っていた、あのトランク状の機動兵器生成装置。
そのルーツこそが彼らなのだと、ホイは言いたいのだ。
「そうアル。そんな悪趣味なメカを作れる連中が、あんな行儀のいい戦術に徹する訳が無い筈アルよ」
「…まさか。威嚇射撃に見せかけて、裏で小型メカをばら撒いているのか」
ウォルフガングたちがどの『世代』の人間なのか、もはや誰にも判らない。
だが、かつて彼らが裏社会で扱っていた『ご禁制品』の正体。それが今、最悪の形で明らかになりつつあった。
「儂らもブラックノワールの奴も、まんまと連中の実験台にされとったという訳じゃな」
ウォルフガングが一見メガゾーンを護っているようにも見える艦艇群に視線をやる。
恐らくあの盾の裏では、触手メカたちが本来の役目―テロ行為を今も淡々と実行している。
「かつての儂らには、マイトガインという強力無比なカウンター…『抑止力』があったからのぅ」
止められる者がいない世界がどうなるかなど、悪の道を歩んだ彼らなら嫌と言うほど判る。
だが今の自分たちにはそれがない。せめて対抗するための電源さえ確保できれば…
「兎に角、今は時間が無いんだろ?連中があの艦隊を無力化し終わったら、今度は俺たちの番だ」
省吾の言葉に、一同の間に張り詰めた緊張が走る。
「軍の連中は今、バハムートの足元に集まっとる。手薄なのは奴らのラボくらいじゃろうな」
かくして、暴走族・トラッシュの協力を得てラボを急襲した省吾。
警備の隙を突き、施設の最奥へと潜入していく。
そこで彼は、閉ざされた暗闇の中に眠る、一つの『希望』と出会うことになる。
アンジェラ達はようやくフロンティア・セッターの尻尾を捕まえる事に成功した。
砂漠を往くキャラバンから物資を買い漁ったその作業メカの後を付けていく。
「ねぇ、ディンゴ。さっきの連中…『アース・クエイドル』がどうのこうの言ってけど、何の事?」
世情に疎いアンジェラが小首を傾げるのに対してディンゴが解説する。
「そうだな…。『人類補完計画』て知ってるか?その計画に反対する連中の造った『大地の揺り籠』さ」
ディーヴァも電子の海に逃げ場を求めた人々による人類補完計画の一種である事には違いない。
だが、彼らは電脳化を否定して生身のままの人工冬眠の道を選んだのだと言う。
「まぁ流石に地球だけじゃ容積は足りないし月にも似た物を造る予定だったらしいがな」
今や機械帝国ガルファに占拠された月を仰ぎ見るディンゴだった。
「ふーん?まぁいろんな選択肢を残すってのは判らないでもないけど、
地上も苦労してるのね」
電脳世界の住人であるアンジェラにとっては未だ理解しにくい話題なのは確かだった。
ホイの使ってた技術がデザルグ軍のそれと被っちゃってたらどうなるかと考えたらこうなった件について。
ユ「ホイとは目的が違ってたからこそじゃろうが、そういう使われ方をした場合の回答例としてはアリかも知れんのが怖いの」
それこそ地獄絵図に。因みにアースクエイドル事象の描写はもちっと後になります。