スーパーロボット大戦 Re:Boot   作:戯龍

14 / 20
 この話、あの男なら、多分絶対関わるだろう描写を含んでいますのでご留意を。


人形劇の幕開け、監獄の竜は未だ眠らず

 伊豆半島の南端。そこには科学要塞研究所が睨みを効かせる、日本防衛の要があった。

かつて東京湾を襲った「怪獣」に対し、研究所の出番はほぼ無かった―それが公の記録である。

だが、出撃できなかった訳ではない。

 

 動かすことすら許されなかった「止む無しの事情」が、そこにはあった。

国連軍の切り札である異星技術を基にした「OE兵器」すら、その怪獣を倒し切れなかった。

実戦配備直後だったグレートマジンガーと剣鉄也は、最後の切り札として戦場へ赴く。

 

 しかし、雷撃などの高エネルギー必殺技は、怪獣の「餌」になると判断されてしまう。

すべての最大火力を禁じられ、鉄也は手足を縛られたも同然の状況に追い込まれた。

現在、グレートの武装に課されている「承認」システム。

 

 その引き金こそが、この絶望的な戦いだった。当時、上層部が下した唯一の妥協案は、

エネルギー放出を伴わない『グレートブースター』によるマッハ4を超える、凄まじい質量突撃。

その一撃だけが、見事に怪獣の息の根を止めたのだ。

 

だが国連軍は、民間の超兵器がもたらす圧倒的な破壊力を、骨の髄まで恐れた。

結果、政府や国連の「使用許可」がなければ、グレートの武装は起動すらしない枷を嵌められる。

がんじがらめの制約。それでも鉄也は、やがて生まれてくる我が子の為、孤独な戦いを諦めなかった。

 

 その最悪のタイミングで、かつて野望を潰されたはずのDr.ヘルが富士山麓に蘇る。

かつて共に戦ったマジンガーZは、稼働限界を迎えてとうに引退していた。

研究者の道を歩む兜甲児を、今さら頼るという選択肢は、鉄也のプライドが許さなかった。

 

そんな鉄也を待っていたのは、機械獣軍団による絶望的なまでの物量と波状攻撃だった。

さらに敵のジャミングにより通信は途絶、軍の「許可」を求めることすらできない。

満足に武器すら抜けないグレート。承認なき決死の防衛戦が、今始まる。

 

 ところ変わって、沖縄にある「沖縄女子宇宙高等学校(通称:沖女)」。

「――そーれっ!」「体験を合わせろ! 宇宙(そら)に出たら一瞬の遅れが命取りよ!」

今日もまたその校庭には、汗を流す女生徒たちの鋭い掛け声が交差していた。

 

 この寄宿制の学校は、将来「トップ」と呼ばれる地球の宇宙進出の最前線で戦う事になる

彼女たちの、いわば育成機関でもある。 

バラバラバラ、と重々しいローター音を響かせ、本土からの直行便である高速ヘリが飛来する。

 

 その眼下の校庭では、無骨なバスター兵器の訓練機がおぼつかない足取りでヘロヘロと動いていた。

おそらく誰かがヘマをやらかし、罰として居残りの機体駆動訓練をさせられているのだろう。

ヘリポートへ降り立つその機体を、校庭の少女たちが興味深げに仰ぎ見る。

 

「ねえ、また『あの人』が来てるみたいよ」「私たちのスポンサー様、ね……」 

機体の胴体ドアには、学校の筆頭スポンサーである「あの男」の紋章がデカデカと描かれていた。

凡人では一生お近づきになれない、まさに雲の上の存在、高嶺の花であった。

 

 噂では、現在の――いわゆる「上がり」の仕組みを構築したのも彼であるという。

遠目から見た端麗な容姿も相まって、どこぞの国の貴公子だとか、

高貴な血を持つ一族の末裔であるとか、真偽不明の噂が絶えない人物だ。

 

 だが、ここにいる無垢な少女たちはまだ知らない。

そんな金髪の貴公子の顔を持つ彼が、その裏でどれほど凄惨な「世界の調律」を行っているかを。

彼が東の海の絶海にある、人類の屠殺場とも言うべき巨大要塞の主である事も含めて。

 

 その要塞の抱える監獄の暗闇で、未だその牙を失わぬ「最凶の漢(おとこ)」が、

服役という名の監禁を甘んじならもその闘志を燃やし続けている事を。

例え彼が起こしたとされる事件その物は伝え聞いてたとしても、彼女らは知らなかった。

 

 そしていま、おあつらえ向きに用意された校長室の窓から、

品定めするように自分たちを見下ろす、あの男のご満悦な微笑みの意味など

―彼女たちは知る由もなかったのである。




 本人にとっては目の保養も兼ねてるかも知れませんが、根回しはダイジですから。
ユ「おもいっきし特権振り回しとる様なんじゃがっ⁉」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告