スーパーロボット大戦 Re:Boot   作:戯龍

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一旦メガゾーンに戻ります。


風雲、刻を告げる

 その訃報がもたらされたのは、矢作省吾が自宅に帰宅した翌日のことだった。

村下智美と共同生活をしていたダンサーの卵、高中由唯からの電話で彼はそれを知ることになる。

「智美が……死んだ、だと!?」自分と同じように、智美も家へ帰ったことは確認していたはずだった。

 

 「ええ、そうなのよ。夜、コンビニに買い物に行った帰りに…」

東京も昔に比べて治安が悪くなっているとは聞いていたが、まさかこれほどまでとは。

大家の好意により、由唯たちはしばらく今の居室に留まれるそうだった。

 

 だがもともと智美、由唯、歌詞職人志望の夢叶舞の三人による共同生活だ。

一人を失った今、これからの生活費が厳しくなるのは目に見えている。

見かねた省吾は自分の部屋への引っ越しを提案し、彼女たちもそれを快諾した。

 

 「助かるわ。大きな荷物はあんまり無いけど、男手があるとやっぱり違うね」

三人で智美の部屋の荷物を整理しつつ、全員で引っ越し作業を進めていく。

「あれ? おかしいな。智美のアイデア帳が無い……」段ボールを前に、由唯が小首を傾げた。

 

「アイデア帳? あぁ、もしかしてあのメモ帳みたいなやつか?」省吾も、

彼女をバイクのハコ(ガーランド)に乗せていたときに何度か見かけた覚えがあった。

「うん、そう、それ。あの子、何か思いついたときによく中に書き込んでたから」

 

 「へぇ、そうだったのか…」省吾の胸に、小さな違和感―いや、ある明確な疑惑が浮上しつつあった。

あのとき、俺は智美を無事に地上へ帰したつもりだった。

だが、もしそうじゃなかったとしたら?

 

 自分自身は、あの「B.D.」とかいう連中のミスの結果とも言えるガーランドで助かったに過ぎない。

けれども、彼女には何もない。軍部から一般人だと判断されたら、一体どうなる?

俺があのハイウェイで襲われたように、彼女もまた、奴らの毒牙にかかった可能性はないのか。

 

 考えれば考えるほど、脳裏に浮かぶのは最悪のシチュエーションばかりだった。

(まさか軍部の連中…俺を見逃したと見せかけて、裏で口封じを進めてるんじゃないだろうな)

疑心暗鬼の塊となりながらも、今はまだ軍のやり方が信じられなかった。

 

(…ただの思い過ごしならいいんだけどな)どんよりとした空気を振り払うように、

お昼時になったのでラーメンの出前を頼むことにした。

「このラーメンね、普段は屋台を引き回してる、ホイ・コーローっていう

恰幅のいいおじさんが店主をやってるんだけど、すっごく美味しいの」舞が少し寂しげに笑う。

 

「そうそう。智美もおいしいって、よく食べてたんだー……」「へぇ、そうなんだ」

しんみりとした雰囲気の中、出前の到着を待っていた彼らの耳に、

突如として警戒アラート音が飛び込んできた。

 

 『臨時ニュースです! ただいま軍がクーデターを起こしました!

市民の皆さんは決して自宅から出ないでください!!』

慌ててつけたテレビの画面には、省吾がかつて高速道路で囲まれたあの巨大な起動兵器が映る。

 

 それが庁舎を無残に破壊している真っ最中の映像だった。

「あいつら……! 人の命を何だと思ってるんだ!!」激昂した省吾は、

怒りに突き動かされるように部屋を飛び出していった。由唯たちの止める声も耳に入らない。

 

 「ちわー。回々軒(かいかいけん)です。ラーメンのお届けに参りましたー」

ちょうどそのとき、入れ替わるようにのんきな声を上げて玄関先に現れた男がいた。

いつもホイさんの店で働いている、ひょろりとした細身の従業員だ。

 

 省吾はその男を無視し、ガーランドを駆って爆音とともに走り去っていった。

「あの……お届け物があったんですけど」呆然と立ち尽くしていた男だったが、

残された由唯と舞の姿を見ると、一瞬で姿勢を正した。

 

 「あ、貴女が、高中由唯さんですね? ――村下智美さんという方から、伝言を預かっています」

『今は彼の言うことを信じて、彼に付いて行ってほしい。私はある場所に匿われていて無事です』―と。

「えっ…!?ホイさんのところの、従業員さん…?」舞が彼の豹変ぶりに驚いた。

 

「彼女が生きているという証拠が欲しいなら、このメモ帳を貴女がたに見せれば信じてもらえる、

と言われましてね」男が岡持ちの中から厳重そうにごそごそと取り出したのは、

彼女らも見覚えのある智美のアイデア帳だった。

 

「出来るだけ急いで引っ越しの準備を。奴らの監視の目がここから逸れている間に、私達が偽装工作をします」

男―チンジャ・ルースはそう告げた。信じられない事実に目を見開く二人に、

ここからの迅速な逃亡を促したのだった。




 察しのいい方ならもうお分かりでしょうが、地下の大空間都市の正体はアレです。
ユ「まぁモロバレじゃろ」
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