スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
「父親の七光りだ」 タカヤ・ノリコにとっては、もはや言われ慣れた言葉だった。
かつて宇宙戦艦『ルクシオン』の艦長として、銀河の果てで散ったタカヤ・ユウゾウの娘。
故に、彼女がどれほど努力を重ねようとも、その言葉は影のように足元へ付きまとっていた。
だからつい、必殺の「イナズマキック」を級友の一人にお見舞いしてしまったわけだが…。
生身の人間相手に使う技ではないと、オオタコーチから大目玉を喰らったのも無理はない。
放課後の校庭でRX-7に乗せられ延々とバランス訓練をさせられる羽目になるとまでは想定外だったけど。
それでも、ノリコは今日もまた一人、居残りの自主練に励んでいた。
級友たちの嫉妬や焦りも、分からないではないのだ。
なにせ、あの「お姉さま」と自分がペアを組むことになったのだから。
お姉さま――アマノ・カズミは、ノリコから見ても完璧な存在だ。
それなのに、まだ満足に機体を扱えない自分が選ばれてしまった。
ノリコは決して驕り高ぶることなく、地道に重労働のような訓練を重ねる。
自分の未熟さは、自分自身が一番よく知っている。だから影口等に負けるものか。
そんな彼女の背中を、じっと見つめる一つの影があった。
「もうそこまでにしなさい。明日の訓練に響くわよ」
声をかけてきたのは、他でもないお姉さまだった。
「昼間のキック、悪くなかったわよ?究極・ゲシュペンストキックかと思ったくらいにはね」
悪戯っぽく微笑むカズミに、悪気などあろうはずもない。
よく見れば、彼女の額にも大粒の汗が浮かんでいた。
カズミもまた、彼女なりの過酷な自主練の帰りだった様だ。
「でもね、貴女の悪いところは、そうやって本気の爪を隠しているところよ。
だから周りの子たちに侮られてしまうの」
優しい微笑みの後に、カズミは先輩としての苦言を付け足すことも忘れなかった。
「爪…ですか?」ノリコとしてはそんな大層な心算(つもり)はない。不思議そうに首を傾げる。
「ふぅ…自覚がないっていうのも、貴女の悪い癖ね」
「まあ、今日貴女の技を喰らった子には、嫌というほど伝わったでしょうけれど」
今のノリコは、まるで最初に見たものを親だと信じ込む雛鳥のようだった。
なぜコーチが、未熟な筈の彼女を自分のペアに指名したのか。
カズミには、その理由がなんとなく分かりかけていた。
(…このままじゃダメね。一度ペアを解消した方が、彼女の成長のためになるかもしれないわ)
カズミは心の中でそう決意する。
迫る決断の気配に、二人はいまだ気付いていなかった。
校舎の影で、当のオオタコーチが彼女たちの会話をすべて黙って聞き届けていたことなど、知る由もなかった。
因みに技を喰らった子は吹っ飛びはしたものの大したケガもなくピンピンしている。
本気蹴りだったら恐らく爆散する位の威力を持つ技だがノリコは無意識で急所を外しているし、
なんなら受ける方だってそれなりに防御態勢に入ってた事が幸いだった。
カズミとノリコが無事に宇宙へと上がった後、彼女らはとある悲劇の場面と対面する事となる。
さらなる別れと新たな出会いを経て、銀河の中心へと殴り込む事となる彼女の運命の歯車は周り続ける。
彼女らがペアを解消するに至る切っ掛けとなるその悲劇の主と遭遇するまで、後少し・・・
空回ってる訳でもないけど、周りの空気は読めてない。多分そういう事だとは思うけど、本人すら気付いてないという悪循環だったのかなぁ・・・?
ユ「こればっかりは流石に本人でないと判らんだろうしのぅ。難しいわ」