スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
カザミたちが揉めている背後では、神官のような装束を纏った獣人が
いつ声を掛ければいいのかタイミングを見い出せず、おろおろと立ち尽くしていた。
カザミたちにとってみれば、NPCの初期説明など、所詮はその程度の扱いだった。
「この後どうするよ」と質問を投げかけるカザミに対し、パルは静かに押し黙る。
メイが思考を巡らせる中、ヒロトが「このまま突っ立ってたって話は進まないだろ」と促した。
4人は彼らの「ゲームの常識」に照らし合わせながら、輪になって鳩首会談を繰り広げる。
「あの……」という控えめな声を無視して、カザミが手元の画面を操作し始めた。
「配信機能が死んでるか判らんから、一応録画だけは回しとくか」
「この状況でまだ配信を諦めてないのかよ」と、ヒロトが思わず呆れた突っ込みを入れる。
「あたりめぇだろ! 不具合だか仕様だか知らねえが、初見の記録は大事だからな」
「あのっ……!!」と、今度は遮るように大きな声が響き渡った。
張り上げられた声に、ようやく全員の視線が、その犬の面影を残す小柄な獣人に降り注ぐ。
「わたっ……! ぼ、僕も連れて行ってください!!」一生懸命なその懇願を聞きながら、
メイだけが微かに眉を顰めて違和感を抱いた。
(あの子。今、僕じゃなくて……私、って言おうとした?)
フレディと名乗ったその神官は、代々この山の遺跡を護ってきた家系の生まれらしい。
「こらっ、フレディ! また勝手に遺跡を弄ってたでしょ!!」
フレディの住む村へ向かう途中で出くわしたのは、その子の姉だというマイヤだった。
ここでようやく、ヒロトたちはフレディの幼さに気づくことになる。
彼らと同年代に見えるマイヤの身長が、パル以外とそう変わらなかったからだ。
「まぁまぁ、そこの猫耳のお姉さん。この高名なカザミの顔に免じて、許してやってよ」
カザミの軽率な態度に、マイヤはあからさまに不快そうな、怪訝な表情を浮かべた。
「……誰よ、あんたたち。見たところ、あの『ヒトツメ』の関係者じゃなさそうだけど」
不信感を露わにフレディを庇いつつ、マイヤはキッとこちらを睨みつける。
「あのねフレディ。普段から言ってるでしょ。不審な連中を村に近づけちゃダメだって」
その強い言葉が響いた直後、突如として大地が激しく揺れ、不気味な金属音が鳴り響いた。
「―っ、何だ!?」と、ヒロトが瞬時に身構える。
木々を激しくなぎ倒して現れたのは、単眼の異形――『ヒトツメ』と呼ばれる謎の兵器だった。
「ひっ…、ヒトツメだ……!」と、フレディが姉の背中に隠れてガタガタと震えだす。
怯える二人を前に、「お前ら、下がってろ!」とカザミが待ってましたとばかりにニヤリと笑った。
「イベントバトル発生ってわけだな! よし、初陣といくか!」カザミの操作に呼応し、
空間に青白いメニューウィンドウが鮮やかに展開される。
虚空から眩い光の粒子が溢れ出し、それは瞬く間に巨大な質量へと姿を変えていった。
大地を派手に震わせて現出したのは、正義の騎士の風格を纏った愛機―ガンダムジャスティスナイト。
「パル、メイ、俺たちも行くぞ」と、ヒロトもまた光の粒子の中から自身の『コアガンダム』を呼び出す。
彼らと共に遺跡に出現していた各々の機体が空間を越えて転送されてくる。
見慣れたはずの自分たちの機体。彼らにとっては、これも画面の向こうで起きている、
いつも通りのゲームのミッションに過ぎない。
しかし、いつものコックピットの操縦盤からその手に伝わってきた重いGの感触は、
いつものゲームとはどこか決定的に、そして生々しく違っていた――。
彼らの機体は実体化したとはいっても操縦系統はゲーム仕様のままなんですよね。R-1とかどうなってんだろ・・・
ユ「多分違うとは思うんじゃが謎じゃな」