スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
その日の出来事を、第一皇女アンジュリーゼは決して忘れない。
16歳を迎えたマナの洗礼儀式にて、彼女はすべてを失った。
実の兄ジュリオにより、自身が栄えある皇国の人間ではないと暴露されたのだ。
「お前は、お前自身が差別してきた無能な『ノーマ』なんだよ!
こんな儀式はまったくの嘘っぱちだって事もな!!」
兄が暴いたのは、身代わりのメイドにマナを放たせる不正だった。
ジュリオは父ジュライ皇帝を引きずり落とし、義妹の追放を決める。
皇后ソフィアもまた、娘を銃弾から守るために命を落とした。
こうして元皇女は、絶海の孤島「アルゼナル」へと送られる事となる。
かつて伊豆大島と呼ばれたその島は、太平洋側最大の軍事要塞となっていた。
同時に、界震より現れる「ドラゴン」を狩る凄惨な屠殺場だった。
周辺空域は、マジンガーの廉価版「イチナナ」式などが固めている。
だが、イチナナの役目はインベーダーの駆除と島の防衛に過ぎない。
巨大なドラゴンと渡り合えるのは、可変機動兵器パラメイルのみ。
兜甲児がこの島にいたのは、旧友を見舞うための単なる偶然だった。
「それにしても、つくづく悪趣味な機体だな。このパラメイルって奴はよ」
ダイアナンAやエネルガー同様の、剥き出しのバイク式操縦席。
マジンガーZも系譜は同じだが、ここまで尖った仕様では無かった。
(変形すればマシなんだろうが、防御力がなさすぎて棺桶だぜ)
自分には衝撃を吸収する専用のパイロットスーツがあった。
だが彼女らの水着擬きなライダースーツには、到底納得がいかない。
(ボロットも大概だったが、アレが幾分マシに見えるなんてな)
とはいえ自分は余所者であり、ここで口を挟む権利はない。
彼にできるのは、イチナナの武装強化を提案するくらいだった。
それすら要塞の代理主の機嫌次第で、交渉の苦手な甲児は頭を抱える。
ここに集う少女らは「ノーマ」と呼ばれる魔法不適格者。
(魔法、か。マサキの奴の世界のことも、真面目に聞いとくべきだった)
彼に借りた特殊通信機は没収され、今さらその件を悔やんでも遅い。
ちなみに甲児もマナの測定器が光るため、魔法の適性はあるらしい。
もっとも男ゆえに重要視されず、言うだけ野暮というものだった。
(ジルと言ったっけか、あの司令。……苦手なんだよなぁ。
冷徹で目的を選ばねぇ空気感が、うちの親父に似てやがる)
ため息をつきながらも、旧友に会う為に地下の監獄へと歩みを進めるのだった。
その男がその事を成し遂げたのは、単なる欺瞞からだけではない。
月面のゲッター線研究所で起きた「事故」とされるソレには、明確な裏があった。
今も研究所の周囲には、ゲッターの量産型の残骸が無残に転がっている。
(そもそもがおかしい。操縦に熟達しているミチルさんが事故を起こすはずがない)
元祖ゲッターロボの後に開発された戦闘用ゲッター、ゲッタードラゴン。
新ゲットマシンに手こずる武蔵に代わり、彼女がライガー号に乗ったことで悲劇は起きた。
最初は博士が自責の念に駆られていると思い、隼人と共に宥めに回っていた。
だが、月の研究所内で起きた謎の暴動に、博士自身が関与している疑いが浮上する。
後に残されたのは、鉄の墓標と化した残骸の山と、地球から群がるハイエナどもだけだ。
冷静さを崩さない神隼人や巴武蔵を差し置き、博士へ直談判に赴いた結果がこれだ。
すなわち、早乙女博士殺害容疑での収監というわけだった。
(納得はいかねぇが、俺もついカッとなって博士をぶっ飛ばしちまったからな)
最大のブレインを失ったことで、浅間山の早乙女研究所は閉鎖。
何かを察したらしい隼人は、独自にゲッター線に頼らない新ロボットを開発中だ。
武蔵は、今はミチルの墓守と、博士の遺児である元気の子守をしているという。
それらの近況は、かつて共に戦った戦友からの手紙で知らされた。
外界との接触が断たれたこのアルゼナルの独房で、今日は特別な予定がある。
唯一面会を許された男―兜甲児が、久しぶりに訪ねてくるはずの日だった。
あいつのことだ。どうせ面会室に現れるなり、神妙な顔で詮索してくるだろう。
だが、たまには光子力エネルギーの平和利用だとか、青くさい話も悪くはない。
―流竜馬は、錆びついた床の上で、静かに友の足音を待っていた。
この退屈が、まもなく終わりを迎えることも知らずに。
ミスルギ皇国の第一皇女がこの地に堕とされ、世界を揺るがす狂瀾が幕を開ける。
死んだはずの早乙女が反乱を翻し、竜馬の無罪が証明される瞬間まで後少し。
科学者となった甲児もたまには関連機体が動いてる現場みたいでしょうしね。アルゼナルの場所が日本近海になってしまってますが、地震の巣も近いでしょうし界震が日本よか活発だったりしても違和感は少ないかな。と
ユ「出てくるのはドラゴンばっかじゃけれどもな・・・熱海襲ったヘテロはここいらから出現したのかもしれんが」