スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
実に楽しい時代だ。右を向いても左を見ても、果ては宇宙の彼方までもが商売の種に溢れている。
若くしてイスルギ重工を率いてきたミツコ・イスルギは、虎視眈々とこの世情を読み解いていた。
先代(父)の慧眼には感謝しているが、あの男はやり過ぎたのだ。
たかが一パイロットに引導を渡された結末が、何よりの証拠である。
私ならあんなヘマはせず、安楽椅子から安全に糸を引いてみせる。
あのシュウ・シラカワが相手だろうと、彼女は決して妥協しない。
ただし無駄な悪戯はせず、ああいう危険な顧客には真摯に対応する。
もちろん、向こうが牙を剥いてくるならば容赦なく反撃するが。
一度彼が訪ねてきて「死んでこようと思う」と言った時は流石に驚いた。
だが、彼は嘘を吐かない男だからこそ、裏にカラクリがあると察した。
どうせあの男のことだ、いずれまたしれっとした顔で現れる。
「ふーん。『エクセレン社』ねぇ。新参者の割りには、結構やるみたいじゃない」
届いた提案書は、最新の超AIを使った新型機動兵器の開発だった。
そのために我が社と技術提携を結びたいという、向こうからの逆指名だ。
本来ならば、一蹴してゴミ箱に放り込むような有象無象の案件である。
けれど、彼女の鋭い勘が「この件には関わるべきだ」と告げていた。
「ふふふ。別にウチの商品が主力機にならなくたって、何の問題もないのよね」
背後に何やら白い仮面の男が関わっているようだが、こちらは商売だ。
「過去の亡霊の息子が何を企んでいるかは知らないけれど。面白いことになりそうね」
そして彼女の勘は、やがて全世界を巻き込んだ大事件へと発展していく。
「いいでしょう。精々踊って見せて頂戴な。私は観客席でその舞台を見せて貰う事にするわ」
新庄健は憤るよりも先に、警視庁で採用された超AIの仕様に呆れ返っていた。
「何だ、この妙に聞き分けのいいガラクタは。ただの道具の延長ではないか」
彼が超AIに望むのは、友永勇太とデッカードのような感傷的な友情では断じてなかった。
そんな彼が、エクセレン社の門戸を叩いたのは必然だった。
「制御された悪」――どうせガラクタなら、それに相応しい教育を施せばいい。
彼はかつて開発に関わった、忍者ロボ・カゲロウの超AI再利用を思い付く。
警視庁の超AIを持ち出すことは、普通に考えれば不可能だ。
だが試作機であるカゲロウは、正式採用されたシャドウ丸に比べ管理が甘い。
おまけに他部署への配属に際し、育成記録のすべてを抹消することが決まっていた。
あのタイプの超AIは、記憶の抹消を本能的に恐れるバグを抱えている。
デッカードのような奇跡の再現など、確率としては万に一つもない。
あとはカゲロウ自身に事実を教えれば、勝手に檻を破って脱走してくるはずだ。
「感情を持つ超AIなど不要だ」彼は警視庁の知古の友人にそう告げた事もある。
病に侵されたこの身では禁忌の技術を利用した「補完」計画もまた難しかった。
もはや彼に残された手段は、超AIを使った自らが考える理想の自分をこの世界に再誕させることだけだった。
女傑ミツコは儲かるのが最終目的では無いのが末恐ろしい所。後々まで見越して需要さえあり続ければそれでいいというスタンスみたいだし。
ユ「もしや節操なさげに観えるのも計算の内だったりするんかぃのぅ?」
ヘイト管理は上手そうではありますけどね